デジタル政策フォーラム(以下DPFJ)は7月1日、『AIガバナンスの枠組みの構築に向けて(ver1.0)』を公表しました。
この文書は、生成AI技術の急速な進展とその社会実装を背景に、AIガバナンスの枠組みを構築するための基本的な視点と論点を整理しています。
デジタル政策フォーラム(DPFJ)とは
デジタル政策フォーラム (DPFJ) は、2021年9月に設立されたデジタル政策に関する熟議プラットフォームです。
産学官の垣根を越え、国家におけるデジタル政策について各領域の専門家たちが議論を行い、政策提言を行っていく機関です。
2023年度には「データ駆動社会がもたらす社会経済的インパクトと日本が目指すデジタル国家像」を中心に議論が行われました。
参考:デジタル政策フォーラム
AI社会におけるガバナンスの論点とは
AI社会におけるガバナンスの論点として、本文書では以下の3点が挙げられています。
- リスクの最小化
- 利便性の向上
- 健全な市場の育成
この3点について詳しく見ていきます。
①リスクの最小化
リスクの最小化については以下の点が論点とされています。
・リスク管理:コントロールすべきリスクの洗い出しなどを議論
・規制の手法と実効性:ハードロー(法規制)・ソフトロー(民間の自主規制)など、規制方法の検討
・モデル崩壊の可能性:AIが学習データを学習する過程で生じる「モデル崩壊」への対応策
・生成物の取り扱い:AIが生成するデータの完全性を確保するための方策
②利便性の向上
利便性の向上については以下の点が論点とされています。
・デジタル差別の禁止:AIモデルの公平性・中立性を確保するための監査制度
・AIの積極的活用:教育、医療分野におけるAI活用の促進とそのリスク管理
③健全な市場の育成
・健全なエコシステムの構築:大企業による反競争的行為や市場支配力への対策
・オープン性の確保:AIのオープン性を確保し、健全な市場発展を促進するための施策
・国際的コンセンサスの醸成:国際的なルール形成とAIの軍事利用に関する規範の整備
・倫理的問題への対処:将来的な「自意識」を持つAIに対する倫理的指針の策定。
参考:デジタル政策フォーラム『AIガバナンスの枠組みの構築に向けて(ver1.0)』
生成AIのより安全な使用のために
生成AIの急速な発達や社会実装に伴い、生成AIに関する法制度の整備が国際的に急がれています。
それは日本においても例外ではなく、日本政府も現在までに対策概要案の発表や有識者会議を開いています。
生成AI使用時のリスクに対するガバナンスが確立されていくことで、より安全に安心して生成AIを活用していくことができます。
DPFJでは、有識者会議やオープンフォーラムを通して、2024年度末頃に最終的な文書を公表するとのことです。
まとめ
デジタル政策フォーラム(DPFJ)は7月1日、『AIガバナンスの枠組みの構築に向けて(ver1.0)』を公表しました。
生成AIが急速に社会浸透していく中、十分なガバナンスの確立が急務となっています。
DPFJは随時本文書を更新し、公表していくと述べています。