「ChatGPTに規制は入っているの?」「ChatGPTに対する各国の対応はどうなっているのか」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昨今、特に外国においてChatGPTを規制しようとする気運が高まっています。
今回は、ChatGPTに対する諸外国の対応、そして肝心の日本の対応について解説します。
ChatGPTとは?
ChatGPTはOpenAI社が開発し、2022年11月30日にリリースしたチャットボットサービスです。
テキスト形式での会話が可能で、質問や指示(プロンプト)を行うことで、様々なパフォーマンスを行わせることができます。
日本語に対応しており、ユーザーは無料でこのサービスを活用することが可能です。
これまでにもAIが組み込まれた様々なサービスが存在しましたが、ChatGPTが話題となった理由は、その高い回答精度と人間らしい流暢な対話能力にあります。
ChatGPTのユーザー数は急激に増加しており、公開から1週間で利用者数が100万人を超え、2ヶ月後には1億人を突破しました。
現在様々な生成系AIが登場していますが、その中でも最も認知度の高いサービスです。
海外中心にChatGPT規制の流れ?
そんなChatGPTですが、海外を中心に政府主導での規制の流れが強まっています。ここでは、ChatGPTに対し、諸外国がどのような対応策を講じているのかご紹介します。
①イタリア
イタリアでは2023年3月31日にChatGPTの規制が行われました。
規制の理由は複数存在しますが、大きな理由としては以下のようなことが挙げられます。
・OpenAIのプライバシー法違反や個人情報の漏洩
・青少年への悪影響の懸念
・ChatGPTの影響による雇用減少の懸念
このような理由から、イタリア当局はChatGPTの国内利用を一時的に制限しました。
このニュースについては以下の記事で詳しく解説しています。
「ChatGPTはプライバシーについてなど問題が多い」「ヨーロッパを中心に禁止や規制の流れがある」 このようなニュースを最近よく目にします。 今回PROMTYでは、ChatGPTの禁止の流れと、日本政府がChatGPTの活用に[…]
②EU諸国
EU(欧州連合)は2023年6月14日に、世界初となる人工知能(AI)規制案を採択し、2026年での完全適用を目指しています。
生成系AIを使用する企業はEUのデータベースへの登録、提供するサービスの技術文章の作成などが義務付けられるようになりました。
今回の規制は、生成AIを含むAI全般に関わるルールだ。AIのリスクを①容認できない②高い③限定的④最小限――の4段階に分け、それぞれでAIサービスの提供者とユーザーへの義務を定める。
例えばトラック運転手に長時間運転させるため、AIを使って潜在意識を操作できる周波数を見つけ出すといった使い方は禁じる。捜査当局がAIを使った生体認証システムを使い、リアルタイムで市民を監視することも原則として認めない。
教育や労働者管理などリスクが高いとみなされた分野では、公開して市場に出す前に事前評価する仕組みをとる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1131I0R10C23A6000000/
上記の引用文からもわかるように、法律違反や人間への害が懸念される場合には、積極的な介入が行われることになりそうです。
この規制案は生成系AIに限らず、AI全般への規制案ですが、ChatGPTにも何らかの規制がかかる可能性があります。
③アメリカ
アメリカでもChatGPTの規制が実施される可能性があります。
2023年7月14日、ワシントン・ポスト紙は、FTC(連邦取引委員会)がOpenAIに対し消費者保護法を違反している可能性があるとして調査を開始したと報じています。
現在アメリカでは、規制案の検討が進められてはいるものの、EUのように具体的な規制案の可決には至っていません。
しかし、今回のOpenAIへの調査結果次第では、ChatGPTの規制が大きく進む可能性もあるため、今後の動向を注意深く見ておく必要がありそうです。
④中国
中国では、ChatGPTの使用が禁止されています。
中国国内では、ChatGPTの代わりとして、Baiduの「ERNIE Bot」や、アリババの「通義千問」といった生成系AIが使用されています。
GPTに類似したAI大規模言語モデル「通義千問」を発表 [上海 4月11日 ロイター] - 中国の電子商取引巨人アリババ・グループは、GPTに類似したAI大規模言語モデル「通義千問」を発表し、近い将来、同グループの全アプリケーション[…]
ChatGPTに対する日本の対応は?
諸外国の対応とは打って変わり、日本は生成系AIの使用に関してはかなり寛容な姿勢をとっています。
行政、民間企業共にChatGPTを業務フローの中に取り入れる事例が増えています。
今後も業務にあたる際、何らかの形でChatGPTを始めとする生成系AIを利用する機会が増加していくことが予想されます。
また日本政府も2023年4月10日に行われた、自民党の「デジタル社会推進本部」の会合にOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏を招聘し、AI技術に関するヒアリングを行っています。
このような事からも、日本では規制よりも積極的な導入が為されていくことが予想されます。
企業でのChatGPT規制の流れも
国単位でなくても、企業としてChatGPTの使用を禁止する所もあるようです。
例えば、韓国の「サムスン電子」では機密情報の漏洩を理由にChatGPTの使用が禁止されました。
2023年5月2日、ブルームバーグはサムスン電子が従業員に対してOpenAIのChatGPTを含む生成AIの使用を禁止する新ポリシーを策定したと報道しました。 参考:Bloomberg 機密データのアップロードによるリークが原[…]
その他にもAmazonなどがChatGPTの企業内での使用を禁止しており、企業によっても対応が分かれているのが現状です。
まとめ
今回はChatGPTに対する各国の対応を解説しました。ChatGPTを始めとする生成系AIは非常に便利な反面、情報漏洩の発生や年齢によっては使用者への悪影響等も想定されます。
日本の方針もいつ変更になるかは分からないため、定期的に最新の情報に目を通すことがおすすめです。