神奈川県相模原市とNECは、10月19日に国産の生成AIに関する協定を締結しました。協定の締結式は、相模原市役所で行われ、本村賢太郎市長とNECの田中繁広副社長らが出席しました。
相模原市によると、国産の生成AIの導入は全国の自治体で初めての取り組みとなります。市は、この新たな取り組みを来月から開始する計画です。
これまでの生成AIとの違い
これまで、業務での実証実験が行われていた既存の生成AI「ChatGPT」には、業務に適用できる可能性が検証されていました。しかし、行政の専門用語に関する対応が不十分であったり、個人情報の取り扱いに関する不安点も指摘されていました。この新しい協定では、これらの問題点を解決する目的があります。
今回の実証実験では、NECが開発した、日本語に特化した国産の生成AIが、相模原市の業務に導入されることになります。この生成AIを利用して、自治体の業務の効率化を図ることを共同で検証する予定です。
国産の生成AI導入に際して、本村市長は「従来の生成AIでは対応が難しかった日本語の問題や、セキュリティの面での懸念点が改善されることを期待しています。相模原市が全国の自治体に先駆けてこの挑戦を行い、新しいモデルケースを作り上げることを目指しています」と、意気込みを述べています。
協定の主な内容
①自治体業務専用のLLMの構築と実証
NECは、世界トップクラスの性能を誇る日本語対応の軽量LLMを基に、自治体に特化した知識を組み込んで新たなモデルを構築します。特に、職員の業務プロセスの効率化や問題解決に焦点を当て、例規の探索や庁内のQAの効率化など、具体的な利用ケースの検証を行います。
②自治体に最適なアーキテクチャの検討
今後生成AIを本格的に導入することを見据えて、セキュリティや利便性を重視し、自治体業務に適したアーキテクチャを構築します。特に、機密情報の取り扱いに関する安全性確保が重要視されます。
日本語に特化した大規模言語モデル(LLM)を使うメリット
今後日本語特化の大規模言語モデル(LLM)は、日本の自治体や企業で活躍してくことが考えられます。日本語に特化したLLMを使うメリットとして、以下のようなポイントが挙げられます。
①日本語処理能力の向上
日本語に特化した生成AIの開発において、高品質な日本語テキストを事前に学習することで、言語モデルはより正確かつ効果的に日本語のテキストを処理できるようになります。
これにより、生成されるコンテンツの品質と適切さが向上し、日本語の独特な文法や表現をより正確に理解することが可能になります。
実際に、NECは日本語の処理性能に特化した独自の大規模言語モデルを開発し、これにより「GPT-4」を上回る性能を実現しています。
②ビジネスでの利用の拡大
日本の企業は、日本語特化の生成AI技術を用いて独自の大規模言語モデルを開発し、ビジネスプロセスの様々な部分で活用しています。これにより、企業は日本語のコンテンツを効率的に生成、解析、または翻訳できるようになり、さらには顧客サービスやマーケティング戦略にも貢献することが可能になっています。
また、企業は大規模言語モデルと協力し、自社のドメインや業務に特化した形で生成AIを活用できるようになっています。これにより、企業は自社の特定のニーズに合わせてカスタマイズされた解決策を得ることができ、業務効率と顧客満足度を向上させることができます。
⑤先進的な日本の技術との連携
日本の研究機関や企業は、スーパーコンピューター「富岳」を利用し、日本語に特化した生成AIの開発を進めています。
これにより、日本語の自然言語処理技術の開発と実装において、先進的なコンピューティングリソースと技術を利用することができます。これは、日本語の言語モデルの性能と効率をさらに向上させ、日本のAI技術の国際的な競争力を強化する可能性を示しています。
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