論文・レポート作成に役立つChatGPTの使い方まとめ!

「論文・レポート作成で時間がかかってしまう…」「ChatGPTを使えば効率的に論文・レポートが作れるの?」そう思う方もいるのではないでしょうか。

実は、ChatGPTを正しく活用することで、論文・レポート作成に役立てることができます。

今回PROMPTYでは、論文・レポート作成に役立つChatGPTのプロンプトやおすすめプラグインを詳しくご紹介します。

論文・レポート作成にChatGPTを活用するときの注意点

著作権への配慮が必要

論文・レポートの作成におけるChatGPTには、著作権への配慮が必要です。現時点ではChatGPTで生成された文章の著作権はユーザー側にあるとされており、OpenAIの利用規約によれば、ユーザーはサービスに対して入力データを提供し、その入力に基づいてサービスから生成された出力データを受け取ることができます。そして、適用可能な法律が認める範囲で、ユーザーは入力データのすべての権利を所有し、OpenAIは出力データに関するすべての権利をユーザーに譲渡されます。

(a) Your Content. You may provide input to the Services (“Input”), and receive output generated and returned by the Services based on the Input (“Output”). Input and Output are collectively “Content.” As between the parties and to the extent permitted by applicable law, you own all Input. Subject to your compliance with these Terms, OpenAI hereby assigns to you all its right, title and interest in and to Output. This means you can use Content for any purpose, including commercial purposes such as sale or publication, if you comply with these Terms. OpenAI may use Content to provide and maintain the Services, comply with applicable law, and enforce our policies. You are responsible for Content, including for ensuring that it does not violate any applicable law or these Terms.

引用元:OpenAI

上記の文章の日本語訳を行うと以下のようになります。

あなたは、サービスに対して入力データ(以下、「入力」)を提供し、その入力に基づいてサービスから生成された出力データ(以下、「出力」)を受け取ることができます。入力と出力はまとめて「コンテンツ」と呼ばれます。適用可能な法律が認める範囲で、あなたとOpenAIの間では、あなたが入力データのすべての権利を所有します。これらの利用規約に従っている限り、OpenAIは出力データに関するすべての権利、タイトル、利益をあなたに譲渡します。これは、利用規約に従っていれば、コンテンツを販売や公開などの商業目的を含むあらゆる目的で使用できることを意味します。OpenAIは、サービスの提供・維持、適用法の順守、ポリシーの施行のためにコンテンツを利用することができます。あなたは、コンテンツに責任を持ち、適用法や利用規約に違反しないように確認する必要があります。

ChatGPTによる翻訳・要約済

以上のように、ChatGPTによる生成物に対する著作権問題は、ルールがまだ明確に確立されておらず、著作権がどのように扱われるべきかについての議論が進行中です。論文・レポート作成でChatGPTを活用する場合は、このような問題に注意する必要があります。

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情報の新規性・信頼性が十分でない

論文・レポート作成にChatGPTを活用する際には、ChatGPTの学習データの新規性や信頼性について注意する必要があります。ChatGPTの回答は、2021年9月までの学習データを元に出力されたいるため、最新の情報に対応していません。

また、ChatGPTは誤った回答や不適切な回答をすることがあり、これをハルシネーションと呼びます。ChatGPTなどの言語モデルは、正確な情報を提供するのではなく、文脈に適合するように見える回答を生成することから、ハルシネーションが生じることがあります。これは、事実に基づいていない情報や架空の出来事を生成することがあり、AIの応答が信頼性を欠く場合があります。

ハルシネーションの例:徳川十五代将軍をまとめてもらいましたが、本来は第5代将軍の綱吉が抜けています。

ハルシネーションが起きる理由としては、学習データの誤りやバイアス、文脈重視の回答、情報の古さ、情報の推測などが挙げられます。特に、ChatGPTの知識は2021年9月以降の情報や出来事については把握していないため、新しい情報に関する質問に対しては不正確な回答が生成される可能性があります。

ハルシネーション対策としては、人間による内容確認、詳細なプロンプト設定、複数AIの比較、検索機能を持つAIの活用が重要です。これらの対策により、ハルシネーションの発生を抑えることができますが、最終的な確認は人間が行うことが不可欠です。正確な情報提供を目指すため、技術と人間の協力が必要です。

