今回は株式会社ナウいの代表取締役である桑山 裕史さんにインタビューを行いました。
生成AIの導入よるカウンセリングの標準化や24時間対応の実現、カウンセラーの業務リソースの最適化、生成AIの登場による今後の未来展望などについてお話を伺いました。
生成AIの導入を検討している企業様にとって必見の内容となっておりますので、ぜひご覧ください。
プロフィール
明治大学卒業後、大手通信販売会社に入社し、新規個人向け外商部門の立ち上げに参画。売上7000万円の部門を7年間で42億円まで牽引するなど個人実績とマネジメント実績で多数の賞を獲得。最年少で幹部職を歴任し、経営企画室で企業統治・MAアライアンスを担当。2009年に独立し、株式会社ナウいを創業。結婚相談所やネイルサロンの店舗展開を行う。日本プリマリタルカウンセラー資格認定協会理事や公益社団法人日本産業退職者協会生活情報委員も務める。
生成AIによってカウンセリングの標準化と24時間対応を実現へ
Q.生成AIを導入したきっかけと目的を教えてください。
桑山さん:元々、私たちは結婚相談所の会員様の自己PR文や、お客様向けのブログ記事などで生成AIを利用していました。本格的に導入するきっかけとなったのは、ジェネレイティブ社が開発した『AI恋愛コンサルタント』というサービスの監修を、代表である私が担当したことです。
導入を決めた理由としては、結婚相談所の業務が非常に人に依存する傾向にあり、業界自体が古くからあるためかなりアナログな面が多いからです。
カウンセラーは、会員様の出会いからプロフィール作成、お見合い、交際のサポートまで、成功に導く役割を持っていますが、そのサポートの質はカウンセラーのスキルに大きく左右されます。そういったところの教育には力を入れていましたが、カウンセラーによるサポートの質の差や、24時間365日対応する難しさがありました。
カウンセリングの標準化の実現と、いつでも対応できるという点で生成AIの技術が役立つと考え、導入に至りました。
「AI 恋愛コンサルタント」
Q.生成AIを活用した恋愛コンサルタントサービス「AI 恋愛コンサルタント」について教えてください。
桑山さん:実は、コロナ以前から弊社はウェブ上にチャットボットを導入していました。しかし、今回新たに導入したのは、人間のカウンセラーの代わりとなるような、疑似人物を設定したものです。この技術を用いて、お客様からの恋愛に関する様々な相談、例えば「これからお見合いなのですが、どんな服装が良いですか?」や「初デートの場所はどこが良いですか?」、「手をつなぐタイミングはいつですか?」などに対して、顔が見える形のAIが継続的に回答していきます。
現在、人員の採用や教育が難しくなっている状況の中で、人件費の削減や業務効率の向上、業務改善が大きな課題となっています。このような背景から、生成AIを活用することでこれらの課題に対処できると考えています。
カウンセラーが本当に時間を割くべき業務に集中できる
Q.生成AIを導入した結果の効果について教えてください。
桑山さん:生成AIを導入してまだ間もないため、生成AIの活用はこれからが本格化する段階です。例えば、カウンセラーとしては、どの会員に時間を多く割くべきか、また手をかけずともうまくいく会員を見極めることが、さまざまな分析を通じて可能になっています。これにより、AIでも対応できるところはAIに対応してもらうことができます。
また、AIに任せられる業務もいくつかあります。たとえば、お客様のプロフィールでの自己紹介文作成や、服装に関する悩みに対しては、お客様が写真を送信すれば、AIがその人に合わせたシーン別の服装コーディネートを提案してくれます。このように、AIを利用して、カウンセラーが本当に手をかけるべき業務に時間を使うことが少しずつ実現している状況です。
幅広い世代の従業員が抵抗なく生成AIを使える環境づくり
Q.生成AIの活用を広げていくための社内での取り組みはありますか?
桑山さん:会員様の年代は30代が最も多いですが、40代や50代の方々もいらっしゃいます。そのため、世代間の恋愛観や結婚観のギャップが生じないように、従業員も幅広い年代の方を採用しています。
具体的には、30代から75歳までの従業員がいます。この多様性は非常に良いことではありますが、ITリテラシーや知識、スキルの差という課題にも直面しています。
生成AIに関する教育については、まだ具体的なプログラムやマニュアルを作成しているわけではありませんが、啓蒙活動を通じてその重要性や役立て方を理解してもらうことから始めています。例えば、お客様からの質問に対する回答を事例として作成し、それを基に会議での討論や意見交換を行うことで、生成AIの活用方法を探求している状況です。
また、少しゲーム感覚で楽しんでもらえるようなアプローチも考えています。その一環として、当社が運営するYouTubeチャンネルを活用し、AI恋愛コンサルタントの使用体験を動画で紹介する計画をしています。動画には社員が出演し、生成AIとの直接的なやり取りやリアクションを披露することで、生成AIの魅力や活用方法を提供しています。このような活動を通じて、お客様だけでなく、従業員も抵抗なく生成AIを使えるような基盤を作っていきたいと考えています。
AIが便利になるにつれて、人と人との繋がりの重要性も増す
Q.最後に、生成AIによって今後社会がどのように変わっていくと考えますか?
桑山さん:生成AIは非常に便利であり、今後も進化し続けると思います。お客様の認知が広がるにつれて、AIの活用はさらに進むと考えられます。これにより、時間の節約や人件費の削減などが可能になります。また、AIがより便利になるにつれて、アナログの、人と人との繋がりや、人の温かさを持って接することの重要性も同時に増していくでしょう。
このAIの進化は、リアルの進化にも繋がると私は考えています。AIの技術的な発展と人間らしい温かみのある接し方という、二つの側面が相互に補完し合いながら拡大していくことを期待します。