OpenAI CEOのサム・アルトマンが退任し、マイクロソフトへ

OpenAIは、日本時間11月18日にサム・アルトマンがCEOを辞任し、取締役会を離れることを発表しました。

その後、様々な報道や憶測が飛び交いましたが、11月20日にマイクロソフトCEOのサティア・ナデラのTwitter(X)のポストで、サム・アルトマンがマイクロソフトに入社してAI 研究チームを率いることが発表されました。

11月18日:サム・アルトマンCEOが解任される

11月18日に、OpenAIの公式ブログからCEOのサム・アルトマンが解任されたことが発表されています。

引用:OpenAI

公式ブログでの発表内容

公式ブログで発表された声明の全訳は次の通りです。

OpenAIの取締役会は、同社の最高技術責任者であるミラ・ムラティを暫定CEOとして任命し、サム・アルトマンが同社を去ることを発表しました。

恒久的な後任を見つけるための探索プロセスが進行中です。

全てのOpenAI活動の総括的な統治機関である501(c)(3)のOpenAI, Inc.の取締役会は、サム・アルトマンがCEOを辞任し、取締役会を去ることを発表しました。同社の最高技術責任者であるミラ・ムラティは、即効で暫定CEOとして務めます。

OpenAIのリーダーシップチームのメンバーとして5年間務めたミラは、同社が世界的なAIリーダーに成長する上で重要な役割を果たしてきました。彼女は独自のスキルセット、同社の価値観、運営、事業への理解を持ち、すでに同社の研究、製品、安全機能を率いています。長い在籍期間と会社の全ての側面、AIガバナンスやポリシーの経験を含めた密接な関与を考慮し、取締役会は彼女がこの役割に最適であると信じており、恒久的なCEOを正式に探す間、スムーズな移行が行われると予想しています。

アルトマン氏の退任は、取締役会の熟慮に基づく検討プロセスを経たものであり、その結果、同氏は取締役会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直さを欠き、取締役会の責任遂行を妨げているとの結論に達しました。取締役会は、同氏が引き続きOpenAIを率いる能力への信頼を失いました。

取締役会は声明で「OpenAIは、汎用人工知能(AGI)が全人類に利益をもたらすことを確実にするための使命を推進するために意図的に構築されました。取締役会は、この使命に完全にコミットしています。我々はサムがOpenAIの設立と成長にもたらした多くの貢献に感謝しています。同時に、我々は前進するにあたり新しいリーダーシップが必要だと考えています。会社の研究、製品、安全機能のリーダーとして、ミラは暫定CEOとしての役割に非常に適任です。我々は彼女がこの移行期間中にOpenAIをリードする能力を最大限に信頼しています」と述べています。

OpenAIの取締役会は、OpenAIの最高科学者イリヤ・スツケヴァー、独立取締役であるQuoraのCEOアダム・D’アンジェロ、技術起業家ターシャ・マッコーリー、ジョージタウン大学セキュリティと新興技術センターのヘレン・トナーから構成されています。

この移行の一環として、グレッグ・ブロックマンは取締役会の議長を辞任し、CEOに報告する役職で会社に留まります。

OpenAIは2015年に非営利団体として設立され、人工一般知能が全人類に利益をもたらすことを確実にすることがその核となる使命です。2019年には、この使命を追求するために資本を調達できるようにするために、OpenAIは構造を再編しましたが、非営利団体の使命、ガバナンス、監督は維持されています。取締役会の大半は独立しており、独立取締役はOpenAIに株式を持っていません。同社は劇的な成長を遂げていますが、取締役会の基本的なガバナンス責任は、OpenAIの使命を推進し、その憲章の原則を維持することです。

重要なポイントは次の通りです。

  • サム・アルトマンがOpenAIのCEOおよび取締役会を解任された。
  • 彼の後任として、CTOのミラ・ムラティが暫定CEOに任命された。
  • アルトマンの解任は、取締役会とのコミュニケーションにおける率直さの欠如のため
  • グレッグ・ブロックマンは取締役会の議長を辞任し、CEOに報告する役職で会社に留まることになった。

