2023年8月、世界最大級のコンサルティング会社であるMcKinsey and Companyが、新しいAIツール「Lilli」を発表しました。
このツールは、CTO Jacky Wright氏が率いる「ClienTech」チームによって設計され、シニアパートナーのErik Roth氏が開発を指揮しました。
名前は、1945年に採用された初の女性社員Lillian Dombrowski氏にちなんで命名されています。
「Lilli」の概要
「Lilli」は、情報、洞察、データ、計画を提供したり、最適な社内のコンサルタントを推薦する新しいチャットアプリケーションです。
インターフェイスはOpenAIの「ChatGPT」などに似ており、保存されたプロンプトを編集、拡張可能なサイドバーなどの特徴があります。
また、「GenAI Chat」と「Client Capabilities」の2つのタブが含まれており、全ての回答の下に「ソース」セクションを設け、回答の根拠を表示しています。
「Lilli」の活用事例
McKinsey and Companyの新しいAIツール「Lilli」は、MVP(最小実行可能製品)として約7,000人の社員に使われた結果、2週間で50,000件の質問に回答しました。
この結果、66%のユーザーが週に何度も利用するほどの効果がありました。
また、McKinsey and CompanyのAIツール「Lilli」は、企業の多岐にわたる課題解決に対応しています。
具体的には、大手eコマース小売業者についての分析から、今後10年間のアメリカにおけるクリーンエネルギーの見通し、10週間の新しいエネルギープラントの建設計画などの情報を提供することができます。
「Lilli」の今後の展望
McKinsey and CompanyのAIツール「Lilli」は、社外展開の可能性も視野に入れています。
Roth氏は、ホワイトラベル化(他社が開発・製造した商品やサービスを自社ブランドの名前で販売すること)や他企業への提供の可能性も排除していないと述べ、現時点での話し合いが進行中であることを明らかにしました。
この取り組みは、企業が自社開発のAIツールを市場に展開する新しいビジネスチャンスとなり得るでしょう。
「Lilli」によってコンサルの仕事は奪われるのか
McKinsey and CompanyのAIツール「Lilli」は、情報提供、分析、計画立案など、コンサルタントの一部の業務を自動化する能力を持っています。
しかし、コンサルティングの仕事が完全にAIに奪われる可能性は低いと考えられます。
人間のコンサルタントが持つ戦略的思考、クライアントとの対話、複雑な問題解決などの能力は、現段階のAIでは代替できない部分が多いからです。
むしろ、「Lilli」のようなツールは、コンサルタントの業務を効率化し、より高度な分析や戦略立案に集中できるよう支援する役割を果たすと期待されます。
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