ELYZA 生成AIを使って東京海上日動のお客様応対業務の一部を50%省力化

10月31日、東大松尾研究室発のAIスタートアップであるELYZAは、東京海上日動火災保険と協働で実施した言語生成AI活用の実証実験の結果、顧客対応の文書作成業務において、言語生成AIを利用することで、作業効率が大幅に向上し、約50%の省力化に成功したことを発表しました。

今回の成果はELYZAが開発した大規模言語モデル「ELYZA Brain」を活用し、モデル設計から一気通貫して支援した結果、得られた成果となります。

参考:PRTIMES

言語生成AIの実証実験

実験の概要

実証実験では、物損事故と人身事故に関する顧客からの問い合わせに対して、オペレーター単独での回答作成と、言語生成AIを使用した回答作成とを比較しました。20名のオペレーターが対象で、処理時間の短縮と生成精度の評価を目的として実施されました。

実験の結果

回答作成時間を比較した結果、言語生成AIを使用した応対文面の作成業務は約50%の省力化が実現されました。また、生成された回答素案のうち、61%以上がそのままオペレーターが利用することができたことが分かりました。

今回の実験の結果を踏まえて、東京海上日動は実業務への言語生成AIの本格的な導入に向けた検討を開始すると述べています。

引用元:PRTIMES

東京海上日動の言語生成AI活用への取り組み

東京海上日動は、「お客様や地域社会の“いざ”を支え、お守りする」という使命のもと、高品質な商品とサービスを提供しています。同社は、「人とデジタルのベストミックス」を実現することを目指し、言語生成AIの活用を積極的に進めています。今回の取り組みも、その一環として位置づけられており、ELYZAと協力して、お客様の目に触れる業務領域でのAI活用を進めています。

以下の要素を踏まえて、東京海上日動が言語生成AIを用いてビジネスインパクトを創出するために必要なパートナーとしてELYZAが選定されました。

  1. 大規模言語モデル(LLM)知見
    GPTモデルだけでなく独自モデルやOSSモデルも含めて、ユースケースに最適なモデルを選択しチューニングできる
  2. AI処理フローの設計技術力
    生成精度向上に向けたAI処理フローを設計・改善できるエンジニアリングの知見がある
  3. コンサルティング力
    問題設定力、問題解決に向けたビジネスサイドとテックサイドの協働性の高さなど、顧客ニーズを把握しながらプロジェクトを推進するコンサルティング力がある

まとめ・国産の大規模言語モデルの活用

東京大学松尾研究室発・AIスタートアップ ELYZAと東京海上日動火災保険は、協働で行った言語生成AI活用の実証実験の結果、AIを用いた応対文面の作成業務が約50%の省力化を実現したことを発表しました。

カスタマーサポートにおいて言語生成AIを活用する際の大きなメリットの一つは、効率化と高品質な応対の両立です。特に、お客様が直接閲覧する文章の生成においては、高い精度と品質が要求されます。

この点において、国産の大規模言語モデル「ELYZA Brain」を活用することで、文化や言語のニュアンスをより適切に理解し、適切な応対が可能になると考えられます。国内での事例や言い回しに強いという国産モデルの特徴が、高品質なカスタマーサポートを実現する上で大きな強みとなります。さらに、セキュリティ要件を満たしながらも柔軟なカスタマイズが可能であるという点も、ビジネスの現場での言語生成AI活用を加速させる要因となっています。

このように、言語生成AIの活用は効率化を実現するだけでなく、高品質なカスタマーサポートを提供する上で重要な役割を果たしており、国産の大規模言語モデルを利用することで、そのメリットを最大限に活かすことができると言えるでしょう。

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