Amazon、Kindle出版ガイドラインを更新「生成AIを使ったら申告する」よう要求

米Amazonは9月7日(現地時間)、Kindleに電子書籍を出版するためのサービス「Kindleダイレクト・パブリッシング」のコンテンツガイドラインを更新し、生成AIによる出力が含まれる書籍について、同社に事前に申告することを求めました。

参考:AP通信, Amazon kdp

引用:Amazon kdp

「生成AIを使ったら申告する」よう求めた背景

今回Amzonが、Kindleダイレクト・パブリッシングにて、「生成AIを使ったら申告する」よう求めた背景として、Authors Guild(全米作家協会)をはじめとする団体から、生成AIの学習に著作物を使用することに対する苦情の声が相次いだことが挙げられます。

Authors Guildga7月に公開した「生成AIの学習に著作物を使用しない」よう求める書簡

引用:Autors Guild

生成AIによる学習データの収集は著作権者の同意なしに行われることがあり、著作権侵害のリスクが強く懸念されています。

日本でも日本新聞協会ら4団体が、著作権保護策の検討が不十分とする声明を8月17日に発表しています。

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「AI生成コンテンツ」と「AIアシスト」を区別

今回更新されたKindleダイレクト・パブリッシングのガイドラインでは、「AI生成が生成したコンテンツ」「AIのアシストによって生成したコンテンツ」を下記のように区別し、後者については申告する必要はないとしています。

AI生成コンテンツ:AIベースのツールを使用してコンテンツ(テキスト、画像、翻訳を問わず)を作成し、その後大幅な編集を加えた場合でも、それは「AI生成」とみなされます。

AIアシスト:コンテンツを自身で作成し、AIベースのツールを使用してそのコンテンツ(テキスト、画像を問わず)を編集、改良、エラーチェック、またはその他の方法で改善する場合を指します。ブレーンストーミングやアイデアの生成にAIベースのツールを使用しても、最終的にテキストや画像を自分で作成した場合は、これは「AIアシスト」とみなされ、「AI生成」とはみなされません。

またガイドラインには、「すべてのAI生成またはAI支援コンテンツが、コンテンツガイドラインを遵守していることを確認する」責任があるとし、例えば、AIベースのツールが著作権で保護された作品を元にコンテンツを生成していないか、その出力を検証し編集する必要があるとしています。

Authors Guild(全米作家協会)の反応

Authors Guild(全米作家協会)は今回のAmazonのガイドライン更新について、9月7日ホームページを更新し、「AI生成コンテンツの透明性と説明責任を確保するための重要な一歩」として歓迎するとしました。

引用:Authors Guild

ホームページでは、ここ数カ月、AI生成書籍がアマゾンのベストセラーリスト入りしたり、有名作家の名前やスタイルが流用されていることで、作家たちにとって不公平な状況となっていることは問題であるとした一方、AI技術が適切にライセンスされれば、編集、推敲、アイデア出し、ブレーンストーミング、アウトライン作成の支援ツールとして、作家を支援することが期待できるとしています。

Amazonが今後すべてのプラットフォームにおいて、生成AIの使用について申告を求めるだけでなく、その情報を公開することを期待するとつづっています。

参考:Authors Guild

まとめ

今回のAmazonが「生成AIの使用について申告するよう求めた」ことは、生成AIと著作権の問題について重要な動きです。

今後生成AIの使用について、著作者の権利を保護したうえで、生成AIの有効なアシストとしての活用を制限しないガイドラインやルール作りが求められるでしょう。

Authors Guild(全米作家協会)は、すべての生成AIを使用したコンテンツについて、「生成AIを使用した」と公表することを求めており、今後法的な枠組みにも注目が集まります。