OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は、同社がAppleの元デザイン責任者であるジョニー・アイヴ氏との極秘のハードウェアプロジェクトについて言及しました。
アルトマン氏は、インタビューでAIデバイス開発に興味があることを認めつつ、スマートフォン市場との競合する意向はないと回答しました。
Wall Street JournalのTech Liveカンファレンスに登壇したサム・アルトマン氏
参考:GIZMODO
まだどのアイデアも初期段階
経済メディアInsiderによると、アルトマン氏はThe Wall Street JournalのTech Liveイベントで、OpenAIが元Appleのジョニー・アイヴ氏とともに進めているAIデバイスについて、具体的にどのようなものであるか確定していないが、多くの漠然としたアイデアがあると語りました。
ただし、彼はAIデバイスがiPhoneの人気を超えることはない考えており、「スマートフォンと競争する興味はない」と主張しました。
9月には、アルトマン氏がプロジェクトの協力のためにAppleの元Chief Design Officerであるジョニー・アイヴ氏に接触したとの噂が報じられました。アイヴ氏は、Appleでの27年間のキャリアを経て、iPhoneやiPad、iMacなどの製品のデザイナーとして知られています。
日本の企業も関係している
その後、OpenAIがハードウェアプロジェクトのために10億ドルを調達したとの報道が出ました。この資金調達にはソフトバンクからの支援があったと言われています。この交渉の中で、ソフトバンクは傘下のチップメーカーであるArmの参加も提案しているようです。
今回のプロジェクトの目的として、AIとの対話を「より自然で直感的」に行えるデバイスの開発が挙げられており、このデバイスは「AI業界のiPhone」という言葉が囁かれていますが、これは文字通りのiPhoneを再発明するものではないとのことです。
スマートフォン市場の飽和
アルトマン氏の発言によれば、彼はスマートフォン市場と競合する意向はなく、新しいAIデバイスがスマートフォンを置き換えるかもしれないとの見解を示しました。
テクノロジー市場分析企業のCanalysよると、北米のスマートフォン市場は飽和しており、特にスマートフォンの2023年第2四半期の北米での売上は前年比で22%減少、2023年全体では12%の減少が予想されています。
まとめ
Wall Street JournalのTech Liveカンファレンスで、OpenAIのアルトマン氏は、AIデバイス開発の意向を示唆。iPhoneの人気を超える意図はなく、具体的な内容は未定。ソフトバンクとの資金調達協議も進行中で、Armの参加が提案されています。
AI技術とハードウェアデバイスの連携は、近年のテクノロジートレンドの中で特に注目されるテーマとなっています。
- 特化型AIチップの登場
近年、一般的なコンピューティング用途のチップセットではなく、AI計算専用に設計されたチップが増えています。これにより、高度なAI機能を低消費電力で効率的に動作させることが可能となり、モバイルデバイスやエッジコンピューティングの領域でのAIの利用の拡大が見込まれます。 - エッジコンピューティングの台頭
すべてのデータをクラウドにアップロードして解析するのではなく、デバイス側での処理が求められる場面が増えてきました。これには、リアルタイム性の要求やプライバシーの保護などが背景にあります。AIとハードウェアの密接な連携によって、エッジデバイスでの高速な判断や処理が可能となります。 - UX/UIの変革
AI技術の進化により、ユーザーとのインタラクションが従来のタッチインターフェースから、音声、ジェスチャー、顔認識など多様な形態へと拡がっています。これには、デバイス内部での高度なAI処理が不可欠となります。 - 持続可能なAIの重要性
AIの計算負荷は高いため、効率的なハードウェア設計は持続可能なエコシステムの実現に寄与します。特にモバイルデバイスやウェアラブルデバイスでは、電池持続時間の最適化がキーとなります。
OpenAIのアルトマン氏の発言からは、彼らが目指すデバイスは単なるスマートフォンの代替ではなく、新しいテクノロジートレンドを踏まえた次世代の製品であることが窺えます。ソフトバンクとの協議や、Armとの連携の可能性も、高度なAI計算を可能とするハードウェアの重要性を裏付けています。