警察庁 業務効率化やフィッシングサイト識別に生成AI活用へ

警察庁は7月11日、生成AI利用の実証実験を今年度中に実施することを公表しました。

本プロジェクトは、国家公務員の労働環境改善を目的に業務効率化の一貫として開始されました。

国家公務員の業務効率化が目標

人事院が令和4年度に実施した職員の超過勤務の調査では全体の9.9%の職員が「超過勤務時間の上限を超えて働いていた」と回答しています。

このポイントは人事院の調査開始以降最も高い数値となっており、国家公務員の労働環境是正は急務となっています。

参考:人事院『上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合等について

警察庁は約7億円の予算を用いて、生成AIを活用した業務効率化に取り組むとしています。

具体的な使用用途

警察庁は生成AIを主に警察官の事務作業効率化に利用します。

過去の国会答弁の記録・警察白書から、警察独自の用語・共通認識を学習させ、資料作成や翻訳、全国各地への警察への問い合わせに使用されます。

警察庁は、生成AI使用の結果作業時間がどれだけ削減できたかを評価・分析し、早ければ来年度の実務や国会答弁に利用したいと述べています。

また、システムは外部に接続されないため、情報漏洩のリスクはありません

フィッシングサイトの識別にも活用

警察庁は今年3月にもフィッシングサイト識別のために生成AIを活用することを発表しています。

フィッシングサイトの識別は現在警察庁職員の目によって行われており、その部分を効率化していくこと、急速に増えるフィッシングサイトへの抑止力を目的に実施されます。

本プロジェクトは2025年度までの導入を目標に進められています。

まとめ

警察庁は7月11日、生成AI利用の実証実験を今年度中に実施することを公表しました。

庁内では業務効率化による警察官の負担軽減のために、庁外では違法サイト摘発のために生成AIが利用されます。

どちらのプロジェクトも社会的意義が大きく、成功が期待されています。