Meta 生成AIツールを使った政治広告を禁止する方針を発表

Facebookを運営するメタ・プラットフォームズは、11月6日に生成A)を搭載した新しい広告ツールを政治広告への使用することを禁止する方針を発表しました。

参考:REUTERS

広告に生成AIを使用するリスク

メタの広告基準には、ファクトチェックを実施するパートナー機関によって誤情報と認定された広告を禁止する規定が含まれています。しかしながら、AIに関する具体的な規則は現時点で存在しないため、今回の新たな方針発表は、そうした規則を設けるべき声に対する、まだ初期の対応といえます。

メタは約1カ月前に全ての広告主に対して生成AI搭載広告ツールの利用を拡大すると発表したばかりです。春に一部の広告主に限定して開始されたサービスであり、来年には世界中の全広告主に提供する計画だと発表していました。

ハイテク企業が自社のツールの安全性に関して詳細な情報を公開することは稀ですが、政治広告に対するメタのこの決定は、AI関連のポリシーにおいて業界内で重要な意味をもたらします。

Google広告における安全対策

グーグルは、選挙広告の全ての送り手がAIツールを使用してメッセージを編集・作成する場合、その事実を開示することを新たに義務付ける方針を発表しました。

この方針では、選挙広告の依頼主に対して、AIによって生成された画像、動画、音声を含む広告に対して、視聴者への警告を発することを求めます。これにより、広告主は「この音声はコンピューターで生成された」「この画像は実際の出来事を表現していない」といった文言を目立つように広告内に記載することが求められます。

ただし、画像サイズの変更や明るさの修正など、編集の微調整についてはこの新規制の対象外となります。

グーグルは、合成コンテンツを生み出すAIツールの普及を踏まえると、この方針変更が選挙広告に対する透明性の向上につながると考えています。マイケル・アシマン広報担当者は、新たな取り組みが「責任ある政治広告を一層支持し、有権者が適切な決定を下す上で必要な情報を提供するのに役立つ」と強調しています。

参考:Bloomberg

AIの発展に伴う安全対策の必要性

AI技術の進歩スピードと法規制の更新速度にはギャップがあります。現行法ではAIの新たな応用に迅速に対応するのが難しく、このため企業は自主規制によってガイドラインを設けざるを得ない状況です。グーグルとメタの最近の動きは、法的枠組みが追いつくまでの狭間を埋める企業の役割の一例と言えるでしょう。

現在、日本では生成AIの著作権問題やハルシネーションなどの考慮した方針が定められつつあります。

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政府が生成AIに関するガイドラインや規制を提示することで、著作権侵害やプライバシーの問題などを考慮してより安全に効果的に生成AIを利用できるようになるでしょう。