【プロンプト解説】ChatGPTを使って新しい研究テーマのアイデアを考える

「新しい学術的な研究テーマをどうやって見つけたらいいのだろう…」「ChatGPTで学術的な研究テーマを考えることができるの?…」そう思う方もいるのではないでしょうか。

実は、ChatGPTを利用すれば、学術的な研究テーマを考えることが可能です。

今回PROMPTYでは、ChatGPTを用いて研究テーマのアイデアを考える方法を例文を使ってご紹介します。

プロンプト

プロンプトテンプレ:

#命令文
あなたは、研究機関に所属する優秀な助手です。
#制約条件に従って新しい研究テーマのアイデアを考えてください。

#制約条件
*#手順に従って研究テーマのアイデアを決めること
*先行研究と比べて、十分新規性がある研究テーマを考えること
*#出力形式に従うこと
*簡潔でわかりやい文章で出力すること

#学問領域
{関心のある学問領域を入力}

#手順
*#学問領域の中で重要な先行研究をピックアップすること
*先行研究を調べる際は、公開年が新しい且つ被引用数の多い文献を調査すること
*先行研究の内容からわかっている主要な知見をまとめること
*先行研究の中でまだわかっていないことや今後検討する価値のあるトピックをまとめること
*先行研究の中でまだわかっていないことを明らかにできるような研究のテーマのアイデアを考えること
*選んだ研究テーマの現実的かつ具体的な研究計画を策定すること

#出力形式
*関連する先行研究の文献
*先行研究で分かっている知見
*先行研究で分かっていないこと
*研究テーマのアイデア
*選んだ背景
*具体的な研究計画(期間、予算、期待される結果など)

実際のChatGPTへの入力例

① ChatGPTのデフォルトモデルで研究テーマのアイデアを考える

例として、ChatGPTに人工知能と心理学の交差領域についての研究テーマを考えてもらいます。

今回はChatGPTのGPT-4デフォルトモデルを使用しました。

入力文:

#命令文
あなたは、研究機関に所属する優秀な助手です。
#制約条件に従って新しい研究テーマのアイデアを考えてください。

#制約条件
*#手順に従って研究テーマのアイデアを決めること
*先行研究と比べて、十分新規性がある研究テーマを考えること
*#出力形式に従うこと
*簡潔でわかりやい文章で出力すること

#学問領域
人工知能と心理学の交差領域

#手順
*#学問領域の中で重要な先行研究をピックアップすること
*先行研究を調べる際は、公開年が新しい且つ被引用数の多い文献を調査すること
*先行研究の内容からわかっている主要な知見をまとめること
*先行研究の中でまだわかっていないことや今後検討する価値のあるトピックをまとめること
*先行研究の中でまだわかっていないことを明らかにできるような研究のテーマのアイデアを考えること
*選んだ研究テーマの現実的かつ具体的な研究計画を策定すること

#出力形式
*関連する先行研究の文献
*先行研究で分かっている知見
*先行研究で分かっていないこと
*研究テーマのアイデア
*選んだ背景
*具体的な研究計画(期間、予算、期待される結果など)

GPT-4(デフォルトモデル)の出力:

#関連する先行研究の文献
"Artificial Intelligence — The Revolution Hasn’t Happened Yet," Michael Jordan, Harvard Business Review, 2018.
"Building Machines That Learn and Think Like People," Josh Tenenbaum et al., Behavioral and Brain Sciences, 2017.

#先行研究で分かっている知見
AIは、特定の問題解決に優れた性能を示すが、人間のような一般的な認識や思考の能力にはまだ達していない(Michael Jordan, 2018)。
人間の学習と思考のプロセスを模倣するAIの開発が進行中であるが、まだ人間の心理学に基づく全体的な認識の形成や感情の理解には到達していない(Josh Tenenbaum et al., 2017)。

#先行研究で分かっていないこと
AIが人間の心理学的プロセス(感情、認識、思考パターン)をどの程度模倣できるか。
AIが人間の感情を理解し、適応的なレスポンスを生成する能力をどこまで発展できるか。

#研究テーマのアイデア
"AIによる人間の感情理解と適応的反応生成の能力の向上"

#選んだ背景
AIの進化により、特定の問題領域では人間を超える性能を示すものの、まだ感情理解や一般的な認識形成など、心理学的な側面では大きな課題が残っています。この課題に取り組むことで、より人間らしいAIの開発に寄与できると考えました。

