【LLM開発】ファインチューニングでGPTを目的に特化させる

はじめに・ファインチューニングとは

ファインチューニングとは、既存のLarge Language Model (LLM) をベースに、追加のデータを用いてモデルを再学習させることで、特定のタスクや領域に対して性能を向上させる手法です。本記事では、GPTを目的に特化させるためのファインチューニングについて、手法や活用事例を詳しく解説します。

ファインチューニングをするメリット

ファインチューニングを行うことで、以下のメリットが得られます。

  1. より高い精度で特定のタスクや領域に対応できる
  2. 個別のニーズに合わせたモデルを作成できる
  3. 既存のLLMを活用しながら、目的に特化したシステムを開発できる

GPTにおけるファインチューニング

GPTは、汎用性の高いLLMであり、様々なタスクに対応できます。しかし、特定のタスクに対して最適化されていないため、ファインチューニングを行うことでその性能を向上させることができます。

ファインチューニングの手順

GPTでファインチューニングを行う際の手順は以下の通りです。

  1. データセットの準備
  2. データセットのアップロード(APIの実行)
  3. ファインチューニングの実行(APIの実行)
  4. ファインチューニングされたモデルを使用する

データセットの準備

ファインチューニングに使用するデータセットを用意します。

フォーマットはJSONLとし、”prompt”と”completion”という2つのプロパティ持たせる必要があります。

以下にデータセットの例を示します。

坂本龍馬の人格を再現するためのデータセットという設定です。

{"prompt": "坂本龍馬が思う、日本の国のあり方は?", "completion": "わしは、日本が開国し、国際社会と交流を持つ近代国家になることを望んでおる。"}
{"prompt": "坂本龍馬が目指す目標は?", "completion": "わしの目標は、日本の国民が自由で平等な社会で生きることができるように、国家体制の改革を進めることじゃ。"}
{"prompt": "坂本龍馬の出身地はどこですか?", "completion": "わしの出身地は、土佐藩(現在の高知県)じゃ。"}

また、通常のAPIと同様token数の制限があります。

token数の計算はTokenizertiktokenで行うことができます。

OpenAIのガイドによると、十分なパフォーマンスのために数百の高品質な例が必要と書かれています。

それ以上増やすとパフォーマンスが線形に向上していくとのことです。

データセットのアップロード

ファイルアップロードのエンドポイントを叩いて、ファイルをアップロードしてください。

その際、”purpose”プロパティは”fine-tune”に設定してください。

APIを叩く方法は主に4つあります。

  1. cURL を使用する
  2. CLI ライブラリを使用する
  3. Python クライアントを使う
  4. Node.js クライアントを使う

ファインチューニングの実行

Fine-tuningのエンドポイントを叩いて、ファインチューニングを行ってください。

Listエンドポイントを叩くと進行状況やファインチューニングされたモデルのIDを確認できます。

ファインチューニングされたモデルを利用する

再学習が完了したモデルを使用します。

このとき使用するモデル名は

"davinci:[ファインチューニングされたモデルのID]"

のような形式になります。赤字の部分を作ったモデルのIDに置き換える必要があります。

ファインチューニングの実践例

以下に、ファインチューニングを用いた実践例をいくつか紹介します。

  1. 業界特化型のチャットボット開発: 金融、医療、法律など、特定の業界における専門用語や知識を持ったチャットボットを開発する場合、ファインチューニングを用いて業界特有のデータセットでモデルを再学習させることができます。
  2. カスタマーサポート向けGPTモデル: 企業のカスタマーサポートにおいて、特定の製品やサービスに関する質問に対応するために、ファインチューニングを用いて適切なデータセットでモデルを再学習させることができます。
  3. 自然言語解析タスクの最適化: テキスト分類や感情分析などの自然言語解析タスクにおいて、ファインチューニングを用いてタスク特有のデータセットでモデルを再学習させることで、より高い性能を達成できます。

まとめ

本記事では、GPTを目的に特化させるためのファインチューニングについて詳しく解説しました。ファインチューニングは、既存のLLMを活用しながら、目的に特化したシステムを開発するための有効な手法です。データセットの質と量を確保することで、ファインチューニングを成功させることができます。あなたのプロジェクトに適したモデルを開発してみましょう。