KDDIは3月7日、LINEアカウント「auサポート」のチャットボットに生成AIを活用することを発表しました。
商品やサービスの使用方法や手続などに関するお問い合わせに回答するカスタマーサポート領域で、生成AIを搭載したチャットボットは、国内主要企業で初の取り組みとなります。
参考:KDDI
既存のチャットボットではお客様の意図を正しく認識できなかった
従来のチャットボットでは、顧客が長文で入力したり、必要な情報が不足していると顧客の意図を正しく認識できないことがありました。現状では、そうした事例が全体の約3割を占めていました。
チャットボットで解決できない場合は、チャットアドバイザーが対応に当たりますが、問題解決までに時間を要することがあり、顧客の待ち時間が長くなるなどの課題がありました。
「auサポート」における生成AIの活用ポイント
① チャットボットでの活用
生成AIを導入することで、以下の2点の対応が可能になります。
- 顧客の長文の入力内容を要約し、チャットボットが意図を正しく認識しやすい形に整理する。
- 必要な情報が不足している場合に、生成AIが顧客に再質問を行い、チャットボットが適切な回答を特定しやすいよう誘導する。
こうした新機能により、チャットボットでの問題解決率が向上が見込まれます。KDDIの事前検証によると、従来と比べて平均で約5分程度(約2割)の時間短縮が可能になると見込まれています。
② アドバイザー回答支援での活用
チャットボットで解決できなかった場合は、これまで通りチャットアドバイザーが引き継いで対応します。その際、生成AIが顧客とチャットボットとの会話内容を要約し、アドバイザーに引き継ぐことで、アドバイザーが迅速に問題の本質を把握し、適切な回答を提供することが可能になります。
また、アドバイザーの研修にも生成AIを活用します。生成AIをお客様役としてシミュレーションを行うことで、実践に即した研修環境を実現し、アドバイザースキルの向上を図ります。
生成AIチャットボットの活用イメージ(出典:KDDI):
人間らしい対話と高い正確性の両立を目指す
KDDIは、3月7日からLINE「auサポート」アカウントを利用するお客様に向けて、本サービスを提供しています。
KDDIは、生成AIの持つ「人間らしい対話能力」と、これまでのチャットボットで培った「高い正確性」を両立させることで、より便利で快適なカスタマーサポートを提供することを目指しています。また、今回の取り組みを皮切りに、今後も機能追加などを行い、お客様満足度のさらなる向上に取り組んでいく、と述べています。
カスタマーサポートにおける生成AI活用のメリット
生成AIはカスタマーサポートの要であるコミュニケーション過程を大きく改善する可能性があります。
製造業のカスタマーサポートでは、製品の不具合や操作方法についての複雑な問い合わせが多数寄せられます。このとき、生成AIが顧客の説明を的確に要約し、不足情報を再質問することで、適切な状況把握と的確な回答が可能になります。
さらに、生命保険の窓口業務などでは、顧客の長く冗長な説明から本質を見抜くのが難しい場合があります。このようなケースで生成AIが活躍できれば、顧客の本当の要望を正確に汲み取り、余計な手間を省くことができるでしょう。
まとめ
KDDIは、LINEアカウント「auサポート」に生成AIを搭載したチャットボットの運用を開始しました。生成AIの自然な対話能力と高い情報処理能力を活かし、顧客とのコミュニケーションを円滑化することで問題解決プロセスを大幅に効率化できるとしています。
KDDIは、社内向けの業務支援や広報などの様々な場面で生成を活用しています。今後も機能拡張を重ね、さらなるサービス向上を目指す同社の取り組みに期待できるでしょう。
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