学生の3人に1人が夏休みの宿題に生成AIを使用 教育機関に求められることとは

東京のマーケティング支援会社「ナイル」は、8月24日から30日の期間で10~20代の男女533人を対象に、夏休みの宿題に関するアンケートを実施しました。

今回PROMPTYではその内容をもとに、生成AIの普及に伴って教育機関に求められることは何なのか考えていきたいと思います。

参考:ナイル株式会社

約3人に1人が夏休みの宿題に生成AIを活用

ナイルの調査によって、約3人に1人が夏休みの宿題に生成AIを活用していることが分かりました。

生成AIに対する認知度が向上している中で、10代、20代の学生の中でも活用する人が増えているようです。

引用:ナイル株式会社

生成AIの活用を親や学校から「制限されなかった」が約7割

夏休みの宿題に生成AIを活用することについて、学校や親からどのような意見があったのかという質問では、「制限された」が32.6%、「制限されなかった」が67.4%となり、比較的肯定的な意見が多いことが分かりました。

生成AIの使用についてはリスクが懸念される一方で、学校や親は、生成AIを活用することによる学習の効率化や、創造的な表現の促進の可能性を期待して活用を制限していないと予想されます。

引用:ナイル株式会社

生成AIの利用によって宿題が「捗った」は約9割

生成AIを利用したと回答した学生のうち、宿題が「捗った」と回答した人は約85.7%、「捗らなかった」と回答した人は14.3%でした。

引用:ナイル株式会社

「捗った」理由として一番多かったものは「情報収集を効率的に進められた」で94人、次いで「複雑な問題を簡単に解決できた」が65人、その次に「文章の質が向上した」が58人となりました。

引用:ナイル株式会社

生成AIの普及によって教育機関に求められることとは

生成AIの普及によって教育機関に求められることとして、下記のようなことが考えられます。

  1. 生成AIの活用を前提とした教育方法の確立
  2. 生成AIの有効な使い方を教育する
  3. 生成AIの倫理的な使用について教育する

それぞれ解説していきます。

①生成AIの活用を前提とした教育方法の確立

今回のナイルの調査によって、生成AIの普及に伴い、学生がChatGPTなどの生成AIを活用して宿題を行っていることが明らかになりました。

このことから、ChatGTPによって簡単に回答できてしまうような宿題は、生徒がChatGPTによる出力をそのまま使用してしまう可能性があります。

例えば「フランス革命について400文字程度で説明してください」というような宿題は、ChatGPTを使うことで簡単に生成することができてしまいます。

このことから、学校の宿題には、生成AIの使用を前提として、より高度な回答を求めるような工夫が求められます。

noteのCXOである深津氏はtwitterで下記のような見解を示しています。

②生成AIの有効な使い方を教育する

生成AIはその汎用性から、英語の文法やスペルのチェックや、上記のような歴史についての解説など様々な学習に使用することができます。

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企業や行政においても生成AI活用が進んでおり、今後社会においても生成AIを使いこなすことは、Googleで検索をすることと同じくらい、必須のスキルになることが予想されます。

生成AIの普及に伴い、教育機関には生成AIをどのように使えば、学習を効率化したり、より質の高い学習をすることができるのか教育することが求められるのではないでしょうか。

③生成AIの倫理的な使用について教育する

生成AIの使用には倫理的な使用が求められます。例えば、生成AIによる出力をそのまま論文として使用することが剽窃にあたるのか議論がなされています。

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その他にも、個人情報を生成AIに入力するべきではないことや、生成AIによる出力を批判的に捉えること、生成AIは学習データに基づいて出力をするため、学習データの偏りによって出力にも偏りが出てしまうことなどを教育する必要があります。

まとめ

今回の記事では、ナイル株式会社が行った、「夏休みの宿題に対して生成AIを活用したか」などのアンケート結果をもとに、生成AIの普及に伴って教育機関に求められることは何なのか考察しました。

生成AIサービスは今後さらに普及していくと考えられ、教育機関もそれに対応していくことが求められるでしょう。