今回は、株式会社コロプラで、生成AIの活用による業務効率化を推進されている取締役の菅井さんと、技術基盤本部 部長の佐藤さんにインタビューを行いました。
エンジニアがGitHub Copilotを積極的に利用する環境整備や、会社情報の取り扱いに関するガイドラインの作成についてなど、生成AIの活用・導入を検討されている方にとって大変貴重なお話をいただきましたので是非ご覧ください。
プロフィール
菅井健太さん
取締役(技術基盤本部、IT戦略室、HR本部、管掌役員)
複数の企業でエンジニアとして従事し、2010年コロプラに入社。プロダクトマネージャーを経験した後、取締役に就任。現在は、技術基盤本部 本部長としてサーバーサイドエンジニアとインフラエンジニアの組織を指揮するほか、HR本部も管轄。生成AIの活用による業務効率化、環境整備を推進している。
佐藤光さん
技術基盤本部 部長 リードクリエイター
IT系企業でエンジニアとして従事し、2018年にコロプラに中途入社。ディレクターとして複数タイトルの開発、運用に携わり、リードクリエイターに就任。現在はエンジニア組織の部長も兼任。生成AIによる業務効率化、ゲーム開発における積極的な活用を推進している。
生成AIの利活用促進のため利用料補助や表彰制度を実施
Q:生成AIを導入した背景を教えてください。
去年の11月にChatGPT 3.5が発表されたことをきっかけに、社内でも徐々に導入が進みました。そして今年、GPT-4の発表がありかなり業界内でも話題になり、弊社のようなゲーム制作会社や開発ツールの企業がGPTの採用を表明しました。これにより、私たちが普段使っているツールにもGPTが組み込まれることが現実的になり、新しい技術の波に対する危機感を感じました。そこで社内では、この技術が広まる未来をどう捉え、どんな行動を起こすべきかを考えました。
一つの方法として、利用料の補助を始め、業務の効率化に役立つツールの使用を奨励するために表彰制度を設けました。さらに、コンテスト形式での表彰を導入して、生成AIの利活用を促進しようとしています。
ほとんどのエンジニアがGitHub Copilotを利用
Q:具体的にどのような業務に生成AIを活用していますか?
現在、私たちは普段のテキスト生成やフレーバーテキストの生成にGPTを活用しています。また、企画書作成などでもGPTで生成した文章を初稿として使用することが多いですね。コンテンツ制作においては、ベータ版として公開しているものではありますが、実際にAIが生成した文章をコンテンツに組み込み、ゲーム体験として提供したりもしています。大前提として、チャットGPTに慣れることが重要なので、プロンプトによって出力結果が大きく変わるため、職種を問わず、みんながどのように利用するかを模索している状況です。
また、GitHub Copilotの使用に関してはかなり利活用が拡大しています。特にエンジニアは新しい技術に対して感度が高いので、GitHub Copilotを実際に社内業務に使って検証したときには、多くのポジティブな意見がありました。コード作成における業務効率化は測定が難しいのですが、多くのエンジニアが生産性が上がったと感じていることが分かったので、全社で導入をしました。現在GitHub Copilotに関しては、ほとんどのエンジニアが利用している状況です。
会社情報の取り扱いに基づいてガイドラインを作成
Q:ガイドラインの作成について教えてください。
生成AIのガイドライン作成については、AIに入力した情報が学習データとして使われるかどうかが重要なポイントです。これに関連して、会社の情報の取り扱いについてはセキュリティ等の基準があります。これらの基準に沿ってガイドラインを策定しました。
例えば、一般的な情報については普通にAIで使用しても構わないですが、ユーザーの情報などの機密情報は直接入力しないよう注意を促しています。情報の取り扱いに基づいてガイドラインを作成しました。
AIの活用によってしか生み出せない新しい体験を提供する
Q:今後の展望について教えてください。
生成AIは自動で様々な作業を行ってくれるのが大きな利点です。特に、ゲーム開発ではシナリオを多く書くため、誤字のチェックなどに役立ちます。また、人が手間をかけて行うべきチェック項目、ゲーム開発だと特に品質管理やデバッグのような業務も多いため、こうした分野での生成AIの活用が有効だと考えています。
さらに、最終的にはクリエイティブな側面にも繋げたいと思っています。ゲーム制作会社としては、クリエイティブの質を高めることはもちろん重要ですが、それを通じてAIの活用によってしか生み出せない新しい体験を提供することが、私たちにとって重要だと考えています。