千葉県千葉市は、11月1日に業務の効率化と市民サービスの向上に繋げるため、生成AIの導入のルールや利用に関する遵守事項等必要な事項を定めたガイドラインを公開しました。
参考:千葉市
利用可能な生成AI
千葉市はガイドライン中で、生成AIを利用する場合は、利用者が質問した内容をAIモデルの学習に使用しないものまたは学習に使用することを制限する機能を有するもので、この機能が有効な状態で利用することを原則としています。
なお、2023年10月時点で、試行運用した実証実験では上記の学習制限機能を有する生成AIはChatGPTのみとされています。
リスク・禁止事項
生成AIを利用するにあたって懸念されるリスクとして、個人情報・機密情報の漏えいや誤情報の生成、生成される回答が他者著作物を引用することによる権利問題を挙げています。
その対策として、今回のガイドラインでは個人情報や、直ちに一般に公表することを前提としていない情報を入力することや、職員の確認なく生成AIの回答をそのまま使用することを禁止しています。
利用可能な業務
千葉市は、今回のガイドラインを遵守する範囲で全ての文書作成業務において生成AIを利用可能としています。実証実験によって次のような業務において生成AIの有効性を確認していると述べています。
- 文章の下書き、要約、翻訳、校正、その他表現を書き改める業務
- 公開されている情報を表などに整理する業務
- 着想やアイデアを発展させる業務
- エクセルの関数やマクロの作成・修正を行う業務
引用元:千葉市
自治体の業務における生成AI活用
自治体の業務におけるChatGPTなどの生成AIの活用は多岐にわたります。
- 市民からの問い合わせ応対を効率化
住民税の計算方法やゴミ収集のスケジュールなど、頻繁に寄せられる質問に対して、生成AIが即座に適切な回答を提供することで、窓口の業務負荷を軽減できます。 - イベント・セミナーの企画支援
自治体が主催するイベントやセミナーの企画段階で、参加者からのフィードバックや要望をChatGPTを活用して収集・整理することも考えられます。これにより、市民の声をダイレクトに反映させた企画を実現できるでしょう。 - 地域の観光案内やPR
観光案内やPRにも生成AIを活用することが考えられます。例えば、観光スポットやグルメ情報を提供するチャットボットを設置することで、訪問者や市民にとって親しみやすい情報発信が可能となります。
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まとめ
千葉市は、ChatGPTを始めとした生成AIの活用に関するガイドラインを公表しました。
個人情報や機密情報の漏えい、著作権侵害などのリスクには注意しながら、文書作成業務などにおける生成AIの活用を推進しています。現在、多くの自治体が生成AIを導入し、事例数は2023年11月時点で88件にも上っています。
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