2023年8月16日、アメリカのAP通信は、公式ブログにて生成AI(人工知能)に関する基本方針を発表しました。
この中で、「AIが記者の代わりになるとは決して考えていない」と強調し、記事の作成にはAIを活用しない方針を明確にしました。
生成AIの活用に対する基本方針
AP通信の基本方針では、AIの使用について「慎重に実験する。働き方の改善にもつながる」と評価しています。
先月には、ChatGPTを開発したアメリカのオープンAIと提携し、AIの活用方法を検討していました。
しかし、その一方で「事実の収集や記事をまとめるという記者の中心的な役割は変わらない」と強調しています。
ガイドラインの具体的な内容
記事の作成には生成AIを活用しないとしたほか、AIによって生成された画像などの作品をニュースで紹介する際にはその旨を明記することや、機密情報を生成AIに入力しないことなどのルールを打ち出しました。
詳しいガイドラインの内容は下記の通りです。
- OpenAI(ChatGPTの開発者)とライセンス契約を結び、慎重にChatGPTを実験するが、公開可能なコンテンツの作成には使用しない
- 生成AIツールからの出力は未検証の情報源として扱い、公開前に編集判断とソーシング基準を適用する
- 写真、ビデオ、オーディオの要素を変更しないため、生成AIで追加または削除することは許可しない
- AIによって生成された偽の現実の描写とされる画像の伝送を控えるが、ニュースの主題となるAI生成のイラストや芸術作品は、キャプションで明確にラベル付けされている限り使用可能
- 機密情報やセンシティブな情報をAIツールに入力しない
- 他のソースからの素材もAI生成コンテンツが含まれていないか慎重に確認する
まとめ
米AP通信の声明は、生成AIの活用が進展する中での重要なスタンスを示しています。
記者の役割の重要性を強調し、AIの活用に対して慎重な姿勢を見せたこの声明は、今後のメディア業界におけるAIの取り扱いに対する指針となる可能性があります。
最終的には、技術の進展と倫理的な考慮がバランスを取るべきであるという視点が強調されているのが特徴です。