生成AIを用いた社内情報検索システム アサヒビールが9月上旬から試験運用開始

2023年7月27日、アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 松山一雄)は、日本マイクロソフト株式会社のAzure OpenAI Serviceが提供する、生成AIを用いた社内情報検索システムを9月上旬から試験導入すると発表しました。

このシステムは、丹青社が開発した「saguroot」を基にしており、社内で保有する膨大な資料やデータを一括で検索することが可能です。

参考:アサヒビール

システムの特長と目的

システムは、PDFやPowerPoint、Wordなどのさまざまな形式の資料データに対して、ファイル名だけではなく、ファイル内の文章、画像を含めて複合的な検索が可能です。

検索結果には、Azure OpenAI Serviceによって生成された100字程度の要約も表示されるため、資料データが検索の目的と合致しているか一目で確認できます。

主にR&D部門の社員を対象に始め、将来的にはアサヒグループ社内に点在している技術情報を集約・整理し、効率的に取得しやすくすることで、グループの知見を生かした商品開発の強化や業務効率化を目指します。

アサヒビールのDX戦略

アサヒグループは、中期経営方針において、3つのコア戦略のひとつとして「DX=BX(ビジネス・トランスフォーメーション)と捉え、3つの領域(プロセス、組織、ビジネスモデル)でのイノベーションを推進」を掲げています。

5月下旬には『ジェネレーティブAI 「やってTRY」プロジェクト』を発足し、生成AIの試行を通して同技術に関する利活用の知見を蓄積しています。

今後、商品開発だけでなく、全社員の業務効率化を目指して、様々なシステムへの生成AIの導入を検討していくようです。

製造業における生成AI活用

製造業における生成AIの活用は、作業効率と安全性の向上、現場業務の支援などで行われています。

ドイツの「Aleph Alpha」は産業用ロボットの操作を自然言語でサポートし、工場作業員とロボットのコミュニケーションを強化しています。

一方、MODEの「BizStack AI」は、現場作業者の自然言語の問いかけに対し、IoTデータに基づく迅速な回答を提供し、必要な情報を即座に提供するシステムを開発しています。

これらの取り組みは、製造業における生成AIの具体的な応用例として、今後の展開が期待される分野を示しています。

まとめ

アサヒビールのこの取り組みは、生成AIを活用した社内情報検索システムの導入により、業務効率化と商品開発力の強化を図るものです。

今回の試験導入は、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中での一例として、他の企業にも参考となるでしょう。

アサヒビールの今後の取り組みに対する期待が高まります。