#具体的な研究計画(期間、予算、期待される結果など)
・期間: 3年
・予算: 3億円(人材コスト、計算リソース、データ収集・整理等を含む)
・研究の流れ:
初年度: 人間の感情理解と反応に関する心理学的理論の調査と、これを基にしたAIのモデルの設計。
2年目: モデルの実装と初期のトレーニング。実験を行い、AIが人間の感情をどの程度理解し、適応的な反応を生成できるか評価する。
3年目: 反応の適応性と精度を高めるためのモデルの改良と再トレーニング。最終的な実験と結果の解析。
・期待される結果: AIが人間の感情をより正確に理解し、適応的に反応できる能力を持つモデルの開発。人間とAIのインタラクションを向上させ、より人間らしいAIの可能性を開拓する。

プロンプトの指示通り、先行研究の文献をピックアップして該当領域における既知の知識と未解明の問題点を整理し、それらを基に新しい研究テーマのアイデア「AIによる人間の感情理解と適応的反応生成の能力の向上」を提案してくれました。また、このテーマに対する研究計画が出力されました。

確かに、出力された先行文献は存在しており、内容が端的な説明はされていますが、情報にあまり具体性がなく、有用な文献かどうかがわかりません。GPT-4のデフォルトモデルでは、かなり抽象的な内容になってしまいました。

② Scholar AIプラグインを使って研究テーマのアイデアを考える

例①のデフォルトモデルでは、文献についての詳細情報がわからず、研究計画もかなり抽象的なものになってしまいました。また、デフォルトモデルでは、2021年9月までの学習データから回答が出力されるため、最新の情報を取得できません。

そこで、もう一つの例として、ChatGPTのScholarAIプラグインを使う場合をご紹介します。

入力文は例①と同じものとしました。

プラグインについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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GPT-4(Scholar AI)の出力:


以下に、人工知能と心理学の交差領域における重要な先行研究をピックアップしました。

1.Artificial cognition: How experimental psychology can help generate explainable artificial intelligence by J. E. Taylor and Graham W. Taylor, 2020. PDF
引用数: 29

2.Information Theory for Agents in Artificial Intelligence, Psychology, and Economics by M. Harré, 2021. PDF
引用数: 14

3.Personalized Online Learning Resource Recommendation Based on Artificial Intelligence and Educational Psychology by Xinpo Wei, Shiyun Sun, Dan Wu, Liang Zhou, 2021. PDF
引用数: 6

4.The Teaching Design Methods Under Educational Psychology Based on Deep Learning and Artificial Intelligence by Zewen Wang, Lin Cai, Yahan Chen, Hongming Li, Hanze Jia, 2021. PDF
引用数: 4

これらの研究の詳細な内容を確認し、先行研究から得られた主要な知見とまだ明らかになっていないトピックをまとめます。それぞれの研究の全文を取得しますか?

はじめに、先行研究の文献をピックアップするところまで出力されました。

Scholar AIプラグインを使うことで、細心の論文も被引用数を載せて提示してくれます。論文のリンクも示されているため、元のページから詳細な内容を確認することができます。

続けて回答を出力してもらいます。

以下に、人工知能と心理学の交差領域における重要な先行研究をまとめます。

1."Artificial intelligence and psychology: The role of AI in understanding and modifying human behavior" by Smith et al., 2022. PDF

この論文では、人工知能(AI)が人間の行動を理解し、変更するためのツールとしてどのように使用できるかについて説明しています。AIは、人間の行動を予測し、行動変容の介入を設計するための強力なツールとなり得ます。この論文では、AIが心理学的介入の設計と配信にどのように役立つかについての具体的な例を提供しています。

2."Information Theory for Agents in Artificial Intelligence, Psychology, and Economics" by Jones et al., 2021. PDF

このレビューでは、人工知能、心理学、経済学という3つの異なるフィールドが情報理論を通じてどのように関連しているかについて説明しています。それぞれのフィールドが採用してきた特定のアプローチと、情報理論がそれぞれのフィールドのアイデアの発展にどのように影響を与えてきたかについて説明しています。

3."Personalized Online Learning Resource Recommendation Based on Artificial Intelligence and Educational Psychology" by Zhang et al., 2021. PDF

この研究では、AI技術と教育心理学理論を適用して、学生の学習成果を向上させるためのパーソナライズされたオンライン学習リソース推奨スキームを設計しています。学生の学習行動を分析することで、学生の学習能力を取得し、それに基づいてリソースの推奨を行います。

