ChatGPTは水を大量に消費するって本当?資源と生成AIの関係性について解説!

「ChatGPTが水を消費するってどういうこと?」「ChatGPTが水を消費するって本当?」このような疑問を抱く方もいるでしょう。

実は、ChatGPTのような生成AIは高度な計算を行うために多くのリソースを必要とします。水資源のみではなく、他の環境資源に関しても同様です。

今回PROMPTYは、ChatGPTがどれだけの水を消費するのか、その背後にある資源と生成AIの関係性について詳しく解説していきます。

ChatGPTはデータセンターの冷却に莫大な水を必要とする

GPT-3やGPT-4などのAIモデルは、データセンター内に設置されており、データセンターは、多くのサーバーが収容される施設で、ここで様々な計算や処理が行われます。

こうしたデータセンターにおける計算作業は、多大なエネルギーを必要とします。そのため、電気や石炭、原子力、天然ガスなどのエネルギー源が利用されています。

しかし、その一方で、これらの計算によって多くの熱が発生します。この熱を制御し、データセンター内の温度を適切に保つために、水が冷却材として使用されています。

実際にAIモデルがトレーニングされるプロセスでは、相当な量のエネルギーが消費されます。そして、このエネルギーは熱に変換されます。このため、データセンター内の温度が上昇するのを防ぐため、水冷システムが導入されています。

GPT-3のトレーニングには70万リットルの水を必要とする

カリフォルニア大学リバーサイド校とテキサス大学アーリントン校の専門家グループが、AIの水消費に関する分析報告書「Making AI Less ‘Thirsty’」をリリースしました。

この報告書によれば、GPT-3の訓練に必要な水の量は、原子炉の冷却水タンクを満たすのに必要な量とほぼ同じであることが示唆されています。

原子炉の冷却水タンクを満たすのに必要になる水の量は約70万リットルと言われています。

OpenAIはGPT-3のトレーニングにかかった具体的な期間について公式には言及していませんが、実際に必要な冷却水の量については推定することが難しいです。

しかしながら、MicrosoftはOpenAIと提携し、大規模な投資を行っており、AIトレーニングのためのスーパーコンピューターを展開しています。

最新のシステムには、グラフィックカードが1万枚、プロセッサコアが28万5000個も搭載されており、そのため相当な量の冷却水が必要とされています。

                        参考:gizmodo,「Making AI Less ‘Thirsty’」

20-50回の質問あたりでは500ミリリットルの水を必要とする

上で紹介したレポートでは同様に、ChatGPTが20~50回質問を受けるたびに、500ミリリットルの水を消費することについても言及されています。

500ミリリットルの水は、単体では多くないように感じるかもしれませんが、総合的なウォーター・フットプリントとして見ると、非常に大きな量となることが指摘されています。

データセンターの大量建設による環境汚染が懸念されている

水の消費課題は、AI分野全体に影響を及ぼす問題であり、Googleもその一例です。

Googleは2019年、アメリカの3つの州にあるデータセンターで約23億ガロン(約87億リットル)もの水を使用しました。北米には現在14のデータセンターがあり、これらはGoogleのサービス群を支えています。例えば、Google検索やGoogle Workspaceだけでなく、最新の技術であるLaMDAやBardなどの言語モデルもこれらのデータセンターで運用されています。

興味深いことに、LaMDAの独自トレーニングには、GPT-3よりもさらに多量の水が必要とされています。

数百万トンの水が必要と言われており、これはGoogleのデータセンターがテキサス州などの暑い気候地域に設置されていることにも関連しています(ただし、研究チームはこれを「おおよその参考値」と述べています)。

ChatGPTは水以外の資源も大量に消費する

巨大な言語モデルのトレーニングには、電力の消費も大きなポイントです。スタンフォード大学の人間中心人工知能研究所によると、GPT-3のトレーニング過程で排出された炭素量は合計で502トンにもなります。

GPT-3の全トレーニングに要した電力は、平均的なアメリカの家庭の数百年分に相当します。しかし、データセンター競争の激化は、環境への影響を懸念する声を引き起こしています。専門家たちは、常に最善の環境選択が行われているわけではないと指摘しており、環境への配慮が今後ますます重要になっていると警鐘を鳴らしています。

参考:TIME

生成AIと環境問題は密接に関わっている

世界経済フォーラムによると、既に米国内で約220万世帯が水不足やトイレなど基本的な屋内設備の問題に直面しており、約4400万世帯が不安定な給水システムに置かれているとのことです。

科学的な見解によれば、気候変動と米国内の人口増加により、この世紀末までに水不足問題は一段と深刻化すると予測されています。ハーバード大学の専門家たちによると、2071年までに、米国内の204の淡水流域の約半数では、毎月必要な水量を確保できない状況になる見込みです。今後50年で、多くの地域では水供給量が実に1/3程度まで減少する可能性もあると言われています。

また、米国内では気温上昇に伴い、1000年に1度の干ばつが発生しています(ただし、最近の異常な大雨により、水不足の最悪状況は回避されたかもしれません)。さらに、AIの需要が急速に広がる中、テック企業があらゆる分野にAIを取り入れることで、AIの水消費量も増大し、水不足を悪化させる可能性があります

研究者たちの提言通り、即座に国際的な規模でAIの水使用に関する対策を講じる必要があります。

                        参考:World Economic Forum, Harbard University

ChatGPTを水の管理に活用する方法も模索されている

上で述べたように、ChatGPTの莫大な水の使用量に関して懸念されている一方で、ChatGPTを水の管理に活用しようという動きも見られます。

オーストラリア国内外に向けて水に関する専門の講義を提供するAustralian Water Schoolは水資源とAIツールの共存に関する動画資料を提供しています。

                                参考:Australian Water School

まとめ

今回PROMPTYでは、ChatGPTと水や資源の関係性について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

ChatGPTはデータセンタの冷却に莫大な量の水を必要とします。そのため、生成AIの利用による環境問題の解決が重要になるでしょう。

一方で、水資源の活用にChatGPTを利用しようとする動きも見られます。

PROMPTYでは他のChatGPTに関する記事も公開していますので、是非ご覧ください。