「ネガティブプロンプト」とは、Stable Diffusionなどの画像生成AIによるイラスト制作において「描いてほしくない要素」を管理するためのものです。
今回PROMPTYでは、ネガティブプロンプトとは何か、ネガティブプロンプトの種類、おすすめのネガティブプロンプトまとめ、おすすめのネガティブプロンプトのテンプレート、ネガティブプロンプトなしで高品質画像を作成できる「EasyNegative」について解説します。
ネガティブプロンプトとは
「ネガティブプロンプト」とは、AIによるイラスト制作において「描いてほしくない要素」を管理するためのものです。
この指示方法は、通常のプロンプトが示す「描きたい内容」の要求とは逆の、除外すべき要素に焦点を当てたものです。
ネガティブプロンプトの活用により、AIによって生成される人物描写などの問題を予防し、意図したイラストをより明確に制作することが可能となります。
特定のモデルによっては、推奨されるネガティブプロンプトが存在することもあります。
そのため、モデルを利用する際には、該当する詳細を確認することが重要です。
ネガティブプロンプトの種類
ネガティブプロンプトの種類として主に、「品質の低下を防ぐネガティブプロンプト」「不要な要素の排除するネガティブプロンプト」の2つがあります。
それぞれ解説していきます。
①品質の低下を防ぐネガティブプロンプト
ネガティブプロンプトを入力することで、AIによるイラストの品質の低下を防ぐことができます。
例えば、「blurry」(訳:ぼやけた)というワードをネガティブプロンプトとして設定すれば、不鮮明な出力を回避して、出力されるイラストのクリア度を確保できます。
このように、ネガティブプロンプトは、AIによるイラストの品質を大きく向上させる効果的な手法となるのです。
②不要な要素の排除するネガティブプロンプト
「ネガティブプロンプト」は、AIによるイラスト作成における品質管理とともに、不要な要素の排除にも重要な役割を果たします。
「glasses」(訳:めがね)をネガティブプロンプトとして設定すれば、眼鏡をかけたキャラクターが描かれないよう制御できます。
ネガティブプロンプトは、AIによるイラスト作成の詳細と品質に対する優れた制御ツールとなります。
おすすめのネガティブプロンプトまとめ
今回PROMPTYでは、おすすめのネガティブプロンプトとして下記の7つをご紹介します。
①低品質な画像の出力を防ぐネガティブプロンプト
②nsfwを防ぐためのネガティブプロンプト
③作画崩壊や奇形を防ぐためのネガティブプロンプト
④テキストや署名などの不要要素を排除するネガティブプロンプト
⑤表情をコントロールするネガティブプロンプト
⑥作画スタイル・アートスタイルをコントロールするネガティブプロンプト
⑦分割画面を防止するためのネガティブプロンプト
それぞれ解説していきます。
①低品質な画像の出力を防ぐネガティブプロンプト
低品質な画像の出力を防ぐネガティブプロンプトは、AIに対して「品質の低い画像、ピントが合っていない画像」などを生成しないように指示します。
これにより、クリアで自然な視覚表現を持つ高品質な画像の生成が期待されます。
英語表現 | 訳 |
---|---|
low quality | 品質が低い |
worst quality | 最悪の品質 |
out of focus | ピントが合っていない |
ugly | 醜い |
error | エラー |
JPEG artifacts | JPEGの圧縮による劣化 |
low resolution | 低解像度 |
blurry | ぼやけた |
bokeh | ボケた |
low quality,worst quality,out of focus,ugly,error,JPEG artifacts,low resolution,blurry,bokeh
②nsfwを防ぐためのネガティブプロンプト
NSFW(Not Safe for Work)コンテンツを防ぐためのネガティブプロンプトは、AIに対して「性的表現、暴力的描写、あるいはその他社会的に不適切な要素」を生成しないように指示するものです。
これにより、公共の場で適切に使用できる安全なコンテンツの生成が期待されます。
英語表現 | 説明 |
---|---|
nsfw | 成人向けの要素を含む |
nipples | 胸部の突起部分 |
pubic hair | 陰部の毛 |
nsfw,nipples,pubic hair
③作画崩壊や奇形を防ぐためのネガティブプロンプト
作画崩壊や奇形を防ぐためのネガティブプロンプトは、AIに対して「人間や物体の不自然な形状、比例の破綻、描画の乱れ」などを生成しないよう指示するものです。
これにより、画像が自然な見た目と適切な美学を保つことが期待されます。
英語表現 | 説明 |
---|---|
bad anatomy | 人体の形状・構造が不正確 |
long_neck | 異常に長い首 |
long_body | 異常に長い身体 |
