近年、ビジネス界で注目を集めているのが生成AI。多くの企業が業務効率化のツールとして導入を進めており、すでに利用経験のある方も少なくないでしょう。
しかし、生成AIには業務に活かせる分野とそうではない分野があり、活用方法と活用の特性を理解することが重要になります。
本記事では、生成AIでできることを、具体的な事例を交えながら詳しく解説していきます。生成AIが実際にどのような業務で活躍し、どのような場面で人間の判断が必要となるのかを解説します。
生成AIでできること・できないこと
まず先に、生成AIでできることとできないことをまとめると以下のようになります。
生成AIでできること
1. テキスト生成:文章、小説、レポート、翻訳などの自然言語テキストを生成
2. 画像生成:写真のような画像やイラストを生成
3. 音声合成:テキストから自然な音声を生成
4. 動画生成:静止画から動画を生成
5. プログラムコード生成:ソフトウェア開発のためのコードを生成
6. データ分析と予測:大量のデータから傾向を分析し、将来の予測を行う
7. カスタマイズされたコンテンツ作成:特定の目的や要件に合わせたコンテンツを生成
生成AIできないこと
1. 人間と同等の高度な判断:複雑な状況下での倫理的判断や創造的な問題解決
2. 感情の理解と表現:人間のような深い感情の理解や表現
3. 学習データ以外の最新情報の把握:2025年3月現在の最新情報や未来の具体的な予測
4. 完全に正確で信頼性の高い情報生成:生成された情報には誤りや偏りが含まれる可能性がある
5. 物理的な作業の実行:実世界での直接的な作業や操作
6. 自己意識や意図の形成:真の意味での自己認識や独自の意図を持つこと
7. 創造性の根源的な理解:人間の創造性の本質的な理解や完全な模倣
生成AIは多くの分野で革新的な能力を示していますが、人間の高度な認知能力や感情面では依然として限界があります。
そのため、生成AIは人間の能力を補完するツールとして活用されるべきであり、完全に人間に取って代わるものではありません。
企業の業務や趣味や勉強などでも生成AIが使われてるようになっている昨今、より深く生成AIを理解し、便利に生成AIを使えるように生成AIと従来のAIの違いや具体的な活用方法を確認していきましょう。
生成AI(ジェネレーティブAI)とAI(人工知能)の違い
巷でよく聞く生成AI(ジェネレーティブAI)ですが、実はAI(人工知能)と生成AIは別ものです。
生成AI(ジェネレーティブAI)とAI(人工知能)の主な違いは、「オリジナルコンテンツ創造の可否」にあります。
従来のAIは、学習済みのデータの中から適切な回答を探して提示する性質を持っています。主な機能としては、データの分析・分類・予測などが挙げられます。
一方、生成AIは「0から1を生み出す」能力を持ち、新たなコンテンツを自動で創出することができます。具体的には、テキスト、画像、動画、音声など多岐にわたるコンテンツを生成が可能です。
つまり、生成AIは人工知能(AI)技術の一分野であり、新しいコンテンツを創造する能力を持っているということです。生成AIは学習したパターンを基に、テキスト、画像、音声、さらにはプログラムコードなどの新しい情報やコンテンツを生成することができます。
例えば、従来のAIは与えられた画像が犬か猫かを識別することはできますが、新しい犬や猫の画像を作り出すことはできません。
一方、生成AIは学習データを基に、全く新しい犬や猫の画像を生成することが可能です。このようにして、生成AIの特性を活かし、企業は様々な業務で効率化を実現しています。
業務で生成AIを活かすには生成AIの仕組みを理解しておくことでより深く活用することが可能です。次の項では生成AIの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
生成AIの仕組みとは?どのようにしてアウトプットができる?
生成AIは大規模言語モデル(LLM)を基盤としており、Transformerアーキテクチャというモデルを用いて行われています。アーキテクチャとは、AIシステムの「設計図」や「基本構造」のことを指します。
建築物に例えると、建物の基礎構造や設計図にあたるものです。AIアーキテクチャは、入力データがどのように処理され、学習され、出力に変換されるかを定義する重要な要素です。
このようなアーキテクチャ(構造)に加え、自己注意機構(Self-Attention)という言語同士の関係性や文脈理解を行う計算式を用いて、膨大なテキストデータから言語の構造や意味を効率的に学習を行います。
そして行った学習データからコンテンツを生成するフローが生成AIの仕組みです。具体的な学習プロセスは以下の通りです。
ステップ1.事前学習
生成AIはインターネット上の大量のテキストデータを使用して、言語の基本的な構造と意味を学習します。この段階では、モデルは単語の関係性、文法規則、一般的な知識などを学習します。
ステップ2.ファインチューニング
学習した情報を、特定のタスクや領域に特化したデータセット(大量の情報と論理)を用いて、モデルをさらに調整します。例えば、一般的な知識を持つAIに特定の分野(例:医療や法律)の専門知識を追加で学習させることで、その分野に特化した高精度の回答ができるようになります。
これは、新しいAIを一から作るのではなく、既存のAIの「基礎知識」の上に「専門知識」を追加するようなものです。
こうすることで、少ないデータと時間で、目的に合ったAIを効率的に作ることができ、より利用者の意図に沿ったアウトプットを生成することが可能となります。
ステップ3.推論
ファインチューニングされた生成AIは保有しているデータに応じて、新しいテキストを生成したり、質問に回答したりします。
例えば、GPT-3(Generative Pre-trained Transformer 3)は1750億個のパラメータを持つ大規模言語モデルです。これほど多くのパラメータを持つことで、GPT-3は多様なタスクに対応できる汎用性の高いAIモデルとなっています。これらのデータに基づき、入力されたプロンプトに基づいて、最も適切な出力を生成し、初めて生成AIからアウトプットが出力される仕組みになっています。
生成AIにできることは?主な機能4つ

