京都府 生成AIの有効性を検証するための実証実験を開始

京都府は、現代の技術革新として注目される生成AIの実際の有効性や可能性を深く探求する目的で、実証実験を開始しました。

この実証実験は10月下旬まで行い、府の職員約100人が実際の業務で生成AIを活用するようです。

マイクロソフトの生成AIサービス「Azure OpenAI Service」を利用

今回の実証実験で使用されるのは、米マイクロソフト社が提供する「Azure OpenAI Service」という生成AIサービスです。

Azure OpenAIについて公式で下記のように説明されています。

Azure OpenAI では、モデルの再トレーニングに顧客データは使用されません。

引用元:Microsoft

Azure OpenAI Service では、OpenAI GPT-3、Codex、DALL-E モデルを使用した高度な言語 AI を顧客に提供し、Azure のセキュリティとエンタープライズの約束を実現します。 Azure OpenAI は OpenAI と共に API を共同開発し、互換性を確保し、一方から他方へのスムーズな移行を保証します。

Azure OpenAI を使用すると、顧客は OpenAI と同じモデルを実行しながら、Microsoft Azure のセキュリティ機能を使用できます。

引用元:Microsoft

なおこの実証実験においては、厳格なルールのもと、個人情報や機密情報の取り扱いは避けられ、対話形式での運用が進められています。

府庁にてデモンストレーションを実施

さらに、府庁では報道機関向けのデモンストレーションが開催されました。

職員が提出した長文の議事録に対して、「200文字以内で要約する」という指示を出すと、わずか数秒後にAIによって短縮された文章が出力されました。

また、AIを府職員として活用するシチュエーションも想定され、キャッチフレーズの作成をAIに依頼すると、「職員も驚くAIの力」や「AIとともに進む府職員の未来」といった回答が出力されました。

このような取り組みを通じて、新たな技術の導入による業務効率化や府民サービスの向上の可能性が府内で評価されています。

行政による生成AI活用の流れ

生成AIの有効性が広く認められるようになった中で、都道府県や市区町村など行政による生成AIの活用の流れが広まっています。

東京都

東京都は8月23日に、全局の職員5万人に対して、文章生成AI「ChatGPT」の利用体制を確立するため「文章生成AI利活用ガイドライン」を公開しました。

このガイドラインは利用時の基本ルールや、より良いプロンプトの作成方法、そしてAIの今後の方向性などを明記しています。

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神奈川県

神奈川県は、生成AI「ChatGPT」を活用するためのガイドラインを公開しています。

このガイドラインは、生成AIを安全かつ効果的に活用するための方針や手法、具体的な使用例などを詳細に説明しています。

9月中旬から職員研修を開始して、生成AIの安全かつ適切な利用を推進していく予定です。

大阪市

9月1日、大阪市は、生成AIの活用方針を今年度中に確立し、翌年度から導入することを目的として、アマゾンウェブサービスジャパンとPwCコンサルティングと連携協定を結びました。

大阪市は、事務作業の効率化を主目的とし、文書整理や企画提案の初期段階でのアイデア生成に生成AIを使用する予定です。

試験運用は9月から11月にかけて行われ、会議の議事録作成や研究調査などでの活用が予定されています。

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生成AIの活用によって行政に求められること

生成AIの活用は行政の効率化を促進し、文書作成や情報整理の時間を大幅に削減できると期待されています。この効率化の恩恵により、行政サービス全体の質向上が期待されます。

ただし、生成AIが扱うデータには個人や機密情報が含まれる場合があり、その安全な取り扱いが不可欠です。このため、厳格なガイドラインの設定と適切な業務遂行が求められます。

さらに、行政がこの技術を有効に活用することで、他の組織や市民にもその利点を示し、成功事例やガイドラインの公開を通じて、ロールモデルとしての役割を果たすことが望まれます。