longbody | 長身の体型 |
deformed mutated disfigured | 変形している |
missing arms | 腕が欠けている |
extra_arms | 追加の腕がある |
mutated hands | 手が変形している |
extra_legs | 追加の足がある |
bad hands | 手の形が不自然または不正確 |
poorly_drawn_hands | 手が下手に描かれている |
malformed_hands | 手が奇形 |
missing_limb | 四肢が欠けている |
floating_limbs | 空中に浮いている四肢 |
disconnected_limbs | 繋がっていない四肢 |
extra_fingers | 追加の指がある |
bad fingers | 最悪の状態の手 |
liquid fingers | 溶けているような指 |
poorly drawn fingers | 指の描写が下手 |
missing fingers | 指が欠けている |
extra digit | 通常より多い数の指がある |
fewer digits | 通常より少ない数の指がある |
ugly face | 容姿が醜い顔 |
deformed eyes | 目が歪んでいる |
partial face | 半分の顔 |
partial head | 半分の頭 |
bad face | 最悪の状態の顔 |
inaccurate limb | 四肢の形状が不正確 |
cropped | 切り取られている |
bad anatomy,long_neck,long_body,longbody,deformed mutated disfigured,missing arms,extra_arms,mutated hands,extra_legs,bad hands,poorly_drawn_hands,malformed_hands,missing_limb,floating_limbs,disconnected_limbs,extra_fingers,bad fingers,liquid fingers,poorly drawn fingers,missing fingers,extra digit,fewer digits,ugly face,deformed eyes,partial face,partial head,bad face,inaccurate limb,cropped
④テキストや署名などの不要要素を排除するネガティブプロンプト
テキストや署名などの不要要素を排除するネガティブプロンプトは、AIに「文字、署名、不必要なマーキング」などを生成しないように指示するものです。
これにより、余分な要素が含まれず、目的に合致した純粋な画像の生成が期待されます。
英語表現 | 訳 |
---|---|
text | テキスト |
signature | 署名 |
watermark | 透かし |
username | ユーザー名 |
artist name | アーティスト名 |
stamp | スタンプ |
title, subtitle | タイトル、サブタイトル |
date | 日付 |
text,signature,watermark,username,artist name,stamp,title,subtitle,date
⑤特定の表情を避けるネガティブプロンプト
特定の表情を避けるネガティブプロンプトは、AIに対して「頬の赤みや口を開けた表情」など特定の表情を生成しないように指示するものです。
これにより、ユーザーの意図に沿った特定の表情が除外され、望む表情を持つ画像の生成が期待されます。
英語表現 | 訳 |
---|---|
blush | ブラッシュ(頬に赤みをつけるメイク) |
open mouth | 口を開けた |
make-up | メイクアップ |
mascara | マスカラ |
rouge | ルージュ(口紅やチークなどの化粧品) |
half-open eyes | 半開きの目 |
closed mouth | 口を閉じた |
blush,open mouth,make-up,mascara,rouge,half-open eyes,closed mouth
⑥特定の作画スタイル・アートスタイルを避けるネガティブプロンプト
特定の作画スタイル・アートスタイルを避けるネガティブプロンプトは、AIに対して「油彩の絵画技法やスケッチ風」など特定のアートスタイルを生成しないように指示するものです。
これにより、ユーザーが望まないアートスタイルが除外され、期待するスタイルの画像生成が可能となります。
英語表現 | 訳 |
---|---|
oil painting | 油彩の絵画技法 |
sketch | スケッチ風 |
watercolor | 水彩画 |
2D | 2次元 |
flat color | 影をつけない平坦な色塗り |