1. 画像生成
生成AIは、テキストの説明から画像を生成することができます。例えば、DALL-E 2やMidjourney、Stable Diffusionなどのモデルは、「夕日の海辺で遊ぶ子供たち」というプロンプトから、その場面を描いた画像を高品質で作成できます。
これらの生成AIツールは、デザイン業界やコンテンツ制作をより効率的に人の手を介在せずとも画像を素早く簡単に制作できるようになったと言えるでしょう。
特にビジネスでの活用の広がりは早く、広告業界では広告クリエイティブ(画像)を短時間で複数作成したり、建築・建設の業界などでも設計図の生成や仕上がりの建造物などのデザインを素早く視覚化することが可能になっています。
2. 音声生成
テキストから自然な音声を生成することも生成AIの重要な機能の一つです。
例えば、Google Cloud Text-to-Speech APIやAmazon Pollyなどのサービスを使用すると、テキストを入力するだけで、人間らしい自然な音声を生成することができます。
これらの技術は、以下のような分野で活用されています。
- オーディオブックの制作
- ビデオゲームのキャラクターボイス
- カーナビゲーションシステムの音声ガイド
- 多言語コンテンツの音声翻訳
さらに、AI音声合成技術の進歩により、故人の声を再現したり、架空のキャラクターに独自の声を与えたりすることも可能です。
3. 動画生成
最新の生成AIモデルは、静止画だけでなく、短い動画クリップを生成することもできます。例えば、Runway MLのGen-2やGoogle Researchのパーティクルビデオモデルなどが、この分野で注目を集めています。
これらのツールを使用すると、テキストの説明から短い動画を生成したり、既存の画像を動画に変換したりすることができます。この技術は、以下のような用途で活用されています。
- ソーシャルメディア向けの短尺動画コンテンツ制作
- 映画やアニメーションの背景シーンの生成
- 教育コンテンツやe-ラーニング教材の作成
- 製品デモンストレーション動画の制作
4. テキスト生成
生成AIは、テキスト生成をはじめとする多様な機能を持つ技術で、企業の業務効率化や創造的な作業を効率化する大きな機能と言えるでしょう。
特にテキスト生成では、人間が書いたような自然な文章を生成する能力があり、要約やプログラムコードの自動生成も可能です。テキスト生成はChatGPTを代表するようにブログ記事やニュース記事の制作、広告コピーの作成、ビジネス文書の作成など、多岐にわたる業務で活用されています。この技術は、以下のような用途で活用されています。
- メール文の作成やレポート・議事録の自動生成
- 外国語の翻訳
- 膨大な量のテキストデータの要約
- プログラミングコードの生成
このように一昔前までは人の力でしか作れなかったコンテンツや音声までもが生成AIによって生成することが可能になりました。しかし、生成AIにも苦手分野があり、人間の力が介在しなければ生成することができないこともあります。
下記では、生成AIにできないことを解説していきます。
生成AIにできないこと5つ
生成AIは主に不確実性の強い「人間の感情」や、参照データのない「情報の精査」が難しいとされています。どのようなシーンで生成AIの活用が難しいかを確認していきましょう。
1. 感情的な創造
生成AIは感情を持たないため、真に感情的な創造や芸術表現を行うことはできません。AIが生成するコンテンツは、学習データに基づいた模倣や組み合わせに過ぎません。
例えば、AIは人間の画家のように、個人的な経験や感情に基づいて独創的な芸術作品を生み出すことはできません。生成AIが独自で作り出した動画や画像コンテンツ自体は一見独自性があるように思ますが、指示されたプロンプトや学習したデータをもとにコンテンツを生成しているのみになります。
逆に言えば、正しいプロンプトを指定することによって、自分の思い通りのコンテンツを生成できることにもつながるため、生成AIの活用の粒度を上げるためにはプロンプトを生成する人間側の力が問われるケースが多いと言えるでしょう。
2. 感情を読み取る・理解する
AIは人間の感情を深く理解したり、共感したりすることはできません。テキストや画像から感情を分析することはできますが、それは表面的なものに留まります。
