那覇市 生成AI活用方針の策定を発表 市役所の業務効率化を図る

沖縄県那覇市は、11月22日に生成AIの利用範囲や、安全な利用と適切な取り扱いの徹底、生成AIを巡る状況の変化への対応を軸とした「那覇市生成AI活用方針」を発表しました。

那覇市は、DX推進計画に掲げた基本理念「デジタルで変わり続けるまち・那覇」に基づき、生成AIについて業務への活用を検証し、文章作成や企画立案やアイデア出しなどの幅広い用途で有効性を確認しました。これを受けて、生成AI活用方針の策定に至りました。

参考:那覇市

職員の生成AI利用の検証結果

那覇市は今回の方針策定にあたって、2023年8月1日~から9月30日の2か月間、職員を対象とした生成AIの検証利用を実施しました。

検証利用の結果、生成AIは文章作成、要約、校正、アイデア生成、コード生成などの業務に広く活用されていることが明らかになりました。業務効率の向上と生産性の増加に大きく貢献しており、業務用途での生成AIの活用に対する肯定的な見解が得られました。

検証結果:

  • 全ての職員が「生成AIの利用により仕事の効率が向上・大幅に向上する」と評価
  • 84%の職員が「生成AIの利用により業務時間が短縮された」と回答
  • 25%の職員が「1日あたり平均で1時間以上の業務時間短縮された」と回答
  • 89%の職員が「生成AIを今後も利用していきたい」と回答

生成AIの活用に関する検証では、多くのポジティブな意見が寄せられた一方で、「ファクトチェックが重要」や、「質問(プロンプト)の技術向上が必要」という課題に対する意見もあります。

業務における活用例

那覇市生成AI活用ガイドライン」の中では、生成AIの活用用途の参考例として次のような業務を挙げています。

  1. メールや照会回答文書、通知文、あいさつ文、答弁書に使う文章のたたき台作成
  2. 小学生や高齢者など対象者に合わせた文章表現の言い換え・翻訳
  3. 議事録の要約や論点整理、通知文や法令等の文章の校正・要約
  4. 企画立案のアイデア出し、壁打ちによる思考整理によるアイデアの発展
  5. 関数、VBA 等のコード作成・修正、エラーコードの解説

テキスト生成については多くの場面で推奨される一方で、画像や動画、音楽生成AIの利用については、権利侵害の問題から引き続き検討するとのこと。

実際に生成AIを使って下書きしたコメント(引用:那覇市

安全な利用と取り扱いの注意

那覇市生成AI活用ガイドライン」の中では、情報入力における遵守事項として、非公開情報や個人情報、契約等の守秘義務を課された業務上で入手した情報を取り扱うことは禁止されています。

また、第三者の著作物の入力については許容されますが、出力された情報が著作物や登録商標に類似しないかチェックすることが義務付けられています。

今後の展開

那覇市は、12 月から全庁的な共通基盤である生成AIサービスを導入し、業務の効率化並びに行政サービスの向上を推進していくと述べています。

また、生成AIを巡る状況を捉えた情報発信や情報集約体制、好事例の横展開により、全庁的に生成AIが有効活用されるよう支援していくと述べています。

まとめ

那覇市は、ChatGPTを始めとした生成AIの活用方針を策定したことを公表しました。

職員を対象にした検証利用の結果から、生成AIを活用することへポジティブな意見が多く、今回の方針策定に伴い、全職員が生成AIを使いこなすことができれば、業務の生産性が大幅に向上すると期待できます。

現在、多くの自治体が生成AIを導入し、事例数は2023年11月時点で88件にも上っています。特に、岡山県総社市では生成AIを活用したFAQボットを導入することにより、電話での問い合わせ数が減少して、市役所職員の作業効率を向上することが期待されています。

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