ChatGPTのクローズド環境とは?生成AIに関する様々なセキュリティ問題についても解説

「ChatGPTのクローズド環境って聞いたことあるけど、詳しくはよく分からない…」「AIを使うってセキュリティ上大丈夫なのか不安…」
そう思う方もいるのではないでしょうか。

ChatGPTのクローズド環境は、AIを限定された範囲で動かすための安全な環境のことを指します。この環境は、センシティブな情報を保護し、悪意ある活用を防ぐのに役立ちます。また、使用する際のセキュリティ問題についても気になることでしょう。

今回PROMPTYでは、ChatGPTのクローズド環境の意味やその重要性、セキュリティに関わる課題などについて詳しく解説していきたいと思います。安心してAIを活用するためのポイントもお伝えしますので、ぜひご一読ください。

そもそもChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発した一種のAI技術で、自然言語処理を駆使する大規模な言語モデルの名称です。

膨大な量の単語や文章を学習し、自然な会話のような表現でコミュニケーションを行うことが可能です。例えば、質問への応答、文章生成、翻訳など多岐にわたる活用が可能です。

ChatGPTの詳細について、詳しくは以下の記事で解説しています。

関連記事

ChatGPTとは、人間に近い自然な会話を実現するAIチャットツールで、先進的なAI技術が活用されています。 2022年11月に登場し、その無料でアクセス可能な画期的な性質が話題を呼び、SNS上で高品質な文章生成や人間らしい回答が評[…]

ChatGPTには様々な活用事例が存在する

ChatGPTはその便利さから、様々な分野やタスク処理において活用されています。

例として以下のようなものが挙げられます。

  • チャットボットの作成
  • 文章の翻訳・要約
  • ブレインストーミング

詳しくは以下の記事で解説しています。

関連記事

AI技術の発展がビジネス界に画期的な変革を引き起こしている中、OpenAIのChatGPTが特筆すべき存在です。 かつては専門家限定の道具だったAIが、今や一般の人々も利用可能になり、知的労働の大量生産が現実のものとなりつつあります[…]

クローズドな環境とはどのようなもの?

クローズド環境とは、通信ネットワークの一種で、一般的なインターネット接続や外部からの直接アクセスを排除したものです。この特殊なネットワークは、インターネットにおける攻撃、通信の盗聴、データの改ざんなどのリスクを効果的に避けることができ、また、特定の利用者のみがアクセス可能なプライベートネットワークを構築するためにも利用されています。

ChatGPTはセキュリティなどの面でさまざまなリスクを抱えている

ChatGPTは現在注目を集めていますが、その一方で品質、倫理、セキュリティなどの側面で懸念が表明されていることがあります。

考えられるリスクの一例として、

  • 誤った回答をする場合がある
  • 犯罪などに悪用される恐れがある
  • 機密情報が漏れる可能性がある

などがあります。詳しくは以下の記事で解説しています。

関連記事

「ChatGPTに問題点はあるの?」「ChatGPTを使うにあたって気を付けるべきことは?」と気になりますよね。 ChatGPTはとても便利なAIサービスですが、いくつかの面で問題点が存在します。 今回PROMPTYでは、Ch[…]

ChatGPTをクローズド環境で使用する方法について解説

クローズド環境内でChatGPTを適切に運用することは、外部漏洩のリスクを大幅に低減する手段となります。ChatGPTはユーザーの入力から学習しますが、誤って機密情報を学習する心配はありません。それはクローズド環境の外部に情報が漏れないからです。

ただし、ChatGPTをクローズド環境で使用するには、幾つかのステップを踏む必要があります。まず初めに、ChatGPTのAPIを取得し、それを自社システムやネットワークに組み込む必要があります。この過程で、APIキーの取得と、適切なコードの記述が必要です。

次に、ChatGPTがアクセスできるデータに制限をかけるための設定が必要です。どのデータにChatGPTがアクセスできるか、どのデータにはアクセスできないかを明確に定義します。

最後に、ChatGPTの使用を監視し、不適切な利用を防ぐための監視システムを設置します。ログの定期的な確認や、異常な活動を検出するアラートシステムを含みます。

これらの手順を遵守することで、ChatGPTをクローズド環境で安全に運用できます。しかし、これらのステップは専門的な知識が必要ですので、IT部門や専門家の協力をお勧めします。

