近年、AI技術の進化によりAIエージェントという言葉が注目を集めています。そんな中、開発を効率化できると話題を集めているAIエージェントがClineです。そんなClineですが、興味はあるが機能や使い方がわからないといった方も多いかと思います。
今回、PROMPTYではClineとは何か、その主な機能や導入方法、料金体系、ライセンス情報などを解説します。
AIを活用した効率的な開発に興味がある方や、AIエージェントに興味がある方などにとって有益な情報だと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
Clineとは?
Clineは、Visual Studio Code(VS Code)やCursorなどの統合開発環境(IDE)で動作するAIエージェント型の拡張機能です。このツールは、コード生成やファイル編集、ターミナル操作の自動化など、開発プロセス全体を支援することを目的として設計されています。Clineはオープンソースとして提供されており、誰でも無料で利用できる点や、カスタマイズ性の高さが特徴です。
Clineは単なるコード補完ツールを超え、まるで「開発のパートナー」のように動作します。自然言語で指示を与えるだけで、AIが自律的にタスクを遂行し、エラー修正や環境構築まで行ってくれるため、初心者から上級者まで幅広い開発者に支持されています。2025年現在、AI駆動開発のトレンドを牽引するツールの一つとして、多くのエンジニアが注目しています。
Clineの代表的な機能3選
Clineの魅力は、その多機能性にあります。以下に、代表的な機能を3選解説します。
①コードの自動生成と修正
Clineは、自然言語による指示を受け取ると、必要なコードを生成したり、既存のコードを修正したりします。例えば、「ReactでToDoリストを作成して」と依頼すれば、関連ファイルの作成からインポートの補完まで自動で行います。エラーや依存関係の見落としも最小限に抑え、効率的なコーディングをサポートします。
②ターミナル操作の自動化
ターミナルコマンドの実行もClineの得意分野です。パッケージのインストールや開発サーバーの起動など、開発者が手動で行う作業を代行します。提案されたコマンドはユーザーが承認する仕組みで、安全性も確保されています。
③ブラウザ操作
Clineは、ウェブアプリのテストや情報収集のためにブラウザを操作する機能も備えています。例えば、ローカル環境で動作するアプリを起動し、動作確認を自動で行うことが可能です。これにより、デバッグやテストの時間を大幅に短縮できます。
Clineの種類3選
Clineはオープンソースであり、コードが公開されているためそのフォーク版(派生版)が多く存在します。そのため、Clineを導入する際にどのClineを導入すれば良いか分からなくなる方も少なくないかと思います。そのため、ここではClineの種類を簡単に解説します。
①Cline
Clineの基本となる標準バージョンです。Clineでは多様なAIモデルに対応しています。
②Bao Cline
Bao Cline はClineのフォーク版(派生版)で、独自の機能や設定が追加されています。大きな特徴として、ファイル編集などにユーザーの許可が必要なため、安全性の高い設計となっている点が挙げられます。
③Roo Code (prev. Roo Cline)
Roo CodeもClineのフォーク版(派生版)であり、Bao Clineの機能に加えてカスタムモードが追加されています。大きな特徴としては、Clineと比べて高度な自動化設定が可能な点が挙げられます。
④Cool Cline
Cline、Roo Code、Bao Clineの機能を組み合わせClineのフォーク版(派生版)です。大きな特徴として、Cline、Roo Code、Bao Clineの良い機能を集約させており、使いやすさを重視した設計となっている点が挙げられます。
4つほどClineの種類を解説しましたが、初めてClineを使用する方は基本バージョンであるClineを導入することをおすすめします。
Clineの導入方法
この項目では、VS CodeにClineを導入する方法を解説します。Clineの導入は非常に簡単で、以下の手順で進められます。
①Clineをインストール
まず、ClineをVS Code上にインストールします。Clineは拡張機能なので、下記画像の赤線の表示をクリックしてください。

赤線をクリックすれば拡張機能の検索ができるので、「Cline」と検索し、「Cline」という拡張機能の「インストール」をクリックしてください。

②LLMの選択とAPIキーの設定
Clineのインストールに成功すれば、下記画像のように左にClineのロゴが表示されるので、そのロゴをクリックしてください。

Clineのロゴをクリックすれば下記画像のようになります。ここではClineで使用するLLMの選択とそのAPIキーを登録することができます。
LLMの選択とAPIキーを入力し、「Let’s go!」をクリックすればClineの導入は完了です。

