生成AIの力でよりお客様の業務を快適に 株式会社システムインテグレータ

今回は、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」、アイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」、データベース開発ツール「SI Object Browser」などを開発する株式会社システムインテグレータ マーケティング部 部長の佐藤 嘉彦さんに、生成AIをどのような場面で活用しているのか、今後生成AIは社会をどう変えるのかについてインタビューさせていただきました。

プロフィール

株式会社システムインテグレータ 事業戦略本部 マーケティング部 部長
佐藤 嘉彦さん

2014年に株式会社システムインテグレータに入社。
2020年6月まで大規模ECサイト構築の提案営業として、リードジェネレーションからクロージングまで、すべてのプロセスを担当。
2020年7月よりマーケティング部に配属。
2021年よりマーケティング部マネージャーとして、10以上の自社BtoBソフトウェアのプロモーション、リードジェネレーション、インサイドセールスの設計、SFA、MAの運用設計を担当。マーケティングを統括。
現在、事業戦略本部として全事業のマーケティング戦略を担当。

魅力的な製品紹介テキストを生成する「テキスト生成機能」

Q. どのような場面で生成AIを活用しているのでしょうか。

佐藤さん:弊社ではお客様の業務課題を解決するさまざまなソフトウェアを提供しており、それらの追加機能として生成AIを活用した機能を実装しています。

ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」では、生成AI機能を活用した商品紹介テキスト作成支援機能を実装しました。SI Web Shoppingは、ECサイトを構築するためのパッケージです。1996年から提供を開始しており、楽天市場やAmazonが日本に進出するよりも前のEC黎明期からこのパッケージを活用したECサイト構築ビジネスを展開しています。これまで累計で1,100以上のサイトにご利用いただいております。

近年では大規模なEC事業者の方々が、ECサイトの構築基盤としてSI Web Shoppingを選択するケースが増えています。その主な理由は、開発の内製化が可能であるという点にあります。このパッケージは、プログラミングのソースやデータベースの構造を公開する提案ができるので、初期の構築は弊社で担当し、その後の追加構築を各企業で行っていただくという方法が採用できるのが大きなメリットとなっています。

ECビジネスが拡大する中での共通の課題は、ウェブ上での商品の魅力が十分に伝わらないと、消費者が購入をためらってしまうことです。デザインや写真を魅力的にする努力は行われていますが、商品数が増加すると、その細かな対応が難しくなる課題が存在します。

生成AIで商品画像をゼロベースでテキストから生成するのはまだ困難ですが、商品を魅力的でわかりやすく説明するテキスト部分については、効率を大幅に向上させることができます。さらに、生成AIを使用することで、個人のバイアスや書き方の属人性を排除することも可能となります。商品説明の生成部分には、OpenAI社のGPTを活用しています。

IDEA GARDENに実装した生成AIによるさまざまな「アシスタント機能」

佐藤さん:アイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」ではアシスタント機能を実装しています。

IDEA GARDENでは新規事業の構築や様々なビジネス課題の解決に向けた「アイデア」を登録することができます。

IDEA GARDENはフレームワークに基づき、システム上でさまざまなコミュニケーションを取りながら種から育て上げられるため、新規事業の発展やビジネス課題の解決を目指す上での有効なコミュニケーションツールとなっています。

例えば、IDEA GARDENを愛用いただいているミズノさんでは、毎年開催していたビジネスアイデアコンテストをIDEA GARDENで運用しています。これにより、アイデアを一時的なものとして捉えるだけでなく、情報を蓄積し、アイデアのブラッシュアップも可能となり、その機能が評価されています。

IDEA GARDENには生成AIを活用した3つの「アシスタント機能」を実装しています。「AI発想アシスタント」は、「対象者」「具体的な場面・もの」「種類」の3項目を入力するだけでAIが新しいビジネスアイデアの案を生成してくれます。「AIブレスト」は、作成したアイデアについてAIと議論を展開できます。アイデアに対する質の高いフィードバックを即時に得られるため、アイデア創出活動が大幅に効率化されます。

「AIアドバイザー」はAIがアイデアについて深堀してより具体的に理解するためのポイントを提示してくれます。AIを壁打ち相手に、誰もが簡単かつ効率よくアイデアをブラッシュアップできるようになります。こうしたアイデアに関する壁打ちは、これまで経験豊富なメンターなどが行っていましたが、AIを使うことでいつでも気軽に壁打ちが可能となりました。

もちろん、人間同士でのディスカッションも重要ですが、忙しい時や迅速な返信が難しい場面などのデメリットを考慮すると、AIの活用は一つの効果的な方法と言えます。

生成AIによる「壁打ち機能」でアイデア創出のスピードアップを図る

Q. IDEA GARDENで生成AIを活用した機能を実装した背景を教えてください。

佐藤さん:IDEA GARDENの目指すものは、「社員一人ひとりがアイデアを生み出し、新規事業を立ち上げる世界」を実現することです。一方で、実際に新規事業の開発経験がある社員は少ないというのが現状で、新規事業立ち上げのフレームワークやそのプロセスを理解しているのは一部の方のみです。ここで生成AIによる壁打ち機能が必要だと感じました。生成AIの利用により、社員は素早く壁打ちを行いながら、自らのアイデアをブラッシュアップすることができるようになります。

SI Object Browserに実装した生成AI基盤のSQLの「整形機能」

佐藤さん:SI Object Browserでは生成AIを活用した、記述したSQLを可読性高く整形する「SQL整形機能」があります。この機能もOpenAI社のGPTを活用し実装しています。SI Object Browserのユーザーは、GUIを利用してデータベースの操作を行いつつ、SQLを整形して読みやすく綺麗な形にすることが簡単にできるようになりました。生成AIを活用しデータベースエンジニアの業務効率の向上させています。

時間を与えるソフトウェアを創り続ける

Q. 今後、生成AIによって社会がどう変わるとお考えでしょうか。

佐藤さん:弊社では、生成AIを活用しお客様に提供する価値を高めようという流れを進めています。生成AIをビジネスシーンだけではなく日常生活でも身近に便利で安全なツールとして使ってもらえるための機会と価値を弊社のビジネスを通じて提供していきたいです。また、社内の業務においても生成AIの活用は進んでいます。どんどん業務に組み込み、社内の生産性を向上させることでもお客さまへの提供価値を高めていきたいと思っています。

弊社のミッションは「時間を与えるソフトウェアを創り続ける」というものですので、生成AIはそのミッションに対してドンピシャなテクノロジーだと捉えています。これから登場するサービスでは、生成AIの利用は当たり前になっていくと思います。ですが、現時点で生成AIを理解し有効活用できている人はテクノロジーの利用に比較的明るい人だけです。そうした一握りの人だけではなく、テクノロジーに明るくない人も日常生活で自然と気づかずに便利に使っている状態まで普及させたいと考えてます。