Stable Diffusionは商用利用できるの?ライセンスと注意点について徹底解説!

「Stable Diffusionの商用利用できるの?」「画像生成AIを商用利用する上で注意することは?」そう思う方もいるのではないでしょうか。

今回PROMPTYでは、Stable Diffusionの商用利用についてのライセンスと利用する上での注意点を解説していきます。

基本的にStable Diffusionは商用利用できる!

画像生成AI「Stable Diffuision」は商用利用することができます。しかし、場合によっては商用利用が禁止されているため、細心の注意を払う必要があります。

はじめに、Stable Diffuisionのライセンスについて確認し、商用利用する上での注意点を解説していきます。

ライセンスの概要

Stable Diffusion開発元のStability AI社は次のように述べています。

The model is licensed with a CreativeML OpenRAIL++ license. The authors claim no rights on the outputs you generate, you are free to use them and are accountable for their use which must not go against the provisions set in this license. The license forbids you from sharing any content that violates any laws, produce any harm to a person, disseminate any personal information that would be meant for harm, spread misinformation and target vulnerable groups. .For the full list of restrictions please read the license

出典:Hugging Face stable-diffusion License

以下はその和訳です。
このモデルはCreativeML OpenRAIL++ライセンスで提供されています。作者は、あなたが生成した出力について何の権利も主張しません。あなたはそれらを自由に使用することができ、このライセンスで設定された規定に反してはならないそれらの使用について責任があります。このライセンスでは、法律に違反するコンテンツ、人に危害を加えるコンテンツ、危害を加えることを意図する個人情報を広めるコンテンツ、誤った情報を広めるコンテンツ、弱い立場の人をターゲットにするコンテンツを共有することを禁じています。制限事項の詳細については、ライセンスをお読みください。

このように、人に危害を加えるような内容でない限りStable Diffusionで作り出した画像は自由に使うことができ、商用利用も許可されています。しかし、Stable Diffusionを使っても商用利用が認められないケースがあるため注意が必要です。

Stable Diffusionを商用利用できないケースもある

先程、Stable Diffusionの使用にあたって著作権などの権利は発生しないことを確認しました。

しかし、以下のケースでは商用利用ができない場合もあります。

①img2imgで画像生成を行った場合

②商用利用を認めていないモデルを使用した場合

③商用利用を認めていないモデルをLoraで学習させた場合

この3点について解説していきます。

①img2imgで画像生成を行った場合

img2imgとは画像から画像を生成する方法です。

img2imgについては以下の記事で詳しく解説しています。

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img2imgは便利な生成方法ではありますが、生成した画像を商用利用することで著作権に違反する可能性があります。

参考元の画像に著作権がある場合、無断で使用し、似た構図の別画像として転用することは「著作権の侵害」に抵触し、最悪の場合訴訟される可能性もあります。

img2imgを使う場合は参考元画像のライセンスを確認するようにしましょう。

②商用利用を認めていないモデルを使用した場合

モデルとは、特定の絵柄についてAIに学習させ、その絵柄に特化した画像を生成できるように設定されたStable Diffusionの種類になります。

アニメ絵やリアルな画像、ケモナーなど、ニーズを満たす多種多様なモデルが存在します。

このモデルの中には製作者が商用利用を認めていないモデルもあります。

③商用利用を認めていないモデルをLoraで学習させた場合

Loraとはモデルや画像などを追加学習させて、特定のキャラクターなどを出力できるようにするツールのことです。

Loraについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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例えば、下の画像はウマ娘のキャラクターである「ミホノブルボン」を追加学習させたLoraです。

生成される画像は全てミホノブルボンの画像になるので、ミホノブルボンの画像を出力したい人にとってはとても便利なLoraですが、学習元は当然ウマ娘の公式絵やイラストレーターの作品であるため、当然著作権が存在します。

ライセンスをみると、やはり”No selling images”の表記があります。

商用利用できるモデル

次に、Stable Diffusionでよく利用されているモデルについて、商用利用が可能かどうか解説していきます。

商用利用できる代表的なモデルは次の通りです。

  • Stable Diffusionの公式配布モデル
  • BRA(Beautiful Rrealisitic Asians)
  • majicMIX realistic
  • CyberRealistic

Stable Diffusionの公式配布モデルやBRA(2023年6月現在はv5)を始めとした、リアルな人物の画像が生成できるモデルには商用利用できるものがあります。

商用利用できないモデル

  • Chilloutmix

高性能モデルの一つであるChilloutmixは、プロンプトの設定方法により多彩な画像の生成が可能です。しかし、Chilloutmixは高品質な画像を生成する一方で、そのライセンスにより商用利用は制限されています。そのため、個人的な利用範囲内で使用するのが望ましいです。

