はじめに・LLMとは
Large Language Model (LLM) は、人工知能による言語処理技術の一種で、最も有名な例としてOpenAIが開発したGPTシリーズがあります。本記事では、LLMを用いたシステム開発を行いたいあなたへ、GPTを目的に特化させてカスタマイズする2つの方法について解説します。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、作りたいものに合わせて使い分けたり、併用したりしてください。
特化させるメリット
LLMを特化させることによるメリットは、以下の通りです。
- より精度の高い結果を得られる
- 応答速度が向上する
- 特定の用途に合わせた応答が可能になる
これにより、より効率的で使いやすいシステムを開発することができます。
特化させる方法① Fine-tuning
Fine-tuningは、既存のLLMをベースに、追加のデータを用いてモデルを再学習させることで、特定のタスクや領域に対して性能を向上させる手法です。これにより、標準のLLMでは対応できないような特殊な要求にも対応可能なモデルを作成できます。
特化させる方法② Prompt Design
Prompt Designは、ユーザーの入力を適切に設計することで、LLMが目的に沿った応答を生成する確率を高める手法です。具体的には、入力文を工夫して、モデルが目的に沿った情報を提供するよう誘導します。これにより、開発者は既存のLLMを活用しながら、目的に特化したシステムを開発できます。
indexと呼ばれるプロンプトの前処理の方法を用いることで、リアルタイム性を高め、一定の精度を保つことができます。
2手法の比較(メリット・デメリット)
Fine-tuningとPrompt Designは、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。
観点 | Fine-tuning | Prompt Design |
---|---|---|
精度 | 高い | 一定の精度 |
料金(Davinci モデル想定) | $0.1200 / 1K tokens | $0.0200 / 1K tokens |
追加料金 | 追加の学習コストがかかる可能性あり | 追加コストが低い |
リアルタイム性 | 学習時期に依存 | 高い |
個別最適化 | 弱い(学習データ含める必要がある) | 強い(プロンプトに個別情報を含めることができるから) |
応答速度 | 速い | 遅い |
開発速度 | 遅くなる可能性がある(追加学習に時間を要する) | 迅速(入力文の工夫により) |
メンテナンス性 | 追加データや再学習が必要な場合がある | LLMのアップデートに追従しやすい |
まとめ
本記事では、LLMを用いたシステム開発において、GPTを目的に特化させてカスタマイズする2つの方法、Fine-tuningとPrompt Designについて解説しました。それぞれの手法にはメリット・デメリットがあり、開発者は自分の目的に応じて使い分けることが重要です。また、2つの方法を併用することも可能です。これらの手法を理解し、適切に活用することで、効率的で使いやすいシステムを開発することができます。