KDDIや日立製作所など…次々と導入が進む生成AIの導入事例を12個まとめ

「ChatGPTは業務の役に立つの?」「実際のところ、大企業が生成AIをどう活用しているのか知りたい!」 そう思っている方も少なくないでしょう。

実は、多くのトップ企業が生成AIを様々な形で導入し、その成果を上げています。

今回PROMPTYでは、注目の大手企業の生成AI導入事例12個を厳選してご紹介します。

①McKinsey:社内向け生成AIツールを開発

2023年8月、世界最大級のコンサルティング会社であるMcKinsey and Companyは、新しいAIツール「Lilli」を発表しました。

「Lilli」は新しいチャットアプリケーションで、情報や計画を提供し、社内の適切なコンサルタントを推薦します。

「Lilli」は、MVP(最小実行可能製品)として社員に使用され、2週間で50,000件の質問に回答しました。実際に多くのユーザーが繰り返し利用し、企業の様々な問題に対応できることが示されています。

将来的には、このツールの社外展開やホワイトラベル化の可能性も検討されています。しかし、「Lilli」がコンサルタントの全ての役割を取って代わることは考えにくく、人間のコンサルタントが持つ能力は現在のAIでは代替できないとされています。

「Lilli」は、コンサルタントの業務を効率化し、より高度な業務に専念できるようサポートすることが期待されています。

参考:McKinsey & Company

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②NTTドコモグループ:生成AIによる社内業務のDX推進を目指す

2023年8月21日、NTTドコモは、大規模言語モデル(LLM)を活用した生成AIによる社内業務のDX推進と新サービスの提供を目指し、8月21日から12月31日までの実証実験を開始すると発表しました。

実証実験では、生成AIの安全性や利便性向上を目指し、NTTドコモが開発したLLM付加価値基盤をグループ3社で活用します。

具体的には、業務における専門性の高い問い合わせに対して、社内ルールやマニュアルをベースにLLMが生成した文章で回答を行うなど、社内業務で付加価値基盤を活用する予定です。

参考:NTTドコモグループ

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③KDDI:社員1万人を対象としたAIチャットサービスを利用

2023年5月25日、KDDIは社員1万人を対象に生成系AIを活用したAIチャットサービス「KDDI AI-Chat」を実業務で利用開始したと発表しました。

これによって、社員は新たな環境で、AIを安全に業務で使えるようになります。一例として、企画のための調査、アイディアの創出、クリエイティブなサポート、文章の製作の支援が挙げられます。今後は、多様なユースケースを試み、社員のAIスキルの向上や作業の効率向上、生成系AIを用いた事業の拡大を目指すと述べています。

また、KDDIは、長期ビジョン「KDDI VISION 2030」に従い、生成系AIの専門家を育て、AIの活用を積極的に進める方向性を明確にしています。

参考:KDDI

④ソフトバンク:社員約2万人を対象に生成AIの業務利用を促進

2023年5月29日、ソフトバンク株式会社は、生成AIを活用したソフトバンク版AIチャットを社内向けのサービスを構築し、全従業員約2万人を対象に利用を開始したことを発表しました。

このツールは、社員がAIを安全に業務で使用できるようセキュアな環境で構築されています。これにより、文章作成、翻訳、営業やマーケティングのアイディア立案、プログラミングサポート、コールセンター業務など、多岐にわたる業務効率化や生産性向上が期待されています。

さらに、ソフトバンクは、2023年7月に「AIガバナンス基本規程」を施行予定で、これは2022年7月に策定された「ソフトバンクAI倫理ポリシー」をもとにしたものです。この規程は、AIサービスの適切な開発や運用を指南しています。

ソフトバンクは、経営理念「情報革命で人々を幸せに」のもと、生成AIを中心とした革新的な技術を活用して、社会課題の解決とサービスの向上に取り組んでいます。

参考:ソフトバンク

⑤日立製作所:社内外での生成AI活用を推進する新組織を設立

2023年5月15日、日立製作所(日立)は、新組織「Generative AIセンター」を設立したことを発表しました。これによって、生成AIの利用を拡大してLumada事業を通じてお客さまへの価値提供を強化し、生産性を高め、ビジネスの成長を追求します。

「Generative AIセンター」は、AIの専門家と業務スペシャリストを結集した組織で、リスクを管理しながら生成AIの活用を進めることを目的としています。この組織は、日立グループの大規模な従業員に生成AIの利用を拡大し、そのノウハウを蓄積します。また、お客様向けには、AIの活用やセキュリティ、知的財産に関するアドバイスを提供するコンサルティングサービスも計画しています。

引用元:日立コンサルティング

日立は、日本マイクロソフトと連携し、Azure OpenAI Serviceと日立のSI技術を組み合わせたサービスを展開予定です。さらに、生成AIの技術を、日立のプライバシーやAI倫理に関する知識を活かして安全に導入し、サステナブルな社会実現に向けて努力していくと述べています。

参考:日立製作所

⑥パナソニックホールディングス:自社特化AIアシスタントサービスの開発

2023年6月28日、パナソニックコネクト株式会社は、自社のAIアシスタントサービス「ConnectAI」を試験運用することを発表しました。このサービスはOpenAIの大規模言語モデルを基に開発され、自社公式情報を活用できるように機能を強化する予定です。具体的には、ウェブサイトやニュースリリース、公式ホームページなどの情報を基にした回答が可能となります。