商用利用できるかどうか確認する方法

① CIVITAIで確認する

CIVITAIのモデルのページの右下に”License:creativeml-openrail-m”と表記されていれば商用利用が可能です。

また、CIVITAIのモデルのページの右下に並んでいるアイコンをクリックすると「このモデルでできること」が表示されています。

CIVITAIで確認できるライセンスは次の通りです。

This model permits users to(このモデルは、ユーザーに以下のことを許可します):

  • Use the model without crediting the creator
    モデルの使用時に作者へのクレジット表記が必要かどうか。×がある場合は、公開時に作者の名前を必ず表示する必要がある。
  • Sell images they generate
    モデルによって生成した画像の販売が許可されているかどうか。×がある場合は、生成画像の販売は認められていない。
  • Run on services that generate images for money
    モデルを用いて画像を生成し、そのサービスから収益を得ることが許されているかどうか。×がある場合は、生成サービスを通じた収益化(広告収入含む)は認められていない。
  • Share merges using this model
    モデルを組み合わせたものの再配布が許されているかどうか。×がある場合は、モデルの組み合わせを再配布することは許可されていない。
  • Sell this model or merges using this model
    モデル自体、またはその組み合わせを売却することが許可されているかどうか。×がある場合は、モデルそのものや派生形の販売は認められていない。
  • Have different permissions when sharing merges
    モデルの組み合わせを、元のモデルと異なる制約で公開することが許されているかどうか。×がある場合は、組み合わせについても元のモデルと同様の制約を適用する必要がある。

② Hugging Faceで確認する

Hugging Faceのページ上部の”License”から確認することができます。”License”が”creativeml-openrail-m” となっていれば商用利用が可能です。”Read more”をクリックして詳細を確認できます。

他の画像生成AIの商用利用について

画像生成AIで商用利用ができるのは、Stable Diffusionだけではありません。ここからは画像生成AIの商用利用についてご紹介します。

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Midjourney

Midjourneyは、Midjourney.incが開発した画像生成AIです。

現在、Midjorneyは有料メンバー限定のみ商用利用が可能おり、適切に使用されていれば商用利用も問題ないとされています。

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DALL・E2

DALL·E 2は、OpenAIが提供している画像生成AIです。

DALL·E 2では、毎月得られる無料クレジットで生成した画像でも商用利用が可能です。しかし、他人に損害を与える可能性のある画像のアップロードは禁止されています。また、自分で撮影や作成したと謳う行為も禁止されています。

Adobe Firefly

Adobe FireflyはAdobe社の画像生成AIで現在β版が利用可能です。

Adobe Fireflyは商用利用に特化しており、学習に使う画像全てが著作権フリーであることが明記されています。生成画像だけでなく、学習用データの著作権についても気を使いたいユーザーからの関心が高くなっています。

Dream Studio

DreamStudioは、Stable Diffusionを採用した画像生成サービスです。

DreamStudioではユーザーによる追加学習が認められていませんが、規約を順守すれば商用利用が認められています。OpenRAIL-Mライセンス下では、有害な内容を除き商用利用が許可されています。Stable Diffusionを商用利用したい場合には、追加学習を行わないブラウザツールとして、DreamStudioの他に「Stable Diffusion Online」「Diffusion Art」2つのツールを使うことができます。

このように、Stable Diffusion以外の画像生成AIにもサービスによって商用利用に関する注意や制限が異なるため、商用利用する場合は規約を確認する必要があります。

まとめ

今回PROMPTYでは、Stable Diffusionの商用利用についてのライセンスと注意点を紹介しました。

  • Stable Diffusionは商用利用することができるが、img2imgや追加学習を行う場合は注意が必要
  • 使用するモデルによって商用利用可能がどうか決まっているため、CIVITAIやHugging Faceでライセンスを確認する必要がある
  • Stable Diffusion以外の画像生成AIにも商用利用に関する注意や制約があるため、商用利用する場合は規約を確認する必要がある。

画像生成AIの進化に伴い、新たなビジネスの可能性が広がっていますが、その一方で、ライセンス遵守の重要性も増しています。

今回の情報を参考に、皆さまもStable Diffusionを始めとした画像生成AIを正しく利用していきましょう。

~Stable Diffusionで素早く画像生成するには~

Stable Diffusionの画像生成スピードや画像サイズは、グラフィックボード(GPU)の性能によって大きく変わります。

このため、より効率的かつ快適な画像生成を望むユーザーにとって、最適なグラフィックボードの選択が重要となります。

推論処理やLoRAなどの追加学習処理といった大量の計算を効率よく行うためには、12GB以上のVRAMを持つグラフィックボードを選ぶことを強くおすすめします。

2GBや4GBのVRAMを持つグラフィックボードでは、学習プロセスや高解像度の画像生成に支障が出る可能性が高いです。

コスパを重視する方は、RTX 3060を選ぶと良いでしょう。

このグラフィックボードを使えば、Stable Diffusionの画像生成機能を最大限に活用することが可能となります。