サム・アルトマンおよびグレッグ・ブロックマンの反応

サム・アルトマンは今回のCEO解任の発表について次のようにコメントしています。

日本語訳:
OpenAIで過ごした時間は私にとって本当に変革的なものでした。個人的にも、世界にとっても少しはそうであったことを願っています。何より、非常に才能ある人々と一緒に働けたことが最も素晴らしかったです。次に何をするかについては、後ほど話すことがあります。

共同創業者で社長を辞任したグレッグ・ブロックマンは次のようにコメントしています。

日本語訳:
本日、取締役会による行動によって、サムと私はショックと悲しみを感じています。

まず、OpenAIで共に働いた素晴らしい人々、私たちの顧客、投資家、連絡を取ってくれたすべての人々に感謝の気持ちを伝えたいと思います。

私たちもまだ、実際に何が起こったのかを理解しようとしています。現在分かっていることは以下の通りです:

  • 昨夜、サムはイリヤから金曜正午に話をしたいというテキストを受け取りました。サムはGoogle Meetに参加し、グレッグを除く全取締役会がそこにいました。イリヤはサムに解雇されること、そしてそのニュースがすぐに公表されると伝えました。
  • 午後12時19分に、グレッグはイリヤから短い電話をしたいというテキストを受け取りました。午後12時23分に、イリヤはGoogle Meetのリンクを送りました。グレッグは取締役会から除かれるが(会社にとって重要で役割は維持される)と、サムが解雇されたことを告げられました。同じ頃、OpenAIはブログ記事を公開しました。
  • 私たちの知る限りでは、経営陣はこれを直後に知らされましたが、ミラだけは前夜に知ったようです。

多くの方からのサポートの声は本当に嬉しいです。感謝しますが、心配に時間を費やさないでください。私たちは大丈夫です。もっと大きなことがもうすぐやってくるでしょう。

これらの投稿の内容を見るに、決して円満な退任のようには思えません。
OpenAI DevDayでの重大発表から10日ほどで、この解任騒動には世界中のユーザーが驚いたでしょう。

11月20日:サム・アルトマンがマイクロソフトへ

サティア・ナデラのポスト

11月20日、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラはTwitter(X)の投稿で、サム・アルトマンとグレッグ・ブロックマンが同僚とともにマイクロソフトに加わり、新しいAI 研究チームを率いることになったことを発表しました。

日本語訳:
私たちはOpenAIとのパートナーシップに引き続きコミットしており、私たちの製品ロードマップ、Microsoft Igniteで発表したすべてのもので革新を続ける能力、そして顧客とパートナーをサポートし続けることに自信を持っています。我々は、Emmett ShearとOAI社の新しいリーダーシップチームを知り、彼らと一緒に働けることを楽しみにしています。

また、サム・アルトマンとグレッグ・ブロックマンが同僚とともにマイクロソフトに入社し、新たな先進AI研究チームを率いるというニュースを共有できることを非常に嬉しく思います。私たちは、彼らの成功に必要なリソースを迅速に提供することを楽しみにしています。

サム・アルトマンはこの発表の直後に「the mission continues」と反応しています。

今後、サム・アルトマンを始めとしたOpenAIを去ったメンバーがどのようにマイクロソフトに関わっていくのか、マイクロソフトの発表が待たれます。

OpenAIの暫定CEOはエメット・シアに

米メディアThe Informationの報道によれば、OpenAIの新CEOはエメット・シアーが起用されるとのことです。

エメット・シアは動画配信サービス「Twitch」の前代表です。本人からコメントも発表されました。

OpenAIから数十人の社員が離職か

サティア・ナデラの発表前に、米メディアThe Informationの報道でOpenAIから数十人の社員が離職すると発表されています。

サム・アルトマンの退任・マイクロソフトへの加入を受けて、OpenAIから人材の流出が加速するかもしれません。

まとめ

11月18日に、OpenAIはCEOのサム・アルトマンを解任し、取締役会から離れる声明を発表しました。

さらに、11月20日にはマイクロソフトのCEOのサティア・ナデラからサム・アルトマンがマイクロソフトに加わり、新しいAI研究チームを率いることを発表しました。

僅か3日のこれらのニュースは、多くの人々を驚かせるものになったでしょう。OpenAIの組織が大きく変わったことにより、ChatGPTのサービスやAPIにどのような影響があるのか、またマイクロソフトの組織・サービスにもどのような変革があるのか今後の発表に期待が高まります。