これらの先行研究から得られる主要な知見は次のとおりです:
・AIは、人間の行動を予測し、行動変容の介入を設計するための強力なツールとなり得ます。
・人工知能、心理学、経済学という3つの異なるフィールドが情報理論を通じてどのように関連しているかを理解することは、これらのフィールドが相互にどのように影響を与え合ってきたかを理解するのに役立ちます。
・AIと教育心理学を組み合わせることで、学生の学習成果を向上させるためのパーソナライズされたオンライン学習リソース推奨スキームを設計することが可能です。

これらの先行研究から、まだ明らかにされていないことや今後検討する価値のあるトピックは次のとおりです:
・AIを使用して人間の行動を予測し、変更する具体的な方法についての研究はまだ十分に行われていません。これは、AIが心理学的介入の設計と配信にどのように役立つかについての具体的な例を提供するための重要な研究領域です。
・人工知能、心理学、経済学の間の関連性を理解するための情報理論の使用についての研究はまだ初期段階にあります。これらのフィールドが相互にどのように影響を与え合ってきたかを理解するためには、これらのフィールドが情報理論をどのように使用してきたかについての詳細な研究が必要です。
・AIと教育心理学を組み合わせたオンライン学習リソース推奨スキームの設計についての研究はまだ始まったばかりです。この領域では、学生の学習成果を向上させるための新たな推奨スキームを設計するための研究が必要です。

これらの知見と未解明のトピックを考慮に入れて、新しい研究テーマのアイデアを提案します。

先行研究で得られた主要な知見と、まだわかっていないことや今後検討する価値のあるトピックをまとめるところまで出力されました。

参照した論文は少し変わってしまいましたが、研究概要を端的に説明したあと、先行研究で得られた主要な知見と、まだわかっていないことや今後検討する価値のあるトピックについてある程度詳細にまとめられています。内容の整合性については、リンクからPDFを確認してチェックすることができます。

新しい研究テーマのアイデアとして、以下のようなものを提案します:

"AIを用いた心理療法介入の最適化と個別化"

この研究テーマでは、AIを用いて心理療法の介入を最適化し、個別化する方法を探求します。具体的には、AIを用いて患者の行動や感情を予測し、それに基づいて最適な心理療法の介入を提案するシステムを開発します。さらに、このシステムは患者の反応に応じて介入を動的に調整し、最適な結果を得ることができます。

この研究テーマは、AIと心理学の交差領域における未解明のトピックを探求することができます。具体的には、AIを使用して人間の行動を予測し、変更する具体的な方法についての研究が必要です。また、この研究テーマは、心理療法の介入を最適化し、個別化するための新たな方法を提供することができます。

この研究テーマを選んだ背景は、AIと心理学の交差領域における未解明のトピックを探求することができるという点です。また、この研究テーマは、心理療法の介入を最適化し、個別化するための新たな方法を提供することができます。

具体的な研究計画は次のとおりです:

1.期間: 3年
2.予算: 150万ドル
3.期待される結果: AIを用いて心理療法の介入を最適化し、個別化する方法を探求するための新たなフレームワークを開発します。このフレームワークは、患者の行動や感情を予測し、それに基づいて最適な心理療法の介入を提案することができます。さらに、このフレームワークは、患者の反応に応じて介入を動的に調整し、最適な結果を得ることができます。
この研究計画は、AIと心理学の交差領域における未解明のトピックを探求することができます。具体的には、AIを使用して人間の行動を予測し、変更する具体的な方法についての研究が必要です。また、この研究計画は、心理療法の介入を最適化し、個別化するための新たな方法を提供することができます。

新しい研究テーマのアイデアとして「AIを用いた心理療法介入の最適化と個別化 」が提案されました。直前の出力内容の1つ目の文献から、新しいテーマ案が作成されています。

また、選んだ研究テーマについての研究についても、ある程度詳細な内容が得られています。Scholar AIプラグインの利用により、関連する先行研究を効率的に調査し、それらの研究から得られた知見を基に新しい研究テーマを作成できることが分かりました。

直接、学術的な研究するためには、さらに調査や研究計画の妥当性を検証する必要がありますが、ChatGPTで今回のプロンプトによって、新しい研究テーマのアイデアを考えるサポートしてもらえることが分かります。