OpenAIのOperatorとは?特徴・使い方・注意点を使いながら解説!

「AIエージェントOperatorって何?」
「反復作業を自動化する方法はないのか」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回紹介するOperatorを活用することで、業務の自動化が進み、効率化や生産性の向上が期待できます。

本記事ではOperatorの基本概要、特徴、利用方法、注意点について詳しく解説します。また、記事の最後ではサム・アルトマン氏が語るOperatorの今後の展望についても触れていますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

OperatorはOpenAI初のAIエージェント

Operator(オペレーター)は、OpenAIが開発した初のエージェント型AIシステムです。従来のChatGPTのような対話特化型AIと異なり、インターネット上のウェブサイトに実際にアクセスしてタスクを自動遂行できる点が最大の特徴です

たとえばフォームの入力や商品注文、SNSへの投稿作成といった日常的なオンライン作業を代行させることが可能です。

ユーザーの指示に基づいて自律的に行動しタスクを完了できるよう設計されているため、従来のチャットボットによる受動的な情報提供から一歩進み、能動的にウェブ操作をこなすデジタル作業員ともいえる存在です。実際、人間のようにブラウザ上でクリックや文字入力、スクロールといった操作を行えるため、単なる回答生成だけでなく実務的な処理の代行まで行えます。

OperatorはCUAモデルを使用

Operatorの中核を支えるのがCUA(Computer-Using Agent)モデルです。CUAモデルは、OpenAI独自の大規模言語モデル「GPT-4o」に視覚認識能力を追加し、推論能力を更に強化したAIモデルです。

具体的には、WEBページの画面を読み取り、そこに写るボタンやメニュー、入力欄を視覚的に認識します。途中で予期せぬポップアップが出現した場合なども動的に対応策を考えて軌道修正します。そこから、人間のようにそれらをクリックしたりテキストを入力するといったアクションを起こします。

Operatorの特徴

Operatorの特徴は以下の4つなどがあります。

① WEBサイトやサービスへのアクセスと操作反復作業を自動化
②ユーザーの介入が可能完全自動と手動のバランス
③タスクの同時進行複数のタスクを並行処理
④カスタマイズ機能自分専用のタスクを保存         

この4つの特徴について解説します。

①WEBサイトやサービスへのアクセスと操作

Operator最大の強みは、あらゆるウェブサイトやWebサービスに対して人間と同じ方法でアクセスし、操作を自動化できることです。

画面上の要素を視覚的に理解して直接操作できるため、従来は自動化が難しかった一般のWebサイトも対象に含められます。この技術により、これまで人手に頼っていたウェブ上の反復作業を省力化でき、ビジネスに新たな自動化の機会をもたらすと期待されています。

② ユーザーの介入が可能

Operatorは強力な自動化ツールですが、ユーザーが途中で介入し共同作業する余地も設けられています。

例えば、操作対象のサイト上でCAPTCHA(画像認証)に遭遇したりログイン用のパスワード入力が必要になった場合、Operatorはその時点で処理を中断してユーザーに対応を促します。ユーザーが手動でCAPTCHAを解決したりパスワードを入力した後、「続行」を指示すれば再びOperatorが自動操作を再開します。

また、金銭の支払いが絡む操作やメール送信などの高リスクな処理では事前にユーザーの確認を求める仕組みになっています。例えばオンライン決済を完了する直前で「本当に実行しますか?」と尋ね、明示的な許可を得てから実行することで暴走を防ぎます。

このようにOperatorは人間との協調を前提としており、完全自動と手動のバランスを取ったセミオートメーションが可能です。

③ タスクの同時進行

Operatorは複数のタスクを同時に進行できます。ユーザーはOperatorとのチャット画面をタスクごとに開き、それぞれに別の指示を与えて並行で実行させることが可能です。

例えば「日用品をInstacartで注文して」と依頼しつつ、別の会話スレッドで「来週の出張のためにホテルを予約して」と指示すると、買い物とホテル予約を同時並行でこなしてくれるイメージです。

