昨今話題になっている職業「プロンプトエンジニア」ですが、実際はどのような仕事なのか、なぜ注目されているか分からない方も多いのではないでしょうか。
実は、プロンプトエンジニアは、最高年収が4500万円に達する企業が米国で誕生するほど需要が高まっていると言われる職業です。
今回PROMPTYでは、プロンプトエンジニアとはなにか、重要性、どのようなスキルが必要なのか説明していきたいと思います。
プロンプトエンジニアとは
意図した回答を得るための「プロンプトを作成」する仕事
プロンプトエンジニアとは、生成AIを活用して、質問や課題に対する答えや解決策を提示する人々のことを指します。彼らは、生成AIの能力を最大限に活かすために、適切なプロンプト（質問や指示）を作成し、AIから得られる回答や提案を分析・評価します。
そして、その結果をもとに、より良いプロンプトを設計し、AIの性能を向上させることを目指します。生成AIには、近年話題の文章生成AIであるChatGPTや、画像生成AIのStable Diffusionなどが含まれます。
AIの回答の質はプロンプトの質と量によって変わる
ChatGPTをはじめとした生成AIは、簡単な指示でも成果は上がりますが、回答の質は提供されるプロンプトの情報量と質によって変わります。
プロンプトには、モデルへのガイダンスや問いかけ、文脈、入力データ、その他の具体例などが含まれ、これらの要素を上手に活用することで、より良い結果が得ることができます。
こちらの記事でプロンプトの情報量と質にによって回答が大きく変わることについて説明しています。
プロンプトの量と質によって回答の質は異なる ChatGPTをはじめとした生成AIは、簡単な指示でも成果は上がりますが、その質は提供される情報の量と質によって変わります。 プロンプトには、モデルへのガイダンスや問いかけ、文脈、入[…]
プロンプトエンジニアが活躍する例
例えば、ある企業が商品の説明文を自動生成するために生成AIを使いたいとします。プロンプトエンジニアは、AIに適切な質問や指示を与えることで、商品の特徴や利点を分かりやすく伝える説明文を生成させることができます。
そして、その結果を評価し、より良い説明文が生成されるようにプロンプトを改善します。結果的に高い確率で質の高い説明文を生成できるようになります。
このように、生成AIの発達とともに、プロンプトエンジニアはAIをより効果的に活用するための重要な役割を担っています。
プロンプトエンジニアの需要が高まる3つの理由
プロンプトエンジニアの需要が高まる理由として、以下の3つが挙げられます。
- ①AI技術の進化
- ②業務効率化・コスト削減
- ③AI技術の急速な発展による人材不足
①AI技術の進化
近年のAI技術の発展により、生成AIは高度な自然言語処理能力や画像認識能力を持つようになりました。これにより、多くの企業や研究機関が生成AIを活用することで競争優位を築こうとしており、プロンプトエンジニアの需要が高まっています。
②業務効率化・コスト削減
生成AIをうまく活用することで、人間が行っていた業務の一部を自動化し、効率化やコスト削減が図れます。これにより、企業はより多くのリソースをイノベーションや競争力向上に投資できるようになります。
③AI技術の急速な発展による人材不足
AI技術の急速な発展に伴い、その活用方法が多様化し、あらゆる業界での利用が進んでいます。しかし、その成長に伴って人材不足が問題となっており、特にプロンプトエンジニアなどの専門的な知識やスキルを持つ人材が求められています。
多くの企業がAI技術を活用することで競争優位を築こうとしており、そのために優秀なプロンプトエンジニアを確保することが重要です。この結果、プロンプトエンジニアの需要が増加し、人材不足が深刻化しています。
プロンプトエンジニアとして重要視されるスキル
プロンプトエンジニアリングでは、目標とするアウトプットに適合するプロンプトの設計が求められており、評価や実験の過程では、その人の言語能力が大きく影響すると言われています。
特にGPT-3.5やGPT-4などの文章生成AIの場合、エンターテイメント領域のマーケティングやデータ分析などにおいて、欲しい返答内容を正確に定義するための言語能力が重要です。
多くの生成AIにおいて、冗長な表現よりも適切な形容詞や簡潔な表現がされているプロンプトの方が良いよい回答がされることが研究で示されており、言語表現力の豊かさがプロンプトエンジニアリングにおいて大きな改善要素となります。
プロンプトエンジニアの将来性
年収4500万円という高額報酬を提示されるケースも
プロンプトエンジニアの年収が米国で最大33万5000ドルに達する（役4500万円）というニュースも最近話題になりました。
