大学ごとの生成AIの利用への対応はどう違う?

近日、大学教育の現場でもChatGPTをはじめとした生成AIの活用が進められていますが、一方でそれらがレポートや論文の執筆にどの程度利用されて良いのか、学生や教職員への注意点は何かといった疑問も生じています。

今回PROMPTYでは、有名大学の生成AI利用に関する声明をまとめました。

目次

大学の生成AIへの対応まとめ表

ここでは、2023年時点で各大学が発表した生成AI利用に関する方針を、大学名、発行年月日、レポートや論文への利用、学生・教職員への注意点という4つの観点から整理し、一覧表としてまとめました。

大学名発行年月日レポートや論文執筆への利用学生・教職員への注意
東京大学2023年4月3日制限あり(個人情報等の機密情報は含めないこと)生成AIの利用には注意が必要
京都大学
早稲田大学2023年4月18日制限あり(安易な利用は避けること)生成AIの利用には注意が必要
慶應義塾大学2023年5月15日制限あり(教員の指示の範囲内で利用可能)生成AIの利用には注意が必要
上智大学2023年3月27日禁止AIの使用が確認された場合、厳格な対応を行う
東京理科大学2023年4月28日制限あり(生成AIの回答をそのまま利用することは避けること)生成AIの利用には注意が必要
東京工業大学2023年6月2日制限あり(授業の到達目標や内容、授業担当教員の指導方針・成績評価方針などに委ねられる)生成AIの利用には注意が必要
一橋大学
北海道大学2023年5月31日制限あり(学生の学習を妨げ、教育評価の公平性を損ねる恐れがある)生成AIの利用には注意が必要
東北大学2023年4月24日制限あり(剽窃とみなされる可能性あり)AIの出力が正しいか確認を
大阪大学2023年4月17日制限あり(情報の漏洩に繋がる恐れあり)個人情報を提供しないこと
名古屋大学2023年5月19日制限あり(出力情報に誤りが含まれる可能性あり)自ら情報の正確性を確認すること
九州大学2023年4月10日制限あり(不正行為になることもあります)使用ルールをしっかり確認すること
学習院大学2023年4月24日制限あり(安易な使用を避ける)AIを誤用しないよう注意
明治大学2023年5月17日制限あり(指導教員の確認を必要)内容の正確性を確認する
青山学院大学
立教大学2023年5月12日制限なし倫理、著作権、プライバシー保護に留意
中央大学2023年6月5日制限あり(出力内容は参考資料可、そのままの使用禁止)個人情報等入力禁止
法政大学2023年4月11日禁止提出物作成時の利用禁止

各大学の生成AIへの対応の詳細

東京大学

東京大学は2023年4月3日に「生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの特性と利用

生成AIは既存の文章や画像を大量に学習し、一定レベルの品質の文章や画像を生成するシステムであり、その利用は人類の言語活動や知的創作活動の一部を補完し、私たちのwell-being向上に大きく寄与する可能性があると述べています。しかし、生成AIには技術的な課題も存在し、社会への悪影響も懸念されています。

生成AIの利用に対する留意点

生成AIの利用には注意が必要で、書かれている内容には嘘が含まれている可能性があると指摘しています。また、機密情報や個人情報などを安易にChatGPTに送信することは危険であると警告しています。さらに、生成AIが生み出したコンテンツが著作権侵害の対象になる可能性もあると述べています。

生成AIの社会への影響

生成AIの普及は教育・研究活動など大学の活動にも大きな影響を及ぼすと考えられ、社会の構造や産業構造にも大きな変化が生じると指摘しています。そのため、生成AIを有害な存在であるとして利用禁止するだけでは問題は解決せず、どのようにしたら問題を生じないようにできるのか、その方向性を見出すべく行動することが重要であると述べています。