ただしOpenAIはセキュリティ上の理由から、Operatorが並行処理できるタスク数や同時に開ける会話の数に動的な上限を設定していると述べています。もしその上限に達した場合は通知され、新たなタスク開始は一時制限されます。こうした制約により、処理能力の乱用を防ぎつつ安定したサービス提供を実現しています。

④ カスタマイズ機能

Operatorにはユーザーが自分専用の操作手順を登録・カスタマイズできる機能も備わっています。

頻繁に行う定型的なワークフローがある場合、それを「保存タスク」として記録しワンクリックで再実行できるのです。チャット画面上で「タスクを保存」を選ぶことで、現在のOperatorの操作手順(シナリオ)に名前を付けて保存できます。

例えば「日次レポートをダウンロードして要点をまとめる」や「ニュースサイトを巡回して最新記事を一覧化する」など、業務に合わせた処理をテンプレート化しておけば、次回からはその保存済みタスクを選ぶだけで同じ処理を繰り返せます。保存したタスクはOperatorのホーム画面に一覧表示され、定期業務の自動化がより簡単になるでしょう。

Operatorの使い方

ここではOperatorの使い方をご説明します。

①専用サイトにアクセス

専用サイトoperator.chatgpt.com(2025年2月現在アメリカ限定)にアクセスしてログインしてください。

②プロンプトを入力

プロンプト入力欄にやらせたいタスク内容を日本語または英語で指示します。

特定のサイトを利用したい場合はサイト名をプロンプト欄に入力し、画像のように出現したサイトをクリックしてください。

プロンプトを入力したら画面右下にある上矢印をクリックして送信します。

③結果の確認

タスクを遂行する前にユーザーに確認を求める場合があります。その時は、画面左下にあるチャット欄で可否を送信してください。

介入の方法

手動で操作を行う場合は、画面右側にある操作画面にマウスをホバーさせた際に現れる介入ボタンをクリックしてください。

カスタム方法

画面左上にある設定ボタンをクリックしてスクロールするとカスタム指示を追加できるスペースがあります。Operatorはその情報や指示を必要に応じて利用します。

まずは小規模なタスクから実際にOperatorに試行させ、挙動や制約を理解した上で業務に適用していくことをお勧めします。

Operatorの活用事例

現時点では研究プレビュー段階のOperatorですが、既にさまざまな企業や機関がその活用に関心を示し、実証を始めています。以下の業界でOperatorの活用が期待されています。

  1. フードデリバリー・Eコマース
  2. 旅行・交通
  3. レストラン予約
  4. 配車サービス

これらの業界がOperatorを活用することでどのようなことができるようになるか解説します。

①フードデリバリー・Eコマース

フードデリバリーやEコマースはOperatorを活用して注文プロセスを簡素化できます。ユーザーはOperatorに注文を依頼することで、アプリやWebサイトを操作する手間を省くことができ、よりスムーズに注文ができるようになります。

②旅行・交通

Operatorに目的地を伝えると最適なルートや時間帯で予約を自動化をしたり、飛行機やホテルの価格をモニタリングし、最適なタイミングで予約することが可能です。また、ユーザーの好みを学習し、カスタマイズされた旅程を提案することもできます。

③レストラン予約

Operatorを利用することでレストランの予約プロセスが簡素化できます。ユーザーは希望する料理のジャンル、食事時間、場所などを指定するだけで、Operatorが空き状況を確認し、適切なレストランを予約することが可能です。

④配車サービス

Operatorを活用することでユーザーが簡単なコマンドで配車を依頼したり、未来の予約をスケジュールしたりできるようになります。Operatorが予約の手続きを管理し、好みの車種を選択し、支払い情報を処理することで、ハンズフリーでの利用が可能になります。

Operatorの注意点

Operatorを使用する際には以下の4つなどの注意点があります。

①Operatorが使えないWEBサイトがある誤操作や途中での行き詰まり
②日本ではまだ使えないアメリカ合衆国内のユーザー限定
③ハルシネーションのリスク人間による内容の確認が不可欠
④誤った操作が起きる可能性人間のモニタリングと介入が必要     

