今回は生成AIを活用してPR動画を制作した草津温泉観光協会の小森 涼太さんにお話伺いました。
生成AIをPR動画に活用した経緯や、PR動画に対するリアルな声、コスト削減について、今後生成AIをどのように活用していくべきかなど興味深いお話を伺いましたので、ぜひご覧ください。
プロフィール
草津温泉観光協会 小森 涼太さん
中学校を卒業してから25歳まで草津町を離れていたが、休日帰省した際に草津温泉の居心地の良さを改めて実感しUターンを決意。草津温泉に貢献できる職に就きたいと思い、現在の観光協会へ就職。現在は熱乃湯(「湯もみと踊り」ショー)を公演している施設の管理やプロモーション・イベント等、幅広い業務に携わっている。
新しい視点での試みとして生成AIをPR動画に活用
Q:生成AIを活用してPR動画を制作した背景について教えてください。
今まで様々なPR動画制作を行ってきましたが、当時生成AIが話題となっており、新しい視点での試みとして取り組んでみることにしました。実証実験ではないですけど、今後の動画制作における活用を考えて、今回動画制作を行いました。
生成AIを活用したPR動画に対する反応は賛否両論
Q:生成AIを活用したPR動画を見た方の反応はどのようなものが多かったのでしょうか?
やっぱりAIが画像を生成する中で、多少アニメーションの違和感がありました。その違和感が面白さでもあると思うんですけど、人によって感じることは違っていて、生成AIで作ったアニメーションだと違う見え方がして面白いと感じる人もいれば、実際の風景の方がいいという人もいて、結構賛否両論だなと感じました。
生成AIの活用によってPR動画の制作費用は50万円以上削減
Q:PR動画作成に生成AIを利用することによる業務効率化などの効果はありましたか?
コスト面に関して言えば、やはり生成AIを利用すると費用は抑えられると思います。具体的には、100万円とまではいかないですが、50万円以上はコストを削減できています。
制作にかかる時間も、生成AIを使った方が短縮できるのは確かです。例えば、モデルさんを用意する必要がない点など、生成AIの利点といえます。具体的には、2、3時間撮影した後は、ほとんどがAIによる作業となり、大幅に時間が短縮されました。
生成AIの活用にあたって著作権には細心の注意
Q:PR動画作成に生成AIを活用するにあたって著作権など法律面で注意したことはありますか?
今回、我々が生成AIを活用したPR動画に使用した画像や、元となる動画は、すべて自分たちで撮影して用意したものです。ですから、実際には著作権などの法律に違反していないのですが、何となくAIが嫌いで、規制違反ではないかと言われることも多々ありました。
元にしたモデルさんや、動画制作の際にいろんなモデルさんから著作権の許可も得ているので、規制に関しては細心の注意を払いました。
生成AIを活用したPR動画は別の物語として制作する
Q:今回はじめてPR動画の制作に生成AIを活用したとのことですが、今後どのように活用していきたいと考えていますか?
AIを活用する場合は、VTuberの実況ではないですが、別の物語として確立させた方がいいのかなと思いました。例えば地元に住んで働いている人は、温泉の良さや旅館の女将さんの接客する様子など、現地の人との関わりや癒しを重視している方が多いです。
しかし、生成AIを使うとそれらの要素が伝わりにくい点があります。ですから、生成AIを活用してPR動画を作成する場合は、もう一つの別の物語として、若者であったり全く別の層をターゲットとして制作する方がいいのかなと感じています。
人手不足の問題を生成AIでカバー
Q:最後に、生成AIは今後社会にどのような影響を与えると考えますか?
日本はやはり人口が減少しているため、地方では特に人手が不足しています。そういった状況の中で、生成AIを含むあらゆるAIに頼ることで、多くの問題がカバーできるのではないかと思います。人件費のコスト削減の点でも、人口が減少している現状に合わせて、生成AIを積極的に導入すべきだと思います。
ただ、地方は高齢者が多いため、AIを活用すべき場所で活用できる人が不足しているという現状もあります。今回のPR動画制作でも、生成AIを用いることで製作時間が短縮されたことがわかりました。うまく活用していくことができれば、非常に助かると思います。