生成AIツール普及によるプロンプトエンジニアの需要増加 生成AIツールの市場拡大に伴って、プロンプトエンジニアという職種が注目を集めています。プロンプトエンジニアは、AIチャットボットのトレーニングを行い、より質の高い回答が得られる[…]
今後もプロンプトエンジニアのスキルは価値が残る
Generative AIの急速な進化により、プロンプトの形式が大きく変わる可能性がありますが、AIとのコミュニケーションが人工言語から自然言語へとシフトする流れは今後も加速することは確実と言えます。
AIと対話するためのプロンプトエンジニアのスキルを磨くことは、将来的にも引き続き価値があると考えられます。
実際にプロンプトエンジニアリングを行なってみよう
①ChatGPTに登録する
まずはOpenAIの公式ウェブサイトにアクセスし、ChatGPTへの登録を行ってみてください。登録自体はGoogleアカウントがあれば数十秒〜数分で完了できます。
登録方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
こちらの記事では、ChatGPTを利用したことがない方向けに、どのようにしてChatGPTを始めればよいのか、解説します。 ChatGPTはOpenAIのアカウントを作成するだけで簡単に始めることができます。アカウント作成は5分ほど[…]
②プロンプトエンジニアリングを始める
それでは実際にChatGPTの画面を見ながらプロンプトエンジニアリングの練習を行ってみましょう。今回は例として、「上司へのメッセージを送る」プロンプトの作成を行ってみます。
まずは簡単なプロンプトをChatGPTに質問してみる
まずは簡単にこのような質問をChatGPTに対して質問してみます。
入力文：
上司へのメッセージを考えてくださいそうすると以下のようなメッセージが返ってきました。
出力文：
はい、どのような内容のメッセージが必要でしょうか？具体的にお伝えいただければ、より適切なメッセージを提供できます。条件を追加してみる
これでは、具体性が足りなかったようです。次にもう少し条件を絞って質問してみるようにしましょう。
入力文：
上司へのメッセージを考えてください
上司の名前は「田中 太郎」で、目的は「本日の会議の欠席」です。上記のプロンプトをChatGPTに入力すぐと、次はこのような返答が返ってきました。
出力文：
件名：本日の会議の欠席について
田中 太郎様
いつもお世話になっております。ChatGPTです。
この度は急なご連絡で恐縮ですが、本日の会議に参加することができません。急なご報告となり、誠に申し訳ありません。
会議に参加できない理由は、急な取りまとめ業務のためです。急な変更でしたため、出席が困難であることをご理解いただけますようお願い申し上げます。
その他、連絡事項等ございましたら、何なりとお申し付けください。
今後ともよろしくお願いいたします。
敬具
ChatGPTそうすると、次は主語が「ChatGPT」になって返ってきました。この文章ではまだ条件が足りなかったようです。
条件をさらに洗練させる
次は具体的に主語、目的、文字数、詳細な目的を全て定義したプロンプトを作成していきます。
入力文：
上司へのメッセージを考えてください。
・私の名前は「プロンプティー 涼介」です。
・上司の名前は「田中 太郎」です。
・目的は「本日の午後13:00からの会議の欠席」です。
・理由は「事前の打ち合わせが長引いてしまったから」です。
・このメッセージはメールで送る予定です。出力文：
件名: 本日の会議について
田中様
プロンプティー 涼介です。本日の午後13:00からの会議について、申し訳ございませんが欠席させていただきたく存じます。
先程の事前打ち合わせが予想以上に長引いてしまったため、会議に参加することができません。田中様には大変ご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
今後ともよろしくお願いいたします。
敬具
プロンプティー 涼介結果、しっかりと自分の名前と理由などが記載された連絡用の文章が完成しました。このように、何度も試行錯誤を繰り返して、プロンプトを改良することにより、質の高い回答を得ることができます。これがプロンプトエンジニアリングです。
PROMPTYにはプロンプトテンプレートを多数掲載
プロンプトエンジニア専門メディア『PROMPTY』では、ビジネス、エンターテイメント、教育、ライフスタイルなど、多様なカテゴリのあらゆるシチュエーションに対応するために幅広いプロンプトテンプレートを提供しています。
まとめ
今回の記事では、プロンプトエンジニアについて詳細に説明してきました。
プロンプトエンジニアと聞くと、難しいことをするように思うかもしれませんが、よりAIの解答精度を上げるために、入力する文章を工夫することも立派なプロンプトエンジニアリングといえます。
まずは、ChatGPTなどで、自分が欲しい回答を得られるように工夫していくとよいでしょう。