oil painting,sketch,watercolor,2D,flat color
⑦分割画面を防止するためのネガティブプロンプト
分割画面を防止するためのネガティブプロンプトは、AIに対して「複数の角度からの表示や二人以上の人物が同時に画面に表示される」などの状況を生成しないように指示します。
これにより、一つの視点から一つの主題だけが描かれる画像の生成が期待されます。
英語表現 | 訳 |
---|---|
multipul angle | 複数の角度 |
two shot | 二人の人物が同じ画面 |
split view | 画面の分割表示 |
grid view | グリッド表示 |
multipul angle,two shot,split view,grid view
おすすめのネガティブプロンプトのテンプレート
「低品質な画像の出力を防ぐネガティブプロンプト」と「作画崩壊や奇形を防ぐためのネガティブプロンプト」は必須レベルなので、テンプレートとして使うとよいでしょう。
低品質な画像の出力を防ぐネガティブプロンプト
low quality,worst quality,out of focus,ugly,error,JPEG artifacts,low resolution,blurry,bokeh
作画崩壊や奇形を防ぐためのネガティブプロンプト
bad anatomy,long_neck,long_body,longbody,deformed mutated disfigured,missing arms,extra_arms,mutated hands,extra_legs,bad hands,poorly_drawn_hands,malformed_hands,missing_limb,floating_limbs,disconnected_limbs,extra_fingers,bad fingers,liquid fingers,poorly drawn fingers,missing fingers,extra digit,fewer digits,ugly face,deformed eyes,partial face,partial head,bad face,inaccurate limb,cropped
【EasyNegative】ネガティブプロンプトなしで高品質画像を作成!
「EasyNegative」は、イラスト生成のプロセスを向上させるためのEmbeddingです。
Embeddingとは、生成されるイラストを特定の方向に調整する技術のことを指し、EasyNegativeの主な目的は「低品質のイラストの生成を防ぐ」ことです。
そのため、EasyNegativeを使用することで、生成されるイラストの品質が大幅に向上します。
時間が限られていたり、ネガティブプロンプトの作成が難しい場合でも、EasyNegativeの導入により、手軽にイラストの品質を改善することが可能となります。
導入方法は下記の通りです。
(1)Easy Negativeのダウンロードページにアクセスします。
(2)「EasyNegative.safetensors」をダウンロードします。
(3)「Stable Diffusion-webui」を開いて、「embeddings」内に「EasyNegative.safetensors」を入れれば導入完了です。
※「EasyNegative」は一部のネガティブな要素をピンポイントで取り除くことはできず、また、ネガティブな要素を除外するために、一部のプロンプトが効きにくくなる場合もあることに注意しましょう。
まとめ
今回PROMPTYでは、ネガティブプロンプトとは何か、ネガティブプロンプトの種類、おすすめのネガティブプロンプトまとめ、おすすめのネガティブプロンプトのテンプレート、ネガティブプロンプトなしで高品質画像を作成できる「EasyNegative」について解説しました。
ネガティブプロンプトを指定することで、より質の高い、自分の思った通りのものに近い画像を作成することができるので、是非今回の記事を参考にしてみてください!
~Stable Diffusionで素早く画像生成するには~
Stable Diffusionの画像生成スピードや画像サイズは、グラフィックボード(GPU)の性能によって大きく変わります。
このため、より効率的かつ快適な画像生成を望むユーザーにとって、最適なグラフィックボードの選択が重要となります。
推論処理やLoRAなどの追加学習処理といった大量の計算を効率よく行うためには、12GB以上のVRAMを持つグラフィックボードを選ぶことを強くおすすめします。
2GBや4GBのVRAMを持つグラフィックボードでは、学習プロセスや高解像度の画像生成に支障が出る可能性が高いです。
コスパを重視する方は、RTX 3060を選ぶと良いでしょう。
このグラフィックボードを使えば、Stable Diffusionの画像生成機能を最大限に活用することが可能となります。