AIチャットボットは「悲しい」という言葉に反応して適切な返答をすることはできますが、その背後にある複雑な感情の機微を真に理解することはできません。
そのため企業のチャットボットなどのクレーム処理などを対応させることはおすすめしません。おかしな回答をしてしまったり、むしろお客様に対してストレスのかかる回答をしてしまうリスクもあるため、生成AIをお客様対応に活用する際はわかりやすい回答のフォーマットを用意しておくなどの準備が必要となります。
3. 根拠のない情報に基づいた推論
生成AIは、与えられたデータや情報に基づいて推論を行います。そのため、根拠のない情報や仮説に基づいて正確な推論を行うことはできません。例えば、架空の歴史事実に基づいて正確な歴史分析を行うことはできません。
言い換えれば、生成AI自身で正しい情報の判断ができないため、生成AIが生み出したデータ自体を過度に信じるのではなく引用元データの参照や、データの正しさの照合を行うようにしましょう。
4. 倫理的な意味を持つ主張
AIには倫理観がないため、倫理的な判断や主張を独自に行うことはできません。倫理的な問題に関しては、人間の判断が必要です。
具体的なシーンとして、医療分野で医師の診断にAIを活用する場合、最終的な治療方針の決定は医療倫理や人の感情に寄り添い医師が行うケースがあります。
そのほかにも意思決定として人間の意思や心を理解して意見・主張を行う場合には人間の言葉や意思が反映されている必要があると言えるでしょう。
5. 自律した創造
生成AIは、人間が設定したパラメータや与えられたデータの範囲内でしか創造活動を行えません。完全に自律的な創造や、既存の概念を超えた革新的なアイデアの創出は難しいです。
例えば、AIは既存の音楽スタイルを模倣して新しい曲を作ることはできますが、あくまで旋律や音階を学習したデータに組み換えてアウトプットを出しているにすぎません。
後ほど解説しますが、これらの生成AIによる創造に任せっきりにしてしまうと、著作権や肖像権などの法律に抵触してしまう恐れがあります。
便利だからと任せっきりにしてしまうのではなく、節度をもってチェックを重ねながら活用していきましょう。
生成AIできることを増やせる?増やす方法を解説
苦手分野もある生成AIですが、正しいデータをインプットさせたり高度なプロンプトを活用することでより広い分野で生成AIを活用することが可能です。
生成AIの能力を向上させるには、以下の方法があります。
データの質と量を向上させる
生成AIの能力を高めるには、より多様で高品質なデータを学習させることが重要です。例えば、多言語データセットを使用することで、AIの言語理解能力を向上させることができます。自社の業務データを適切に整理し、AIに学習させることで、より精度の高い業務支援が可能になります。
アップグレードされたモデルを活用する
より効率的で高性能なアルゴリズムやアーキテクチャを採用することで、AIの能力を拡張できます。例えば、GPT-3からGPT-4への進化では、モデルのパラメータ数が大幅に増加し、より複雑なタスクに対応できるようになりました。最新のAIモデルを活用することで、より高度な活用が可能になるでしょう。
ファインチューニングを行う
特定のタスクや領域に特化したデータで追加学習させることで、特定の分野での性能を向上させることができます。
例えば、法律文書で事前学習されたAIモデルは、法律関連のタスクでより高い精度を発揮します。自社の業務に特化したデータでファインチューニングを行うことで、より適切な業務支援が可能になります。
マルチモーダル学習を行う
テキスト、画像、音声など複数の形式のデータを統合して学習させることで、より総合的な理解と生成能力を獲得させることができます。
OpenAIのGPT-4は、テキストと画像の両方を理解し、それらを組み合わせたタスクを実行できます。多様なデータ形式を扱う業務では、マルチモーダルAIの活用が効果的です。
継続的に学習を続けていく
新しい情報や変化するトレンドに適応するため、AIモデルを定期的に更新し、再学習させることが重要です。
ニュース記事生成AIは、最新の出来事やトレンドを反映させるために、定期的にデータセットを更新する必要があります。自社の業務環境の変化に合わせて、AIモデルを継続的に更新することで、常に最適な業務支援を受けることができます。
今注目されている生成AIサービス6つ
1.ChatGPT|会話型生成AI