東京大学の対応

東京大学の学生や教職員は、この変化を傍観するだけでなく、生成AIがもたらす様々な社会の変化を先取りし、積極的に良い利用法や新技術、新しい法制度や社会・経済システムなどを見出していくべきであると指摘しています。そして、生成系AIの活用法や問題点、改善策などについて議論の機会を設ける予定であると述べています。

生成AIの利用と個人情報保護

ChatGPTに送った質問の文章も、ChatGPTのシステムに蓄積され、学習される可能性があり、原理的には送信した内容を他者が引き出すことも可能だと思った方が良いとしています。したがって基本的に、業務で知り得た機密情報、未公開の発明内容、研究費などの申請内容、入学試験問題の原稿、個人情報などは質問に含めないことが求められます。

引用元:東京大学

生成AIの利用にあたっては、個人情報の保護が重要であると強調しています。

生成AIと著作権問題

画像生成系のAIでは、インターネット上のコンテンツを取り込んで学習し、画像を生成しています。現在、これらの元画像を作成した著者が、知らないうちに著作権を侵害されたとして問題提起を行っています。将来的に生成系AIが生み出したコンテンツが訴訟の対象になる可能性があるかもしれません。

引用元:東京大学

生成AIの利用により、著作権問題が発生する可能性についても触れています。

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早稲田大学

早稲田大学は2023年4月18日に「生成AIなどの利用について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIへの基本的態度

早稲田大学は、生成AIの利用について、学生と教職員がその正しい使い方を理解し、新技術の進歩に合わせて知識を更新し続けることが重要であると述べています。また、生成AIの社会的影響やそれが形成されるプロセスについての理解も必要と指摘しています。

生成AIの特徴

生成AIはインターネット上の大量のデータを学習し、様々な質問や要求に対して自然言語による対話形式で瞬時に回答を生成する能力を持つと説明しています。その一方で、生成AIが必ずしも正確な情報を出力するわけではなく、誤った情報を用いて回答を生成するケースもあると注意しています。

引用元:早稲田大学

生成AIはインターネット上の大量のデータを学習し、様々な質問や要求に対して自然言語による対話形式で瞬時に回答を生成する能力を持つと説明しています。その一方で、生成AIが必ずしも正確な情報を出力するわけではなく、誤った情報を用いて回答を生成するケースもあると注意しています。

生成AIの利用と制限

生成AIを利用することで作業時間を節約し、重要な仕事に専念できるメリットがある一方、生成AIの安易な利用は学内や企業内の機密情報の漏洩や個人情報の漏洩につながる可能性があると指摘しています。また、生成AIの無秩序な使用が差別や人権侵害につながる可能性もあると警告しています。

今後の対応

新しい技術を使う前に、その必要性や有益性、社会への影響を考えることが重要であると述べています。また、新技術の持つ多方面への影響を理解し、マイナス面を抑制し、プラス面を拡大するために何をすべきかを考えることを促しています。

慶應義塾大学

慶應義塾大学は2023年5月15日に生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する慶應義塾大学の見解

各授業科目において、学部・研究科や担当教員が生成AIの利用を奨励もしくは許可する場合には、当該教員等が示す方針のもとで適正に活用してください。ただし、生成AIを利用してレポート等を作成した場合には、その旨を明記することが必要です。

引用:慶應義塾大学

大学は「独立自尊」の精神を重視し、学生に対して自らの判断と責任のもとで学び、思考し、行動することを求めています。生成AIのような技術革新は、正しく活用すれば学生の学びや思考、行動を向上させる可能性がありますが、技術に対する浅薄な理解に基づく安易な利用は人間の主体性を阻害する可能性があると指摘しています。

上智大学

上智大学は2023年3月27日に「ChatGPT 等の AI チャットボット(生成 AI)への対応について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

リアクションペーパー、レポート、小論文、学位論文等の課題への取り組みにおいて、ChatGPT 等の AI チャットボットが生成した文章、プログラムソースコード、計算結果等は本人が作成したものではないので、使用を認めない。

