Microsoft 法人向けにMicrosoft 365 Copilotの提供を開始

マイクロソフトは、11月1日に法人向けに「Microsoft 365 Copilot」を提供を開始しました。WordやExcel、Teams、Outlook、PowerPointなどナレッジワーカー向けのOffice製品に生成AIによるCopilot(副操縦士)機能を組み込むことができます。Microsoft 365 Copilotは、「Microsoft 365 E3/E5」契約中の企業を対象に月額30ドルで利用できます。

引用元:Microsoft

Microsoft 365 Copilotでできること

9月21日に発表されたMicrosoft Copilotは、タスクの「副操縦士」と位置づけ、WordやExcelなどを使った日常業務への活用を想定しています。

アプリに組み込まれた生成AIを活用することで、実際のデータを扱った作業や社内のデータ検索などを行うことができます。

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現在Microsoft 365 Copilotでは次のようなサービスが展開されています。

  1. Copilot in Word
  2. Copilot in Excel(日本語未対応)
  3. Copilot in PowerPoint
  4. Copilot in Outlook
  5. Copilot in Teams
  6. Microsoft 365 Chat:社内外の情報を利用できるチャット型アプリケーション

①ドキュメントの下書き・要約(Word)

「Copilot in Word」はWordと完全に連携し、文書作成のプロセスを支援します。このツールを使用することで、ドラフトの自動作成や文書の要約がスムーズに行えるようになります。また、文書のトーンの調整や文字量の変更など、細かな編集作業もCopilotが代わりに行ってくれます。

Copilotに「このドキュメントの要約」と入力すれば、箇条書きで開いているドキュメントの要約文を生成してくれます。

引用元:Microsoft

②データの分析・集計(Excel)

「Copilot in Excel」では、データの自動集計や分析、グラフの生成といった作業がAIの力を借りて簡単にできるようになります。これにより、ユーザーはデータをより効果的に活用し、ビジネスの意思決定をサポートできます。

「列の削除」「指定したセルのハイライト」など細かい作業もCopilotを使って効率化できます。

引用元:Microsoft

ただし、2023年11月2日時点で「Copilot in Excel」は英語のみに対応しているため、日本語の提供開始が待たれます。

③プレゼンテーションの作成・要約・整理(PowerPoint)

「Copilot in PowerPoint」は、プレゼン資料の作成・要約・整理といった作業を支援します。プレゼンテーションのテーマやページ数などの指示を出すと、Copilotはそれに応じたプレゼン資料のドラフトを生成します。また、レイアウトの調整や書式の変更も簡単に指示することができます。

Copilotに「このプレゼンテーションを整理する」と入力すれば、グループ化やヘッダーの追加などを自動でおこなってくれます。

引用元:Microsoft

④メールの要約・整理(Outlook)

「Copilot in Outlook」はメールの管理を効率化するツールとして活躍します。未確認のメールをまとめて表示したり、重要なメールにフラグを立てることができます。さらに、返信文の自動生成や文章の長さの調整、メールの要約といった機能も搭載されています。

Outlookでメールを開くとCopilotによる要約を確認することができます。

引用元:Microsoft

⑤チャットや会議の要約・状況確認(Teams)

「Copilot in Teams」はオンライン会議の要約やタスクの整理を支援します。例えば、参加できなかった会議の内容をテキストで把握することができます。

Copilotに「運用タイムラインを使用してテーブルを作成する」と入力すれば、会議の内容に基づいたテーブルを作成してくれます。

引用元:Microsoft

⑥社内の情報検索・アイデアやコンテンツの下書き(Microsoft 365 Chat)

新たに登場した「Microsoft 365 Chat」は、Microsoft 365のアプリ群や社内データと連携して、情報検索や要約を行うAIチャット機能を提供します。これにより、社内用語の検索や申請手続きの情報を瞬時に手に入れることができるようになります。ただし、個人情報や非公開のデータにはアクセスしない仕組みとなっており、安全性も確保されています。

Copilotに質問を入力すると、メールやチャット、ドキュメント内の情報を検索して回答してくれます。

引用元:Microsoft

Copilotの出力に対する法的責任

生成AIを活用する企業としては、AIモデルの学習時や生成物の著作権問題を心配する声も少なくありません。

このような不安に対してMicrosoftは、9月7日にブログにて新しい著作権に関する公約「Copilot Copyright Commitment」を発表しました。

新しい公約の注目すべき点としては、生成AI「Copilot」の出力を利用して第三者から著作権侵害で訴えられた場合、Microsoftが弁護をし、訴訟での損害賠償や和解金を支払うとしたことが挙げられます。

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競合するGoogleの生成AI「Duet AI」

Duet AI for Google Workspaceは、Googleが提供する生成AIの追加機能で、2023年8月30日に一般公開されました。しかし、現時点では日本語には対応しておらず、英語版を無料トライアル可能です。

この機能を追加すると、Google WorkspaceのGmail、ドキュメント、スライド、スプレッドシート、Meetなどのすべてのアプリに生成AI機能が搭載され、業務タスクの支援が受けられます。

Microsoft 365 Copilotのリリースを受け、Google Workspaceを始めとしたシェアの高いグループウェアサービスがどのように生成AIを活用するのか、注目が高まります。

まとめ

マイクロソフトは、11月1日に法人向けに「Microsoft 365 Copilot」を提供を開始しました。WordやExcel、Teams、Outlook、PowerPointなどの日常業務において、生成AIによるCopilot(副操縦士)機能を組み込むことができます。

昨今、話題に上がる生成AIの著作権問題についてもクリアしているMicrosoft 365 Copilotをどのように企業が導入していくのか、競合するグループウェアサービスがどのように生成AIを取り入れるのか、今後の動向に期待が高まります。