生成AIで広告のABテストが低コストで実現可能に 合同会社謙虚

今回は生成AIを活用してWeb広告の運用代行を行う、合同会社謙虚を立ち上げた中野さんにお話を伺いました。

生成AIを広告に活用することによる業務効率化やサービスの強み、生成AIが今後社会にどのような影響を与えるのかなど興味深いお話を伺いましたのでぜひご覧ください。

プロフィール

中野輝規さん

帝京高校卒業、桃山学院大学中退。
飲食業、清掃業、ADなど様々な仕事を経験。その後メディア業界で新規事業の立ち上げに参画し、7年間在籍で業界No.3に押し上げる。その後某一部上場企業でインターネット広告業界に参画。広告業界の裏表を知る。

両親が起業家ということもあり、また様々な転機が重なって、起業を決意。WEB広告業界に参入するにあたり、AIとWEB広告を組み合わせる事を思いつく。それにより巻き起こるシナジーは自分が長年抱えていた課題をクリア出来ると確信し、合同会社謙虚を設立。

生成AIでLP作成などを効率化し、低コストでABテストが可能に

Q:生成AIを活用してWeb広告の運用代行を行う「合同会社謙虚」を立ち上げた経緯について教えてください。

中野さん:弊社はWeb広告の運用代行を手掛けているのですが、Web広告の運用代行をしている会社はゴールが明確でないところが多いように感じます。具体的に言いますと、集客を目的として広告を行うのが本来の姿なのですが、途中で目的が変わってしまって、例えば「検索結果の1位になること」がゴールになったりすることが多々あります。

このため、売り上げが伴わない広告費を払っている会社や、営業をかけている会社が非常に多いのです。そこで、私は生成AIを活用して正しく広告を運用する会社を立ち上げようと思いました。

一般的に、広告の効果を最大化するためには、ABテストを繰り返して、どの広告がお客様に刺さるのかを見極める必要があります。しかし、テキスト広告やバナー広告のABテスト、また広告をクリックした際のLP(ランディングページ)の選定には多くの費用がかかるため一部の資金力のある会社しか行うことができませんでした。

弊社のサービスは、生成AIを活用してLPの作成などを効率化することで、低コストで最適な広告を提供することができます。これにより、小規模な企業やスタートアップでも資金を大きくかけることなく、効果的なA/Bテストを行うことが可能となります。

生成AIによって1か月かかる作業が数日で対応可能に

Q:生成AIをWeb広告において活用するメリットや、それによるサービスの強みを教えてください。

中野さん:簡潔に申しますと、一番の魅力はスピード感です。LP作成などかつて1ヶ月ほどかかっていた作業が、今では1日や数時間で終わらせることができ、しかも低価格で対応できます。

Web業界は、大部分の広告費に人件費が上乗せされる構造ですが、AIの力を活用することで、アルバイトやパートの方よりも安いコストで、効果的な対応が可能となります。これが、生成AIを利用する最大のメリットだと考えています。

弊社では初期費用をいただきますが、契約期間中はランディングページ(LP)の制作が無制限となっております。お客様の利用状況によっては、1枚のLPのコストが初期費用そのものとなる場合も考えられますが、1枚だけというわけではございません。契約期間にもよりますが、単価としては数百円程度までコストを抑えることが可能です。

生成AIによってターゲットに最適なLPを作成可能

Q:特にLP(ランディングページ)の作成において、生成AIを活用するメリットはありますか?

中野さん:LP作成において最も重要なのはその構成と内容です。これらの要素は生成AIの技術を利用して、一定の範囲で効率的に自動化することが可能です。お客様のアピールしたい商品や特長に応じて、例えば「安さ」や「多彩なカラーバリエーション」といった異なる売りポイントのLPをAIが自動生成します。

各特長に合わせたLPと、それに紐づく広告を展開することで、ターゲットとするユーザー層に効果的にアプローチします。価格の魅力を強調したい場合や、豊富なカラーバリエーションを前面に出したい場合など、生成AIを利用することで迅速に適切なLPを生成し、低価格での展開が実現します。これにより、狙ったユーザー層を効果的に取り込み、売上向上を実現することが期待できます。

最終的なチェックは人間が行い、ペルソナに応じて手を加える

Q:生成AIの出力について、ハルシネーション(嘘や間違い)の問題や、その精度などについてはどう考えていますか?

中野さん:現段階では、やはり最終的には人間の目でのチェックが必要で、良質な成果物を生み出すためには、最終確認だけは人が行うという形で進めています。基本的に、実際の使用例をもとにした文章が土台となる技術を使用しています。

ただし、その出力の質はまだ完全に納品可能なレベルではなく、一部手を加える作業は絶対に必要となります。具体的なパーセンテージで申しますと、約8割の作業はAIによる自動生成で対応できる状態です。

しかし、例えば「ChatGPTにLPを作成してもらう」という要求に対して、完全にユーザーを引きつける文章を出力することは難しいので、しっかりとしたペルソナやターゲット、例えば「30代のある特定の層に訴求したい」といったニーズに応じて手を加える必要があります。

生成AIは気づかないうちに身近なものとなる

Q:最後に生成AIが今後社会にどのように関わってくると考えていますか?

中野さん:生成AIは自然と身近なものとなるでしょう。一時期、Googleが流行り始めた際に「ググれ」という言葉が生まれましたが、同様に生成AIも音声検索として普及してくると考えます。日常的に話しかけて、何かを実行してくれるようになるでしょう。

例えば「110番」に通話し、「はい、お話し下さい」と返答されるものの、実際の相手がAIだったというようなシチュエーションも考えられます。つまり、普通に会話をしていると感じても、実はその相手がコンピュータだったというケースが増えるのではないでしょうか。

さらに、自らのAIを作成し、それが自分の考えや意識と完璧に同期をとりながら、複数の場所で同時にWeb会議などを行う「分身」として活動する日も来るかもしれません。そのような変化が、我々の気づかない間に訪れるのではないかと思います。