文化庁は、12月20日に5回目の文化審議会著作権分科会法制度小委員会を開き、AIによる特定作品の出力を目的とした学習が著作権法の対象外となるケースについて考え方の素案を示しました。
文化庁は今後も議論を重ね、年度内に結論をまとめる方針です。
文化庁は、11月20日に4回目の文化審議会著作権分科会法制度小委員会を開き、生成AIと著作権保護の在り方について論点を提示した文書が公開されました。 この小委員会は12月、1月にも開かれ、年度内にAIと著作権に関する考え方をまとめる[…]
参考:文化庁
背景
ChatGPTやStable Diffusionなどの生成AIが急速に普及する中、クリエーターや業界団体からは、AIによる機械学習の制限に関する対策を求める声が高まっています。文化庁はこれに応え、無許諾の学習が認められない具体的なケースを示すことにしました。
文化審著作権分科会は「法制度小委員会」を設立し、AIの利用と著作権保護に関する考え方を議論しています。2018年の著作権法改正でAIによる無許諾学習が許可されたものの、その具体的な例示はほとんどなされていませんでした。
今回の素案の内容
提案された「AIと著作権に関する考え方について」の素案によると、素案では、海外で提供されているAI学習用の新聞記事データベースが国内で提供される場合、無断学習によって著作権者の利益が害される可能性があるとしています。
海賊版を知っていながらAIに学習させた場合、開発事業者も著作権侵害の責任を負う可能性があるとされています。これにより、AI開発者は使用するデータの合法性に更なる注意を払う必要があります。
ウェブサイトが海賊版等の権利侵害複製物を掲載していることを知りながら、当該ウェブサイトから学習データの収集を行うといった行為は、厳にこれを慎むべきものであり、仮にこのような行為があった場合は、当該 AI 開発事業者や AI サービス提供事業者が、これにより開発された生成 AI により生じる著作権侵害について、その関与の程度に照らして、規範的な行為主体として侵害の責任を問われる可能性が高まるものと考えられる
出典元:AIと著作権に関する考え方について(素案)
今後の展開
日本新聞協会をはじめとする関係者からは、著作権法の改正を含むルールの整備が求められていますが、文化庁は現段階では法改正には踏み込まず、生成AI事業者に対して適切な対応を促す「考え方」によるアプローチを取ります。今後、議論を深め、来年3月を目処に内容を固めて公表する予定です。
生成AIと著作権問題に関するXの最新ポスト
最近では、The New York TimesがMicrosoftとOpenAIを著作権侵害で提訴したことが話題になっています。最後に、生成AIと著作権問題に関するXの最新ポストをご紹介します。