社内向けにクローズド環境のChatGPTを提供するサービスも存在する

生成AIの利用は、ChatGPTの登場により急速に普及しています。これにより、多くの企業は業務の生産性向上や新たなユーザー体験の向上に向けて大いに期待しています。

しかし、ChatGPTの法人利用にはセキュリティ上の懸念や実際の活用方法についての不明確さから、企業は導入に慎重な姿勢をとっています。

エクスプラザは各企業のニーズに合わせて、セキュアな環境でChatGPTを利用できる取り組みやすいサービス「EXPLAZA 生成AI Chatbot」を提供しています。

このサービスは、セキュアに法人向けに利用できるChatGPT環境の構築を支援します。

参考:PR TIMES

ChatGPTの利用を一時的に禁止した国も存在する

ChatGPTのセキュリティについて、最初に反応したのは、個人情報の保護に特に敏感なEU諸国でした。2023年3月末には、イタリアが一時的にアクセスを制限し、その後、ドイツやフランスなども同様の措置を検討しているという報道が広まりました。

このような背景には、EUが個人情報の取り扱いに厳格な基準を持つGDPR(General Data Protection Regulation)という法律が関与していることが考えられます。

GDPRについて簡単に説明すると、EU域内で個人情報を保護するための法律であり、EU内に拠点を置く企業や組織、政府機関、およびEU市民の個人情報を処理する全ての組織に適用されます。GDPRは、個人情報の取り扱いに関する厳格な要件を規定しています。

例えば、GDPRに従う企業や組織は、EU市民から個人情報の使用許可を得る必要があります。また、EU市民のデータを適切に保護しなければなりません。GDPRの違反は、高額な罰金が科される可能性があるため、慎重な対応が求められます。

GDPR違反の罰則は、全売上の4%または2,000万ユーロ(1ユーロ=145円で約29億円)の内で高い方が適用されます。

この状況を受けて、OpenAI社は個人情報の取り扱いに関する新しい対策を迅速に公表しました。その結果、イタリアは個人情報の取り扱いに関する条件を満たしたと認め、2023年4月末にChatGPTの利用制限を解除しました。

ChatGPTのセキュリティに関する議論は、今後も国際的に続くでしょう。

                        参考:日本経済新聞

関連記事

2023年3月30日、イタリアでChatGPTが禁止されました。 「なぜ禁止になったの?」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その後再度使用は認められていますが、それまでの出来事を時系列順に解説していきます。 […]

教育現場においても同様に問題が発生している

ChatGPTの教育現場における悪用に関しても、同様に問題が懸念されています。このツールは、論文などの文章を自動生成するため、学生たちによる不正利用のリスクがあるからです。

アメリカでは、ChatGPTの不正利用について激しい議論が繰り広げられ、ニューヨークやシアトルの公立学校では既に禁止措置が取られています。しかし、先述の通り、このツールの利用は非常に容易で、無料で入手可能です。そのため、表面的な禁止だけでは完全な解決策にはなり得ないと言えます。

日本においてChatGPTの今後の展望はどうなる?

日本におけるChatGPTの利用については、需要の増加が予想されます。それは、顧客とのコミュニケーションの改善や、顧客サポートの効率化など、ChatGPTが企業に多くのメリットを提供できるためです。

企業がChatGPTを導入する際には、個人情報の保護に十分な注意を払う必要があり、適切な情報セキュリティ対策を講じることが必要です。このため、将来的には、企業など専用の環境で稼働する「クローズドな環境のChatGPT」が提供される場面が増加するでしょう。

まとめ

今回PROMPTYでは、生成AIが抱えるセキュリティリスクや様々な問題点と、セキュリティリスクを回避するためにクローズド環境でChatGPTを使用する方法について解説してきました。

ChatGPTはセキュリティなどの面で様々な懸念点が存在する一方で、クローズド環境でこのツールを利用することによってこれらの問題を回避できる場合が存在します。

PROMPTYでは他のChatGPTに関する記事も多く取り扱っているので、是非参考にしてみて下さい。