株式会社サイバーエージェントは、12月7日に生成AIを利用した新しい商品画像自動生成機能の本格運用を開始することを発表しました。この機能は「極予測AI」の一環として開発され、広告効果を最大化することを目的として開発され、2024年1月から順次本格運用が開始されます。
参考:Cyber Agent
出典:Cyber Agent
背景
これまでの広告クリエイティブ制作では、商品画像の撮影に多大な時間と費用が必要でした。各シーンに合わせたロケーションや天候を考慮したセット、機材の準備が必要なため、時間や費用に対して広告に使用できるような画像の量が見合わない状況にありました。
極予測AIの特長
あらゆるシチュエーションの商品画像を生成可能
サイバーエージェントは、この問題を解決するために同社がもつ広告クリエイティブ制作サービス「極予測AI」において、AI技術を駆使した商品画像生成機能を開発しました。
この機能により、従来の撮影で必要だった機材やセット、ロケーションなしに、多様なシチュエーションと商品画像の組み合わせを大量に自動生成することが可能になりました。さらに、生成した商品画像と効果予測AIを併用し、予測しながらより高い広告効果を持つ商品画像を提供します。
出典:Cyber Agent
通常の画像生成よりも複雑な表現に対応
撮影した商品画像に合った背景を生成するだけでなく、商品画像そのものを学習させることによって、実際に撮影したかのような繊細な画像の生成も可能となりました。
これによって通常の商品画像生成では難しいとされる、ガラス瓶など透明商材の画像生成や、光の差し込みなどの複雑な表現にも対応できます。
出典:Cyber Agent
なお、本機能で生成された商品画像素材は、配信前に広告表現の適法性・妥当性等のチェックと審査が行われるとのこと。
今後の展望
「極予測AI」は、AI研究開発組織「AI Lab」と共にさらなる研究開発を進めています。計算リソースや撮影体制の強化を通じた広告効果のさらなる向上と、広告クリエイティブにおける表現の多様性や予測精度のさらなる向上を図り、広告主企業の広告効果最大化に尽力する、と述べています。
広告制作における画像生成AIの活用
画像生成AIの登場により、広告制作の効率向上が期待されています。しかし、Web広告メディア「キーマケLab」が国内のWeb広告業界従事者を対象に実施した調査によると、Web広告運用・制作の現場で生成AIを使用している割合は4割にとどまっています。
今回のような日本を代表するIT企業が画像生成AIを使った広告制作の施策を発表することで、広告運用・制作の業界において生成AIの浸透率も向上していくでしょう。大企業も広告制作に生成AIが使用されており、実際に、パルコでは画像生成AIを使ったファッション広告を制作、伊藤園ではAIタレントをテレビCMに採用したりと国内の大手企業でも広告・宣伝に生成AIを活用しています。
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まとめ
サイバーエージェントは、広告効果を最大化することを目的として、生成AIを利用した新しい商品画像自動生成機能の本格運用を開始することを発表しました。通常の画像生成よりも複雑な表現に対応しており、実際にその場で撮影したかのような画像を生成することができます。
新機能により、広告制作の効率化だけでなく、広告のクオリティ向上にも大きく貢献することが期待されます。サイバーエージェントは、この技術を駆使して、新しい広告クリエイティブの価値提供を目指しています。