2023年3月30日、イタリアでChatGPTが禁止されました。
「なぜ禁止になったの?」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その後再度使用は認められていますが、それまでの出来事を時系列順に解説していきます。
3/30 イタリアでChatGPTが一時使用禁止に
2023年3月30日イタリアではChatGPTが一時使用禁止となる事態が発生しました。
その理由として、OpenAIあるいはChatGPTに関する以下のようなことが原因とされています。
①プライバシー法違反
②個人情報の不当収集
③データ収集に関する透明性の欠如
④年齢確認システムが無い
⑤情報漏洩のリスク
①プライバシー法違反
ChatGPTは使用者に対し適切な回答を行うために、ユーザーとの会話データなどを記録しています。
会話記録にはユーザーに関する個人情報が含まれている場合もあるため、イタリアのデータ保護機関(GPDP)はこの点でプライバシー法に違反していると指摘しました。
EUのプライバシー法では、データ管理者はプライバシー法を遵守する義務がありますが、OpenAIはこれに違反している可能性があるとされていました。
②個人情報の不当収集
先述の通り、ChatGPTの開発元であるOpenAIはユーザーデータを収集し、そのデータをChatGPTのアルゴリズム改善に使用しています。
このデータ収集には法的正答性が欠如しており、収集したデータを改ざんし使用する恐れもあると懸念を表明しました。
EUのプライバシー法では、個人が自身の情報が収集されることを理解した上で同意していなければ、データ管理者がユーザーデータを取得、利用することはできません。
OpenAIはこれに違反していると指摘されていました。
③データ収集に関する透明性の欠如
ユーザーデータの収集行為をOpenAIはユーザーに対し通知していなかった点も指摘されています。
これもEUのプライバシー法に違反しているため問題視されています。
④年齢確認システムが無い
ChatGPTには年齢確認を行うシステムが存在しませず、生年月日を偽ってしまえば誰でもアカウントを作成できてしまいます。
GPDPはこれを問題視しており、ChatGPTが表示する情報によっては13歳未満の子供たちに悪影響を及ぼす影響があると懸念を表明しました。
⑤情報漏洩のリスク
ChatGPTは同年同月の20日に情報漏洩を起こしています。
あるユーザーに対し、別のユーザの個人情報やクレジットカードの情報が表示される事態やチャットのログ一覧に違うユーザーの会話文ログが発生するという事態が発生しました。
サム・アルトマン(OpenAIのCEO)はこの事態で影響を受けたユーザーはごく少数であると述べていますが、この情報漏洩事案もイタリアがChatGPTを問題視した原因の1つです。
ChatGPTが犯罪に利用されたり、サイバー攻撃を受ける可能性があることに懸念を表明しました。
ChatGPT禁止以後のイタリアでの動向
次にChatGPTの一時使用禁止を表明した後のイタリアでのChatGPTに関する動向をご紹介します。
①4/5 OpenAIとGPDPのビデオ会議
②4/12 GPDPからOpenAIへ個人情報保護対策の要求
①4/5 OpenAIとGPDPのビデオ会議
同年4月26日、GPDPはOpenAIが当局へと改善案を提出する見込みであることを発表しました。
当局とOpenAIは前日5日の夜にビデオ会議を行い、そこでOpenAIはデータ管理の透明性向上など、懸念事項への対処を行う方針を伝えたようです。
②4/12 GPDPからOpenAIへ個人情報保護対策の要求
4月12日、GPDPはOpenAIへ4月末までに個人情報保護対策を講じるように求めたと発表しました。
具体的な要件は以下の通りです。
・ホームページにユーザーデータ処理の方法を公開すること
・不正確な個人データの生成があり、外部から削除要請ができるようにすること
・5/15までに個人情報の扱いをメディアを通じて発表すること
・年齢確認確認システムの導入
4/28 イタリアでのChatGPT使用が解禁
2023年4月28日、GPDPはChatGPTの一時使用禁止を解除したと発表しました。
4月中旬に要請した懸念事項への対応策の実施、加えてサービス利用時の履歴を削除できるようにしたことで、条件を満たしたとし、ChatGPT使用の再開を認めました。
現在もイタリアではChatGPTの使用は認められており、問題なく使用することができます。
まとめ
今回はイタリアでのChatGPT使用禁止から再開までの流れを時系列順で解説しました。
イタリア以外にもChatGPTに規制をかける国は増えています。
現状日本は活用していく方針ですが、今後の流れもしっかりと追っていくことが大切です。