AWSジャパン LLM開発支援プログラムの参加企業を発表

AWSジャパンは9月4日、先日7月に打ち出した大規模言語モデル(LLM)の開発支援プログラムの参加企業の一部を公開しました。

当プログラムには、応募した約60社の中から、マネーフォワード、サイバーエージェント、リクルートなど17社が選ばれました。

今後、総額600万ドル規模の利用料の補助や、技術サポートを提供する予定です。

引用:AWS

採択された企業

今回のAWSジャパンが行うLLM開発支援プログラムに採択された企業は下記の16社と、社名の公開に合意していない1社です。

  • カラクリ
  • マネーフォワード
  • サイバーエージェント
  • ユビタス
  • ストックマーク
  • Lightblue
  • Sparticle
  • リクルート
  • Turing
  • リコー
  • Preferred Networks
  • rinna
  • Poetics
  • ロゼッタ
  • 松尾研究所
  • わたしは

開発支援の内容

このLLM開発支援プログラムは、AWSを活用してLLMの開発を進める日本の企業や団体を後押しする新しい取り組みとなります。具体的には、総額600万ドル規模の利用料の補助や技術のサポートが提供される予定です。

また、LLM開発に必要な計算機リソースの手引きや、AWS上でのLLMの事前学習に関する技術支援も行われることが予定されています。

引用:AWS

国内企業による独自LLM開発の増加

今回AWSの開発支援プログラムの背景には、国内企業による独自LLM開発の増加の流れがあります。

ここでは、企業による独自LLM開発の取り組みとして、NEC、NTT、そして今回AWSの開発支援プログラムにも参加するサイバーエージェントの3社について紹介します。

NEC

NECは、独自の大規模言語モデル(LLM)を開発しており、このLLMは「世界トップレベルの日本語性能」を持つとされています。

2023年8月からは法人向けにこの独自LLMの提供を開始し、2025年度までに生成AI関連事業での累計売り上げを500億円以上にすることを目指しています。

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NTT

2023年、NTTは大規模言語モデル(LLM)の独自開発を進め、商品化を目指すと発表しました。この新しいLLMは、省電力を特徴としています。

また、NTTは「秘密計算AI」という、データを暗号化したまま学習・推論が可能なソフトウェアの開発を進めており、国立情報学研究所との共同トライアルも開始しています。

さらに、消費電力の問題に対処するため、低消費電力を実現する光電融合デバイスの事業化を目指し、2023年6月に新会社を設立するとの発表もありました。

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サイバーエージェント

サイバーエージェントは、独自の日本語LLMを開発しており、同社が提供する「極予測AI」「極予測TD」「極予測LP」などのAIを活用した広告クリエイティブ制作領域での活用が開始されています。

さらに、広告制作だけでなく、チャットボットやRPAなどの業界特化型のLLMの構築や、各企業との連携を通じたビジネス開発も進めています。

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企業が独自のLLMを開発する理由

今回のAWSの開発支援プログラムに企業が参加したり、NECやNTTが独自LLMを開発する理由は何なのでしょうか?

なぜ企業が独自のLLMを開発するのかは、「特定のニーズへの対応」「セキュリティ面」「競争優位性」の3つの観点から説明することができます。

特定のニーズへの対応

多くの企業は、顧客や業界固有の要件や課題を持っています。

汎用の大規模言語モデル(LLM)は多岐にわたるニーズに対応するための一般的な能力を持つ一方、特定の領域や業界に特化したニーズに十分に応えることが難しいことがあります。

例えば、医療、法律、金融などの専門分野では特有の言語や知識が必要です。

企業が独自のLLMを開発することで、そのような特定のニーズや要件に独自に最適化し、より高いパフォーマンスや精度を達成することが可能となります。

セキュリティ面

セキュリティは、現代のビジネス環境において非常に重要な要素です。特に、顧客データや企業秘密を扱う企業にとって、データの保護は不可欠です。

汎用のLLMは、多くのユーザーからのデータを学習するため、情報の漏洩や不適切な使用のリスクが考えられます。

一方、企業が独自にLLMを開発することで、データの取り扱いやモデルの学習過程を完全にコントロールし、セキュリティを最大限に確保することができます。

競争優位性

独自の技術やソリューションを持つことは、企業にとって大きな競争優位性となります。

汎用のLLMを使用するだけでなく、独自のLLMを開発することで、企業は顧客に対して差別化された価値を提供できるようになります。

これらの理由から、企業が独自LLMの開発に乗り出し、今回のAWSの開発支援プログラムに参加したと考えられます。

今後様々な分野において独自LLMが開発され、業務の効率化やサービスの向上につながることに期待しましょう。