経済産業省は8月7日に、「生成AIの時代におけるDX推進に必要な人材とスキルに関する考え方」について取りまとめた内容を発表しました。
この取りまとめは、生成AIの利用が生産性や付加価値の向上に寄与し、ビジネス機会を創出する可能性を強調しています。
参考:経済産業省,経済産業省(pdf)
「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」
取りまとめられた「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」は、下記の4つの論点で構成されています。
- 生成AIが社会にもたらすインパクト
- 生成AIがデジタル人材育成やスキルに及ぼす影響
- 生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル(リテラシーレベル)の考え方
- 政策対応
それぞれについて解説します。
①生成AIが社会にもたらすインパクト
生成AIは、ホワイトカラーの業務を中心に、生産性や付加価値の向上に寄与し、大きなビジネス機会を引き出す可能性があります。
企業視点では、生成AIの利用によるDX推進の後押しを期待し、経営者のコミットメント、社内体制整備、社内教育の他、顧客価値の差別化を図るデザインスキル等が必要としています。
②生成AIがデジタル人材育成やスキルに及ぼす影響
生成AIの進展により、人材育成と技術変化のスピードのミスマッチに留意し、その時々で環境変化をいとわず主体的に学び続けること、そのための企業内での環境整備等が必要となります。
自動化が進み「作業」が大幅に削減され、専門人材を含む人の役割がより創造性の高いものに変わり、人間ならではのクリエイティブなスキルやビジネス・デザインスキル等が重要としています。
③生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル(リテラシーレベル)の考え方
生成AI時代には、変化をいとわず学び続けるマインド・スタンスやデジタルリテラシー(倫理、知識の体系的理解等)、言語を使って対話する能力、指示(プロンプト)の習熟、言語化の能力、対話力(日本語力含む)等が求められるとともに、経験を通じて培われる「問いを立てる力」・「仮説を立てる力・検証する力」等も重要とされています。
④政策対応
政府は、生成AIの登場や進化を踏まえた「デジタルスキル標準(DSS)」の改訂を実施し、デジタルスキルを身につけるための教育コンテンツを一元的に提示するポータルサイト「マナビDX」において、生成AIの利用方法を学べる講座を追加掲載するようです。
また、「情報処理技術者試験」のうち「ITパスポート試験」について、出題範囲のシラバスに生成AIに関連する内容を追加するとともに、サンプル問題を公開するようです。
まとめ
経産省がまとめた「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」は、生成AIの時代における人材育成とスキル開発の重要性が強調されています。
企業は、変化する技術環境に対応するために、従業員のスキルセットを強化し、絶えず学び続ける文化を育む必要があります。
政府も、教育と試験の改訂を通じて、この変化に対応しています。
個人としては、クリエイティブな思考や問題解決能力の強化、自主的な学びの姿勢が求められます。