教育用システムAirCampusに生成AIを導入 受講生の学習の質を高める 株式会社Aoba-BBT

今回は幼児から経営層に至るまでを対象に、インターナショナルスクールから大学・大学院(MBA)に至る多様な学習プラットフォームを提供している株式会社Aoba-BBT様にお話を伺いました。

プロフィール

原  秀文

株式会社Aoba-BBT / システム開発本部本部長
株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック / 取締役

保険ECシステム、学習システム等のアジャイルソフトウェア開発で20年以上の経験を持つ

AirCampus内ではOpen AIの有料モデルを自由に利用可能

Q:どのように生成AIを活用しているのか教えてください。

A:生成AIについては、主に次の2つの部分で活用されています。1つ目は受講生の学習サポート、2つ目は弊社職員の業務のサポートです。

受講生は主に弊社が提供するAirCampusという教育用システム内で生成AIを活用しています。AirCampus内では生成AIが自由に使用できるプロンプトが機能の一部として組み込まれており、受講生はそのプロンプトを自由に使用して学習に活用しています

また、使えるモデルに関してもAirCampus内では本来有料であるGPT-4oを自由に使うことができ、GPT-4 miniも利用可能です。

AirCampus内で生成AIを翻訳やフィードバック等様々な用途で活用

Q:1つ目の受講生のサポートについて、具体的な活用事例を教えてください。

A:生成AIは、AirCampusの中で様々な用途で活用されています。例えば外国語を学ぶ講座では、生成AIが翻訳機能を提供します。日本語で書かれた内容をワンクリックで英語に翻訳したり、逆に英語から日本語に翻訳することもできます。

また、長い文章についてはAirCampus

内にある「要約」ボタンを使って簡単な操作で要約することができ、自分が誰かに返信する際にも、生成AIがアドバイスを提供する機能もあります。その他にもプログラミングのコースなどでは、自分が書いたコードをチェックしてもらうような使われ方もされています。

さらに、学習に対するフィードバックも実施しており、生成AIが学習進捗などを参考にして具体的なフィードバックを生成することも可能になっていて受講データをもとに、受講生に対して学習に役立つアドバイスをする際にサポートが生成AIのコメントを参考にする用途にも活用されています

Q:生成AIを実際にAirCampus内に導入した際に、受講者の方からどのような声があったのかを教えてください。

A:多くの利用者に喜んでもらっています。特にOpen AIのの有料モデルを受講者が無料で利用できる点については、生成AIに興味がなかったり、あまり使ったことがない人もAirCampusで気軽に生成AIに触れられることで、使い方に慣れることができるという声もいただいています。

これからの学生には生成AIを上手に使いこなすスキルも必要だと考えられており、AirCampusは生成AIに自由に触れられる環境という意味で使いこなしを学ぶための最適な場所と考えています。

講義映像の概要を生成AIが自動生成 それにより90%の時間を削減

Q:2つ目のスタッフの業務のサポートについて、具体的な活用事例を教えてください。

A:AirCampus内の講義映像の作成に関しても生成AIがサポートしています。AirCampusに動画をアップロードすると、サムネイルや字幕が自動的に生成され、さらにコンテンツ内で使用される資料も自動で講義形式に変換され処理されます。こうした処理にもAIが活用されています。

また、動画のデータから概要文を生成したり、コンテンツを分類するラベルを生成する機能も搭載されており、以前はこれらの作業を人が手作業で行っていましたが、生成AIによって作業工数が90%ほど効率化されました

このほかにも、弊社のバックオフィス部門が中心になり、規約や業務マニュアルを読み込ませた生成AIを作成し、Slack経由で社員がいつでも質問できるようにしています。現在はベータ版で実験的に運用しています。


例えば、「4月1日時点で休職していて、4月16日から復職した場合は夏期休暇の対象になりますか?」という質問には、「4月1日時点で休職している場合は夏期休暇の対象になりません」といった回答がされています。


Q:生成AIを業務に導入したことによる効果を教えてください。

A:効果は感じています。例えば、以前はバックオフィス部門が同じような質問が来ると何度も手作業で回答していた質問も、生成AIが自動で答えてくれるようになりましたし、動画の概要作成について言えば、以前は外注していたのですが、生成AIの導入により外注費用が削減されました。

人間の課題の解決をサポートできる生成AIを作成し、提供したい

Q:職員での生成AIの活用が非常に活発なようですが、生成AIに関する教育を行ったのかを教えてください。

A:Aoba-BBTに所属する社員は、新しいテクノロジーに対する興味が高く、生成AIに関しても積極的に使いたいと考えている人が多いです。そのため、生成AIに関する教育は実施しておりません。

ただし、社員に対して最低限のガイドラインは作成しています。生成AIは100%正しい情報を提供するわけではないためアウトプットに対して責任を持つようにというガイドラインです

学生に対するガイドラインに関しても2023年3月に教授会で議論され、ガイドラインが定められました。その中で、超えてはいけないラインをある程度明確にし、その範囲内で生成AIを自由に活用することができるとし、また何か問題が起こった際には早めに対処するというスタンスを取っています

Q:生成AI活用に関する今後の展望を教えてください。

A:人間の課題を理解し、その解決をサポートできる生成AIを作成し、提供できればいいなと考えています。例えば、弊社が管理する1万時間以上の動画コンテンツについて、コンテンツの量が非常に多く、お客様の課題を解決するために必要なコンテンツがどれかを把握するのが難しくなっているという課題があります。特定の課題に対して適切なコンテンツをレコメンドしてくれ流ような生成AIができると良いのではないかと考えています。