この4つの注意点について解説します。

① Operatorが使えないWEBサイトがある

便利なOperatorですが、あらゆるサイト・タスクを完璧にこなせるわけではない点に注意が必要です。現段階では高度な操作を要するタスクを正確に処理することは難しく、誤操作や途中でのスタック(行き詰まり)が起きやすく期待どおり動作しない可能性があります。

また、安全上の理由からOperatorが意図的に対応しないタスクもあります。金融取引の実行やメール送信、カレンダー予定の削除といった失敗時の影響が大きい操作はOperatorが自ら判断して拒否する仕様になっています。

したがって、現在のOperatorは「できること」「できないこと」の範囲が明確に設定された実験的なサービスであると認識しておく必要があります。自社で試験導入する際は、自動化させたいタスクがその範囲内に収まっているか事前に確認するとともに、複雑すぎる処理については無理に任せない運用方針が求められます。

② 日本ではまだ使えない

Operatorは現時点でアメリカ合衆国内のユーザー限定で提供されており、日本を含むその他の国ではまだ公式には利用できません。OpenAIはまず米国で少人数からテストを開始し、得られたフィードバックを元に性能や安全性を向上させながら徐々に対象地域とユーザー層を拡大するとしています。

欧州においてもデータ規制等の問題から提供が見送られている状況で、日本での解禁時期は未定です。したがって、日本企業が現時点でOperatorを正式に導入することはできません。とはいえ技術的プレビューが進み安全面の目途が立てば、将来的には日本を含むグローバルで利用可能になる見込みです。

③ ハルシネーションのリスク

Operatorは高度なAIとはいえ、出力する情報が常に正しい保証はありません。ベースにあるGPTモデルの性質上、存在しない事実をあたかも真実のように生成してしまう「ハルシネーション」のリスクが付きまといます。

例えば、ウェブ画面上の情報を誤って読み取った場合、本来とは異なる内容をレポートしてしまったり、ユーザーへの説明として誤情報を含んでしまう可能性があります。

また、未知の状況に遭遇した際にAIが不確実な推測を行い、不適切な操作手順を試みてしまうケースも考えられます。重要な意思決定にAIの結果を用いる場合、必ず人間が内容を検証し、妥当性を確認するプロセスを組み込むことが不可欠です。

④ 誤った操作が起きる可能性

Operatorにタスクを任せる際には、AIが誤った操作を行ってしまうリスクにも備える必要があります。

前述のハルシネーションと関連しますが、ここで言う誤操作とは、AIがインターフェース上の要素を取り違えて間違ったボタンをクリックしてしまう、あるいは誤ったデータを入力してしまうといった具体的なミスを指します。

Operatorには一定の不審動作検知機能も備わっており、異常な挙動を検出すると自動で操作を中断する仕組みがありますが、OpenAIはユーザーが常にモニタリングし、必要に応じて介入できるよう対処することを推奨しています。万一AIが誤ったステップに進みそうになったら直ちに停止・修正し、人間が立て直すことができるよう準備しておく必要があります。

Operator(Alエージェント)の展望

サム・アルトマン氏は、Operatorが自律的にタスクを実行し、意思決定を行い、最小限の人間の介入で目標を設定する能力を持つ存在になると考えています。AIエージェントがさまざまな業界で重要な役割を果たし、管理業務から複雑なデータ解析まで幅広いタスクをこなすことを期待しています。

参考:Opentools

また、アルトマン氏はAIエージェントがビジネス運営に革命をもたらす可能性を強調し、技術投資に対する大きなリターンを期待しています。彼は、マイクロソフトやコンサルティング大手のマッキンゼーなどの企業が初期の導入者であり、マッキンゼーは顧客の問い合わせを管理するAIを開発していると述べています。

参考:The Guardian

まとめ

今回はOpenAIのAIエージェント「Operator」を紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
以下がOperatorについての簡単なまとめです。

  • オンライン業務の代行ができるAIエージェント
  • 現在はアメリカ合衆国のユーザーに限定公開されている
  • ユーザーが自分専用のタスクを保存してカスタマイズできる
  • 人間のモニタリングや内容の確認が必須

Operatorを適切に使いこなすことで、業務効率化による生産性向上や人件費削減が期待されます。
是非、ご活用ください。