このように、ChatGPTを論文・レポート作成に利用する際には。最新の情報には対応していないこと、ハルシネーションが起きる可能性があることに注意する必要があります。

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所属する機関の規則に従う

大学など教育の現場でもChatGPTをはじめとした生成AIの活用が進められています。しかし、レポートや論文の執筆にどの程度利用されて良いのかは大学によって異なり、各大学はそれぞれの規定やガイドラインを設け、生成AIの利用に対する方針を示しています。

例えば、東京大学では、生成AIの利用には注意が必要で、書かれている内容には嘘が含まれている可能性があると指摘しています。また、機密情報や個人情報などを安易にChatGPTに送信することは危険であると警告しています。さらに、生成AIが生み出したコンテンツが著作権侵害の対象になる可能性もあると述べています。

一方、上智大学では、リアクションペーパー、レポート、小論文、学位論文等の課題への取り組みにおいて、ChatGPT 等の AI チャットボットが生成した文章、プログラムソースコード、計算結果等は本人が作成したものではないので、使用を認めないとしています。AIの使用が確認された場合、大学の不正行為に関する処分規程に基づき厳格な対応を行うとしています。

このように、論文・レポート作成にChatGPTを活用する場合には、所属機関のルールを理解し、そのルールに従う必要があります。

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論文・レポート作成に役立つChatGPTの使い方

前章で紹介したように、ChatGPTを論文・レポートを作成する際には、注意点があります。しかし、使い方を工夫することで、論文・レポート作成にChatGPTを大いに役立てることができます。本記事では、論文・レポート作成に役立つChatGPTの使い方を7つご紹介します。

①文章の校正を行う

論文・レポートを作成する際、誤字脱字を始めとしたミスがないようにチェックする必要があります。しかし、文章を読み直して細かい点をチェックするのは非常に時間がかかります。そこで、ChatGPTを使って文章の校正をしてもらうことができます。

プロンプト:

#命令文
あなたは優秀な編集者です。
#制約条件に従って次の#文章を添削してください。
#制約条件
*#手順に基づいて文章を添削すること
*文章の順番に変更を加えないこと
*架空の表現や慣用句、ことわざを使用しないこと
*文章を省略しないこと
*#出力形式に従うこと
#手順
修正1:誤字脱字、タイプミスがあった場合は全て指摘してください。
修正2:言葉の表記にばらつきがあった場合は全て指摘してしてください。
修正3:数字の表記にばらつきがあった場合は全て指摘してしてください。
修正4:慣用句やことわざの表現に誤りがあると考えられる場合は全て指摘してください。
修正5:文脈に合わない単語が使われている場合は誤りを全て指摘してください。
修正6:主語と述語の組み合わせが間違っている場合は全て指摘してください。
修正7:文末の表現は全て「です、ます」口調に統一してください。
修正8:句読点の打ち方に不自然な点がある場合は全て指摘してください。

#出力形式
*修正後の文章
*修正した箇所とその理由

#文章:
{文章を入力}

ChatGPTの出力(GPT-4):

このように、ChatGPTを活用することで、間違った文章を校正してもらうことができます。

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②日本語の文章を英訳する

英語で論文・レポートを作成する際にも、ChatGPTを活用することができます。ここでは、英文をChatGPTに添削してもらうプロンプトを紹介します。

プロンプト:

#命令文
あなたは優秀な翻訳者です。
#制約条件に従って次の#英文を添削してください。
#制約条件
*#手順に基づいて文章を添削すること
*CEFRのC2レベル値する英文を作成すること
*架空の表現や慣用句、ことわざを使用しないこと
*文章を省略しないこと
*#出力形式に従うこと
#手順
修正1:誤字脱字、スペルミスがあった場合は全て指摘してください。
修正2:言葉の表記にばらつきがあった場合は全て指摘してしてください。
修正3:数字の表記にばらつきがあった場合は全て指摘してしてください。
修正5:文脈に合わない単語が使われている場合は誤りを全て指摘してください。
修正5:主語と述語の一致が間違っている場合は全て指摘してください。
修正6:文章のテンスやアスペクト(完了形、進行形など)が一貫していない場合、全て指摘してください。
修正7:不適切な前置詞が使用されている場合は全て指摘してください。
修正8:句読点の使用に問題がある場合は全て指摘してください。
修正9:文章が冗長である、または効率的に言い換えることが可能な場合は全て指摘してください。
修正10:より自然な表現やフレーズに言い換えてください。

