生成AIで商品のキャッチコピーなどを自動作成できる機能を「BtoBプラットフォーム 商談」に実装 株式会社インフォマート

今回は、企業間商取引のプラットフォームを提供している株式会社インフォマート様にお話を伺いました。

プロフィール 

デジタルガバメント部門 マーケットプレイス事業部 部長

今井 信康氏

▼プロフィール文

前職では司法書士パッケージソフトの開発責任者を務め、全く異なる分野でキャリアを築いてきました。2007年にインフォマートに入社後、「BtoBプラットフォーム 規格書」「BtoBプラットフォーム 受発注」「BtoBプラットフォーム 請求書」などのシステム開発に携わり、2020年からは「BtoBプラットフォーム 商談」の事業責任者として、サービスの成長に尽力しています。初めて営業に挑戦していますが、多くの課題を刺激的に楽しんでいます。

生成AIで商品名や商品情報からキャッチコピーを作成

Q:生成AIを導入した背景を教えて下さい。

A:我々が手がけている「BtoBプラットフォーム」の一つに、買い手企業が求める食材と売り手企業が提供したい食材をマッチングする「BtoBプラットフォーム 商談」があります。「BtoBプラットフォーム 商談」を運営する中で、特に売り手企業側に、“買い手企業に提案するキャッチコピーを考えるのに多くの時間がかかる” という課題がありました

それらの課題解決のため、昨年9月に、生成AIを活用して商品名や特徴をもとに簡単にキャッチコピーが生成できる機能を導入しました。操作はユーザーが利用しやすいように、直感的でシンプルな設計にしています。商品キャッチコピーの入力欄には「AIに相談する」ボタンを設置し、分かりやすいインターフェースを提供しています。

例えば、売り手企業が「東京都の江戸川小松菜の商品説明を全角300文字以内で教えて」と入力すると、生成AIが回答をしてくれるので、回答をコピーして登録画面に入力できます。文章のクオリティが向上することで、より商品の魅力を伝えることができます。現在は文字数を抑えていますが、今後はもっと詳しい情報を掲載できるようにバージョンアップしたいと考えています。

商品情報の登録画面から「AIに相談する」を選択することで利用可能です。

遷移後の画面では入力した相談内容に基づき生成AIが回答します。

Q:「BtoBプラットフォーム 商談」でどのように生成AIが活用されているのかを教えて下さい。

A:先ほど述べたように、売り手企業が商品名や特徴をもとにキャッチコピーを生成できる機能があります。

また、売り手企業は「レシピマート」という機能を使ってレシピを公開できますが、レシピの説明が不十分な場合があります。そこで、買い手企業がレシピの特徴や用途について「AIに聞く」ボタンを押すと、より具体的な説明を得ることができ、購入判断に必要な情報をスピーディーに入手することができます

さらに、生成AIの使い方を学べる「体験コーナー」というページも提供しています。

利用規約への同意が必要になりますが、生成AIを使って検索や募集、購入、分析などを行う方法を学べるコーナーです。

生成AIの導入によりメルマガの配信数が増加

Q:生成AIを「BtoBプラットフォーム 商談」に導入したことによる効果やユーザーの評価を教えて下さい。

A:ユーザーからは非常に多くのポジティブな意見をいただきました。特に、キャッチコピーや商品説明の文章を作成できる点が好評でした。これまで売り手企業のユーザーが平均20分かかっていた作業を10秒前後に短縮できる点を評価いただいたのでしょうその結果、メルマガの配信数も増加しました


Q:「BtoBプラットフォーム 商談」の生成AIについて、自社で開発されたそうですが、どのくらいの期間開発を行いましたか?

A:開発は、2、3日で終わりました。なぜなら、元々の機能に補助として生成AIを追加し、裏方でChatGPTのAPIを呼び、回答を返しているからです。
どちらかというと、セキュリティなどのガバナンス面を整える方に多く時間を割きました

例えば、「弊社のプラットフォームで間違った情報を使用してしまい、お客様からクレームが入ったらどうするのか」や、「著作権が不明なものを配信した場合、どのように対応するのか」といった問題が懸念されました。これらの問題について、弁護士と相談しながら、具体的な対策を考えていきました。

「BtoBプラットフォーム 商談」の活性化を目指し、生成AIを活用してメニューの提案をしたい

Q:生成AIを社内の業務にも使われているようですが、社内での生成AIの教育はどのように行いましたか?

A:例えば「自分たちでLPを作りました。これを確認してください」といった場面があると思います。しかし、その前に「一度生成AIでチェックしましたか?」と聞き、生成AIを活用する習慣をつけさせています。

このように、自分たちで生成AIを体験してもらうことを教育の一環として徹底したいと考えています。そして、生成AIを使うことで、キーワードや条件の設定によって回答が変わるという点を体感し、発想力を高めてもらいたいと考えています。このプロセスを通じて、生成AIに関する知識やその利点が自然とユーザーに伝わっていくのではないかと期待しています。

ただし、注意が必要な点があります。生成AIは何でも質問すれば回答を返してくれますが、その中には誤った情報が含まれることもあるという点です。また、社内外の機密情報をそのまま生成AIに入力して「これを分析して」と依頼するのは避けるべきです。こういったセキュリティに関する教育ももちろん必要です。


Q:生成AIに関する今後の展望を教えて下さい。

A:まだ実現には至っていませんが、「BtoBプラットフォーム 商談」で買い手企業にも売り手企業にも満足してもらうためには、買い手企業が「提案を待つだけ」という現状を変え、よりプラットフォームを活性化させるため、買い手企業がメニュー開発をし、買い手企業の先にいるエンドユーザーに提案することが重要だと考えています。具体的には、生成AIを活用し、トレンドや顧客の好みや傾向、さらには地域の特産品や価格帯を考慮したメニューを買い手企業が提案できるようにしたいと考えています。

また、そのメニューを提案する際に、「誰がそのメニューを欲しがるのか?」というペルソナ設定を行い、そのペルソナに基づいたアンケートを、クローズドな環境で実施する計画です。

いくつかのパターンを考案した後、「このメニューを取り入れてみよう」というステップに進めば、そのメニューに合った食材が必要となります。これにより、「BtoBプラットフォーム 商談」がさらに活性化すると期待しています。

また、社内では今後営業活動にも生成AIを使っていきたいと考えています。
例えば、Web営業を録画した場合、その録画データを生成AIに分析してもらうことや、チャットでお客様から様々なことをヒアリングした後に、そのチャットの分析をしてもらうことが考えられます。

最後に、我々が提供する「こういうものが欲しい」買い手企業と「こういうものを売りたい」売り手企業をマッチングする「BtoBプラットフォーム 商談」には、生成AIやその他の技術が進化しても普遍的なニーズがあると考えています。例えば、誰かが起業したら「まず『BtoBプラットフォーム 商談』に登録しなければ」と思えるくらいの存在感を持たせたいと考えています。生成AIの技術は、「BtoBプラットフォーム 商談」にとって追い風となるので、私たちもこれをもっと積極的に活用し、どんどんチャレンジしていきたいと考えています。