引用元:パナソニックホールディングス

2023年10月以降、カスタマーサポートセンターでの実用化を目指しており、その前段階として、社員向けに9月から1ヶ月間、試験運用と評価を行う予定です。また、音声入力や回答の引用元表示などの新機能も追加され、その効果や情報漏洩のリスクについても評価されます。

試験運用の結果を基に、2023年10月以降には、社外秘情報にも回答できるAIの利用を開始する予定です。特に、カスタマーサポートのデータをもとに、お客様対応の業務改善や効率化を目指す考えです。さらに、2024年度からは、個人の役割に合わせた回答が可能なAIの導入も検討中です。

参考:パナソニックホールディングス

⑦NEC:生成AI活用により資料作成時間が半減したを報告

2023年8月30日、NECは自社内で提供している生成AIサービスの使用状況について発表しました。

発表によると、社内向け生成AIサービスは国内におけるNECグループの社員約8万人を対象として、2023年5月から導入され、現在では約2.5万人の社員によって1日に約1万回使用されています。

また、生成AIの導入により資料作成の時間は半減され、議事録の作成も平均30分からおよそ5分へと短縮したとしています。

NECによる生成AI活用の取り組みは、生成AIの普及と活用を促進する「NEC Generative AI変革オフィス」が主導しており、これまでにWeb会議ツールとの連携や社員に対する情報共有、ハッカソンの開催などが行われています。

参考:NEC

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⑧日清食品ホールディングス:独自開発した社員向けの対話型AIを公開

2023年4月25日、日清食品ホールディングスは、Azure OpenAI ServiceとMicrosoft Power Platformを組み合わせて、独自の対話型AI「NISSIN-GPT」を開発・公開したことを発表しました。

このサービスは日清食品グループの国内事業会社の社員約3,600人に提供されます。

同社は、中長期的なビジョンとして、ビジネスモデルの変革「NBX (NISSIN Business Transformation)」を推進しています。新たな「NISSIN-GPT」はこのビジョンの一環として開発され、社員が最新のAI技術を手軽に利用できる環境を提供します。

セキュリティとプライバシーの観点では、「NISSIN-GPT」は外部への情報漏洩のリスクを極力排除し、安心して業務での使用を可能にしています。

引用元:日清食品ホールディングス

日清食品ホールディングスは、技術の進化や業務へのAIの更なる活用を見越し、「NISSIN-GPT」のバージョンアップを予定しています。このような取り組みを通じて、業務の効率化や生産性の向上、さらには社員の創造的な活動の促進を目指しています。

参考:日清食品ホールディングス

⑨アサヒビール:生成AIを用いた社内情報検索システムを試験導入

2023年7月27日、アサヒビール株式会社は、日本マイクロソフト株式会社のAzure OpenAI Serviceが提供する、生成AIを用いた社内情報検索システムを9月上旬から試験導入すると発表しました。

システムは、PDFやPowerPoint、Wordなどのさまざまな形式の資料データに対して、ファイル名だけではなく、ファイル内の文章、画像を含めて複合的な検索が可能です。

主にR&D部門の社員を対象に始め、将来的にはアサヒグループ社内に点在している技術情報を集約・整理し、効率的に取得しやすくすることで、グループの知見を生かした商品開発の強化や業務効率化を目指します。

参考:アサヒビール

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⑩伊藤忠商事:生成AIを活用して業務変革を行う新組織を設立

2023年5月12日、伊藤忠商事株式会社と、株式会社ブレインパッドは、生成AIを用いて企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AI研究ラボ」を共同設立することを発表しました。

新たに設立される「生成AI研究ラボ」では、伊藤忠商事の全社員が生成AIを効果的に活用できるような環境を整備します。これには、IT環境のセキュリティ対策や、正確なデータセットを用いたAIモデルの開発、生成AIを使いやすくするためのインターフェースやサポート体制の構築が含まれます。

長期的には、新しいビジネスの開発や伊藤忠グループの事業での生成AIの活用、消費者向けの商品やサービスの最適化など、ビジネスの競争力を向上させる取り組みを進める計画です。

参考:伊藤忠商事, ブレインパッド

⑪ゆうちょ銀行:社内向けチャットボットの効率化を検討

2023年8月4日、ゆうちょ銀行と生成AI特化の東大松尾研発スタートアップ株式会社neoAIは、社内向けチャットボットの効率化を目的とした生成AI活用の実証実験を実施しました。

ゆうちょ銀行は、社内向けチャットボット等で生成AIの活用を検討しており、neoAIが提供する法人向け生成AIソフトウェア「neoSmartChat」を用いて性能検証を行いました。

実証実験では、OpenAI社のChatGPTをカスタマイズし、情報抽出と回答の精度向上を目指したようです。

この実験は、業務効率化と課題解決に貢献するものとされています。

参考:neoAI,PR TIMES

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⑫大和証券:対話型AI「ChatGPT」を全社導入

大和証券は、対話型AI「ChatGPT」を搭載した米マイクロソフトのクラウドサービスを全社員へ展開する予定とのことです。

大和証券は、社外への情報流出を防ぐシステムを構築し、回答内容の正確性に関する懸念を社員が最終確認することで解消する方針だと明らかにしています。

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まとめ

今回PROMPTYでは、大手企業の生成AI導入事例12選を紹介しました。 今回の情報を元に、皆さまも自社の生成AI活用のヒントを得ることができれば幸いです。

PROMPTYでは、他にもChatGPTや生成AI技術に関する情報もたくさん提供しているので、興味がある方は是非ご覧ください。