株式会社STARFISHは7月4日、利用者の感情に寄り添う言語モデル「Emotional Engage Model(EEM)」を発表しました。
EEMは従来の大規模言語モデル(LLM)に比べ、感情表現などに優れたモデルであると説明されています。
サムネイルの出典:PRtimes
EEMの特徴
EEMの特徴としては以下の特徴が挙げられます。
- 感情に寄り添った応答
- 日本語特有の感情表現の理解
- 感情や親密度に伴う行動の変化
- ロールプレイによる体験記憶の学習
この4点について解説します。
①感情に寄り添った応答
対人のコミュニケーションでは、表層的な言葉だけでなくその裏にある感情を察する必要があります。
従来のLLMは、人の感情を考慮に入れた返答をすることが難しくありましたが、EEMでは感情を文脈として理解し、情緒的なやり取りができるようになります。
具体的には以下のようなやり取りが可能になるとのことです。
例えば、「だいっきらいだよバカ!」といった発言に対して、従来のAIが「申し訳ございません」と反応するのに対し、EEMを導入したAIでは「素直じゃなくて可愛いですよ、でも傷つくな」というように、言葉の裏にある感情を文脈として理解し、適切に応答します。
PRtimes
②日本語特有の感情表現の理解
日本固有の感情表現に用いる言葉を理解していることもEEMの大きな特徴です。
「わびさび」「甘美」といった、言語化が難しい、感覚的な感情表現も理解しコミュニケーションに活かすことができます。
私たちが感覚的に理解している言葉をAIが同じように理解することができれば、コミュニケーションが効率化することが期待できます。
③感情や親密度に伴う行動の変化
感情や親密度に応じて変化する会話のスタイルや、コミュニケーション上の矛盾をEEMは理解することができます。
例えば、「好きだけど嫌い」といった、複雑な感情のメカニズムを行動に活かすことができます。
また、利用者との関係性に応じた言葉遣いの選択も可能となっています。
④ロールプレイによる体験記憶の学習
AIに疑似とリアルの区別が無いことを利用し、ロールプレイを行うことで、理想のキャラクター像を作成することができるようです。
ロールプレイを繰り返すことで、特定の経験や記憶、それに伴う独自判断を行うアルゴリズムを形成できます。
EEMの使用用途例
EEMの最も想定可能な使用例としては、「理論的なことよりも人の感情に寄り添うことが求められるシーン」だと思われます。
具体的には以下のようなシーンです。
- 応用介護分野
- メンタルケア
- 学習サポート など
このモデルは100%の真実を伝えない「優しい嘘」の概念も理解している様で、非常に高度かつ複雑なコミュニケーションが求められる現場にも応用ができるかもしれません。
参考:株式会社STARFISH『Emotional Engage Model(EEM)の概念の詳細』
EEMの今後・まとめ
株式会社STARFISHは7月4日、利用者の感情に寄り添う言語モデル「Emotional Engage Model(EEM)」を発表しました。
EEMは人の感情に対する高度な理解とそれを実際の会話に活かす能力を持っています。
STARFISHは、「EMMは権利技術ではなく概念として無償提供する」と述べており、詳細な開発においては監修やコンサルティングに入る形で対応していくとのことです。