このように、導入に特別な環境構築は不要で、数分あればClineの利用を開始できます。
ClineとCursorの違い
Clineとよく比較されるのが、同じくAIを活用した開発支援ツール「Cursor」です。両者の違いを以下の表にまとめました。
Cline | Cursor | |
提供形態 | 拡張機能(VSCode等) | 専用エディタ |
オープンソースか | ○ | ✖ |
主な機能 | コード生成、ターミナル操作、ブラウザ操作 | コード補完、AIチャット、エラー解析 |
商用利用 | 可能 | 可能 |
コスト | 無料(API利用料金はかかる)プランあり | 無料プランあり |
カスタマイズ性 | 高い Model Context Protocol(MCP)を使いカスタムが可能 | 限定的 内蔵された機能のみ利用可能 |
Clineはオープンソースであるためコストを抑えつつ柔軟にカスタマイズでき、ターミナルやブラウザ操作といった自律性が強みです。一方、Cursorは商用製品であり、UIの洗練度や安定性に優れ、初心者でも直感的に使える設計が特徴です。プロジェクトの規模や予算に応じて使い分けるのが賢明です。
Clineの料金体系
Cline自体はオープンソースで無料でインストール・利用が可能です。ただし、Clineの機能を利用するには、AIモデルのAPIを利用する必要があるため、その利用料金が発生します。
つまり、
利用料金=基本料金(無料)+API利用料
ということです。
そのため、Clineの利用料金を減らすためには利用前にAPIプロバイダーの料金体系を確認し、プロジェクトの規模に合わせたプランを選ぶことが重要です。
また、ClineにはAPI使用量やコストをリアルタイムで確認する機能があり、予算超過を防ぎやすくなっているのでその点は安心できるかなと思います。
Clineは商用利用可能?Clineのライセンスについて
Clineはオープンソースソフトウェアとして公開されており、提供しているライセンスはApache License 2.0です。
Apache License 2.0はソフトウェアのオープンソースライセンス(利用規約)の一つで、商業利用を含む広範な使用を許可しています。そのため、Clineは商用利用が可能です。
また、Apache License 2.0ではソースコードの改変や再配布も許可されているため、Clineはソースコードの改変や再配布も許可されています。
原文:
Subject to the terms and conditions of this License, each Contributor hereby grants to You a perpetual, worldwide, non-exclusive, no-charge, royalty-free, irrevocable copyright license to reproduce, prepare Derivative Works of, publicly display, publicly perform, sublicense, and distribute the Work and such Derivative Works in Source or Object form.日本語訳:
引用:Apache License 2.0
本ライセンスの条件に従い、各貢献者は、本作品および派生作品をソース形式またはオブジェクト形式で複製、派生作品の作成、公開表示、公開実行、サブライセンス、配布するための、永続的、全世界的、非独占的、無償、ロイヤリティフリー、取消不能の著作権ライセンスをお客様に付与します。
このようなライセンス関係の柔軟性により、Clineは個人開発者から大企業まで幅広いユーザーが安心して利用することができるのです。
まとめ
今回PROMPTYでは、Clineとは何か、その主な機能や導入方法、料金体系、ライセンス情報などを解説しましたが、いかがだったでしょうか。
以下がこの記事のまとめです。
- Clineは、Visual Studio Code(VS Code)やCursorなどの統合開発環境(IDE)で動作するAIエージェント型の拡張機能
- Clineには「コードの自動生成と修正」や「ターミナル操作の自動化」などの機能が備わっている。
- Clineはオープンソースであり、コードが公開されているため「Bao Cline」や「Cool Cline」などのフォーク版(派生版)が多く存在している。
- Clineの料金体系について「利用料金=基本料金(無料)+API利用料」である。
- ClineはApache License 2.0を提供しており、商用利用が可能である。
最後に、PROMPTYでは他にも生成AIのサービスなど、AI関連の情報に関する記事を多く取り扱っていますので、ぜひご覧ください。