OpenAIが開発した会話型AIであるChatGPTは、自然言語処理の能力が高く、多様なタスクをこなせます。例えば、KDDIではChatGPTを活用して社内の情報検索を自動化し、業務効率化を実現しています。また、広告のターゲティング向上にも活用し、クリック率(CTR)の大幅な向上を達成しています。
2.Gemini|複合型生成AI

Googleが開発した次世代AIであるGeminiは、マルチモーダル能力を持ち、テキスト、画像、音声を統合的に処理できます。日本テレビでは、Geminiを活用して動画コンテンツの解析を行っています。ビールを飲むシーンを感情・状況ごとに解析し、最適なCMを自動マッチングする取り組みを行っています。
3.QT-GenAI|日本語特化の国産AI

日本語に特化した生成AIであるQT-GenAIは、日本語の微妙なニュアンスや文化的背景を理解し、より自然な日本語を生成します。日清製粉グループ本社では、QT-GenAIを活用して社内問い合わせ対応を自動化しています。日本語特有の表現や業界用語を理解し、より適切な回答を提供しています。
4.MidJourney|高品質な画像生成AI

高品質なイラストを生成するAIであるMidJourneyは、アーティストやデザイナーに人気があります。サントリー食品インターナショナルでは、MidJourneyを活用してキャラクター・コンテンツの生成を行っています。新商品のキャラクターデザインや、SNS用のビジュアル制作に活用しています。
5.Stable Diffusion|テキストから画像生成におすすめ

オープンソースの画像生成AIであるStable Diffusionは、テキストから詳細な画像を生成できます。大林組では、Stable Diffusionを活用して建築デザインの生成を行っています。顧客の要望に基づいた建築物のイメージ画像を短時間で生成し、提案の質を向上させています。
6.DALL-E|ChatGPTの派生画像生成AIツール

OpenAIが開発した画像生成AIであるDALL-Eは、独創的で高品質な画像を生成することができます。メルカリでは、DALL-Eを活用して出品支援を行っています。ユーザーが出品する商品の画像を自動生成し、より魅力的な商品ページの作成をサポートしています。
まとめ
生成AIは、企業の業務効率化や創造的な作業を支援する強力なツールとして注目されています。コンテンツ制作や製品開発、カスタマーサービスなど多岐にわたる分野で活用されており、NetflixやThe Washington Postがその例に挙げられます。
ただし、AIの出力には常に人間による確認と倫理的な配慮が必要です。AIと人間の協働を促進することで、創造性と生産性を向上させ、新たな価値を生み出すことができます。企業はこれらの変化に適応し、AIと人間の協働を促進する組織文化を育成することが今後の重要な課題です。
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