「GPT-4.5 ってなに?」
「他のモデルと何が違うの?」と考えている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
GPT-4.5は高い思考力とEQを兼ね備え、直感的で人間味のある回答を提供します。
本記事ではGPT-4.5の概要、特徴、進化ポイント、ベンチマークの比較、GPTモデルの進化の流れ、活用例、メリットと課題を詳しく説明しているのでぜひ最後までご覧ください。
GPT-4.5とは
GPT-4.5は、OpenAIが2025年2月にリリースした最新かつ最も高度な大規模言語モデル(LLM)です。
GPT-4の後継モデルであり、精度や信頼性の向上に加え、より自然な対話ができるよう改良されています。
約2週間前に、サム・アルトマン氏がXにて公開を予告した、GPT基盤のモデルの中で最後の「非思考連鎖型モデル(non-chain-of-thought model)」です。
OpenAIのGPT-o1やxAIのGrokなど推論型のモデルの開発に力を入れている中、OpenAIが出す最後の非推論強化型モデルであるとされています。
ChatGPT Proのユーザーはリリース日当日から、PlusとTeamsのユーザーはリリースの1週間後から、EduとEnterpriseのユーザーはリリースの2週間後から利用可能になります。
GPT-4.5の5つの特徴
GPT-4.5には5つの特徴があります。
①リーズニング
GPT-4.5は応答の前に思考の連鎖を実行します。
このプロセスを経ることで、科学や数学などの複雑なプロンプトにもより的確に回答できます。
②教師なし学習
教師なし学習とは、AIが「正解の答え」を教えられずに、大量の文章を読みながら自分でデータのパターンやルールを見つける学習方法です。
教師なし学習のスケールアップ: 「世界モデル」(現実世界の知識)の精度と直感を向上させます。
OpenAI
「世界モデル」とは子供の認知能力と同じような発達の仕方をするものであり、世界(外界)との関わりにより直接的・経験的に知識を獲得していくというものです。
GPT-4.5では、この「世界モデル」の精度が従来モデルと比べ強化されているようです。
これにより、ハルシネーション発生等の生成AIが持つリスクを減少させると考えられています。
③高いEQ
GPT-4.5は旧モデルと比較して、EQ (心の知能指数)の高さ特徴です。
GPT-4.5は文脈を理解し、よりユーザーに寄り添った温かみのある回答を提供します。
以下のように「テストで赤点を取ってしまい落ち込んでいる」というメッセージを送ったところ、GPT-4oは改善策を回答したのに対し、GPT-4.5はユーザーに寄り添い、励ますメッセージで応答しました。

OpenAIは、以前よりAIの機能や種類の複雑化を問題視しており、ユーザーフレンドリーなAIの実装を掲げていました。
GPT-4.5のEQの高さは、人間により寄り添った形での推論や回答の出力を可能にしており、ユーザーフレンドリーAIの一部実現が為されていると考えられます。
④自然な流れを意識した回答
GPT-4.5は深い知識を持ち、ユーザーの思考プロセスに寄り添う回答を提供します。
以下の例ではGPT-o1がプロンプトに関して持っている知識を全てアウトプットしたのに対し、GPT-4.5は自然な流れを意識して論理的に順序を辿ってアウトプットを行いました。

⑤回答の正確性
OpenAIが行った調査の結果によると、旧モデルと比較してGPT-4.5が最も高い正確度を記録しました。
また、幻覚率においてはGPT-4.5が最も低い数値を記録しました。
左:正確度 右:幻覚率

参考:OpenAI
GPT-4.5の性能
以下の表はGPT-4.5、GPT-4o、OpenAI o3-miniを科学、数学、多言語対応、マルチモード対応 (テキスト、画像、音声など)、コーディングで比較した結果です。

科学、数学、コーディング2では推論モデルであるo3-miniが優れていますが、その他の項目ではGPT-4.5が最も高い評価を獲得しています。
この結果について、サム・アルトマン氏は「GPT-4.5は推論モデルのようにベンチマークを求めたものではない。これは別の種類の知能で、今まで感じたことのないような魔法のようなものがある。」と述べています。
引用:Sam Altman氏のX
また、どのような問いに対しても、GPT-4oよりもGPT-4.5の回答の方が好まれるという結果が出ています。以下のグラフは日常的・職業的・クリエイティブな問いに対しての回答でテストユーザーがGPT-4oよりもGPT-4.5の回答を好んだ割合を示しています。

参考:OpenAI
ChatGPTモデルの進化の流れ
2018年〜2025年のモデルに「なぜ海水はしょっぱいのか」と質問をした結果を比較します。
GPT-1 (2018)
GPT-1は適当な単語を繋げただけの意味が通らない文章で回答しました。

GPT-2 (2019)
GPT-2はプロンプトに関する単語を繋げた文章で回答しましたが、内容はまだ問いに対する解答にはっていません。

GPT-3.5T (2023)
GPT-3.5Tでは初めて正しい解答が提供されました。
しかし説明が浅く、余分な情報が追加されていて質の低い回答です。

GPT-4T (2023)
GPT-4Tは更に賢くなり、説明を回答に含めます。
しかし文章の自然さはなく、単なる事実の羅列です。

GPT-4.5 (2025)
GPT-4.5は簡潔でまとまりのある、わかりやすい回答を提供します。
また、説明に入る前に結論をまとめ、「!」などを使用することでより親しみやすさを持たせます。

活用例
GPT-4.5の高いEQと正確度、深い知識は、以下のような活用方法で発揮されます。
- カスタマーサービスチャットボット:正確で自然な応答により、顧客満足度を向上
- コンテンツ生成:記事、ブログ、ソーシャルメディア投稿の作成で、事実に基づいた高品質なコンテンツを生成
- 言語翻訳:多言語コミュニケーションをサポートし、ビジネスや教育での利用を拡大
- 研究支援:研究データの要約や仮説生成を支援し、研究効率を高める
- パーソナルアシスタント:日常タスクの支援で、より賢いアシスタントを提供
メリットと課題
GPT-4.5にはたくさんのメリットがありますが、改善の余地も見られます。
メリット
- 精度と信頼性の向上:事実に基づいた応答が増加し、誤情報のリスクが低減
- 自然な対話:人間味が増した回答でユーザー体験が向上
- 高度なリーズニング:複雑なタスクの処理が可能
課題
- 高い計算コスト:大規模なモデルであるため、トレーニングや運用にかかるコストが非常に高い
- データの質と量:大規模なデータセットの品質と量が限られており、これがモデルの性能向上の障壁となっている
- 直感的な回答生成の限界:直感的に回答を生成する能力は優れていますが、場合によっては深い論理的推論や細かな説明が求められる場面では限界が感じられることがある
まとめ
今回はGPT-4.5について詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
以下が本記事の簡単なまとめです。
- 高い思考力とEQ:よりユーザーに寄り添い、人間味のある回答が可能に
- 進化した学習プロセス: GPT-4.5は「リーズニング(推論)」と「教師なし学習」により、より深い理解と直感的な応答が可能に
- 過去モデルとの比較での優位性: GPT-1からGPT-4.5までの進化を比較すると、回答の自然さや情報の精度が飛躍的に向上
GPT-4.5は、より直感的で精度の高い応答を実現し、多様な分野での活用が期待される次世代のAIモデルです。