日進市 自治体業務における生成AIの実証実験を開始

愛知県日進市は6月、自治体業務における生成AI活用の実証実験を開始しました。

本記事では、日進市が取り組む生成AIによる資料検索業務の改善プロジェクトの背景と概要、そして具体的な技術であるRAGについて詳しくご紹介していきたいと思います。

プロジェクト実施の背景

日進市は昨今急速に進むICT化を受け、超スマート社会(Society 5.0)の実現のための「第6次日進市総合計画」を策定しています。

その下位計画として「日進市ICT推進のための基本方針」が策定されており、市民満足度の向上、そのための行政サービスの充実を主眼にICT化推進の基本方針が示されています。

参考:日進市『ICT化推進のための基本方針

今回のプロジェクトは、職員が業務の際に大量の資料に目を通し、該当箇所を発見するのに時間を要しているといった課題があり、内部事務効率化の達成のために開始されました。

プロジェクトの概要

今回のプロジェクトは、内部事務の効率化と多くの職員が実務において生成AIを体験できることの2つを観点に「生成AIによる資料検索業務の改善」を目的としています。

RAGと呼ばれる、外部情報の検索とテキスト生成を組み合わせた技術を用いて、庁内資料のデータベースと大規模言語モデル(以下LLM)を紐づける手法が採用されています。

これにより、検索時のニーズに対応する資料発見の高速化、複数資料を組み合わせた要約など、今まで多くの時間を必要としていた業務を効率化できる可能性があります。

RAGとは

RAGとは、Retrieval-Augmented Generation(拡張検索生成)の略称で、LLMの文章生成機能に検索機能をかけ合わせた技術のことを指します。

ユーザーの問いかけに対し、事前に用意したデータベース内での情報検索後、LLMを介して応答が行われます。

これにより、限られた組織内での情報検索において回答精度を大きく向上させることが期待できます。

まとめ

愛知県日進市は6月、自治体業務における生成AI活用の実証実験を開始しました。

本実証実験は主にRAGと呼ばれる技術を活用した、資料検索業務の改善が中心となっています。

今回の取り組みが成功すれば、全国の市区町村のモデルケースとなることが期待できます。