#出力形式
*修正後の文章
*修正した箇所とその理由(日本語で出力すること)

#文章:
{文章を入力}

ChatGPTの出力(GPT-4):

このように、英語で文章を作成する際に、ChatGPTを活用することで、自分が書いた英文を正しく修正してもらうことができます。

③文章を要約する

学術的な文章や長い文章を読んで勉強する際にChatGPTを活用することで、文章の要約して読むことでき、理解を早めることができます。ここでは、ChatGPTに要約を作成してもらうプロンプトを紹介します。

プロンプト:

#命令書
あなたはプロの編集者です。以下の制約条件に従って、入力する文章を要約してください。
#制約条件
・重要なキーワードを取りこぼさない。
・文章の意味を変更しない。
・架空の表現や言葉を使用しない。
・入力する文章を句読点を含めて[文字数を入力]文字以内にまとめて出力。
・要約した文章の句読点を含めた文字数を出力。
・文章中の数値には変更を加えない。
#入力する文章
[要約する文章を入力]
#出力形式
要約した文章:
出力した文章の句読点を含めた文字数:

ChatGPTの出力(GPT-4):

このように、長い文章をChatGPTに入力することで、指定した文字数で要約することができます。

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④PDF形式の資料や論文の情報をまとめる

参考文献となる論文や資料の内容を理解する際にも、ChatGPTを役立てることができます。ここでは「AskYourPDF」「LinkReader」などのChatGPTのプラグインを活用して、ChatGPTにPDF形式の論文や資料を解析してもらうプロンプトを紹介します。なお、ChatGPTのプラグインは、現在ChatGPT Plus(有力版)のみが利用できることに注意してください。

プロンプト:

#命令文
あなたはプロの翻訳者です。
#手順に従って論文を要約してください。
#出力形式に従うこと
#論文のリンク
{論文のリンクを入力}

#手順
1.論文のリンクを読み込む
2.論文の各章の内容を要約する
3.各章の繋がりを関連付けて、論文全体を要約すること
4.論文の要約を3~5個の箇条書きで示す。一つの箇条書きは100字程度の文章にすること。研究の問いや、論文の新規性、研究結果の意味や影響がめいかくにわかるようにまとめること
5.論文の要約を自然な日本語に訳して出力すること

#出力形式
*タイトル(和訳)
*著者、雑誌名、公開年
*日本語の要約<箇条書きで示す>

AskYourPDFプラグインを使ってPDFを要約した結果:

doc_idで要約するPDFを指定しています。

このように、ChatGPTのプラグインを活用することで、難解な論文やPDF資料も日本語で要約して内容を理解することができます。

AskYourPDFやその他のプラグインの詳しい使い方を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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⑤参考文献を探す

論文・レポートの作成するための参考文献を探す際にも、ChatGPTを役立てることができます。「Scholar AI」のChatGPTのプラグインを活用することで、学術的な資料を探すことができます。

ScholarAIをプラグインを活用することで、参考となる文献の情報を提示してくれます。PDFリンクから実際に論文をダウンロードすることができます。

ちなみに、GPT-3.5(無料版)では、かなりの確率で存在しない論文の情報を出力(ハルシネーション)してしまうので注意してください。

⑥コードを書いてもらう

ChatGPTを活用することで、コードを調べたり、書いたりする手間を省くことができます。

プロンプトで、要件や出力形式を詳細に入力することで、所望の出力を得ることができます。

現在は、ChatGPTで実際にコードを実行するCode Interpreterもリリースされています。

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まとめ

今回PROMPTYでは、ChatGPTを使って論文・レポート作成する際の注意点と、論文・レポート作成に役立つChatGPTの使い方を紹介しました。

  • 文書の校正を行う
  • 英文を添削してもらう
  • 文章を要約する
  • ChatGPTのプラグインを使ってPDFを解析する
  • ChatGPTのプラグインを使って参考文献を探す
  • コードを書いてもらう

ChatGPTの機能をフル活用すれば、時間と労力を大いに節約できます。今回の例を参考に、皆さまもChatGPTを活用して、論文・レポート作成の効率を上げてみてはいかがでしょうか。