引用元:上智大学

AIの使用が確認された場合、大学の不正行為に関する処分規程に基づき厳格な対応を行うとしています。しかし、教員の許可があればその指示の範囲内で使うことは可能とのことです。また、大学としては、今後も継続的に国内外の高等教育機関の事例収集や学内での意見聴取等を行い、成績評価への懸念に対する対応だけでなく、教育への活用も含め適宜見直しや検討を続けていくと述べています。

東京理科大学

東京理科大学は2023年4月28日に「科学技術における知的⽣産活動と⽣成系AIの利⽤について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する東京理科大学の見解

“科学技術に携わる者は、この知的⽣産活動の中で、AIをどのように活⽤するか、あるいはどのような場⾯で使うべきでないかについて、⾼い倫理観と主体性を持って判断していく必要があります。”

引用元:東京理科大学

大学は科学技術における知的⽣産活動は、過去の真理や事実を理解し、それらを⽣み出した先駆者への畏敬の念とともに、それらを客観的事実として正確に引⽤したうえで、⾃ら新たな真理、事実、価値を⽣み出すプロセスであり、そこから得られる⽣成物は、⾃らが創作したものでなくてはなりませんと述べています。

注意事項

⽣成系AIの回答を適切に活⽤するためには、現状では⾼い倫理観とともに質問内容に関する⾼度に専⾨的な判断⼒が必要不可⽋であり、論⽂、レポートなどの記述に⽣成系AIの回答をそのまま利⽤することは避けるべきですと注意しています。また、専⾨家としての能⼒が未成熟な学⽣が、授業の課題対応などのために利⽤すると、専⾨家として⾝に付けるべき能⼒獲得の障害となる恐れがありますと述べています。

東京工業大学

東京工業大学は2023年6月2日に「学修における生成系人工知能の使用に関する本学の考え方について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する東京工業大学の見解

本学では、生成系AIのツールとしての危険性と有用性の両面に鑑み、現時点ではその使用を全面禁止とすることはしません。学生の皆さんの主体性を信頼し、良識と倫理観に基づいて生成系AIを道具として使いこなすことを期待します。

引用元:東京工業大学

東京工業大学は、生成AIの危険性と有用性の両面を認識し、その使用を全面禁止することはなく、学生の主体性を信頼し、良識と倫理観に基づいて生成AIを道具として使いこなすことを期待しています。また、生成AIの使用が許される程度は、授業の到達目標や内容、授業担当教員の指導方針・成績評価方針などに委ねられます。

注意事項

生成AIに個人情報や機密情報など、公開してはいけない情報を入力すると、それらの情報が意図せず流出する可能性があると指摘しています。また、生成AIの回答は膨大なデータベースから生成されるため、不適切、間違っていたり、危険な回答を生成することがあると注意しています。さらに、生成AIを部分的にでも使用して作成した文章とその内容に関して、作成者が全責任を負うことになると述べています。

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北海道大学

北海道大学は2023年5月31日に「生成AIの利用について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する北海道大学の見解

生成AIはテキストや画像、プログラムコード等を生成する技術で、ChatGPTやStable Diffusionなどをその例として挙げ、これらの技術は教育や学習に影響を与える可能性があり、その利用方法によっては学生の学習を妨げ、教育評価の公平性を損ねる恐れがあると喚起しています。また、生成AIの利用に際し、教育理念に照らしながら、教育学習を高度化する手法を探究し、慎重な利用を心がけるよう呼びかけています。

注意事項

生成系AIのような新たな技術は、うまく使えば、こうした教育学習を充実・発展させる可能性があります。その一方、使い方を誤れば学生の学習を妨げ、教育評価の公平性を損ね、ひいては学問倫理の毀損にもつながる恐れがあります。

引用元:北海道大学

教員の利用については、授業での生成AIの使用許可や制限について学生に説明し、成績評価の公平性を保つよう配慮することが求めています。また、学生の提出した課題の採点補助に生成AIを用いる場合、システムが利用者の入力したデータを蓄積し、他のユーザに対して出力することも想定されるため、学生の個人情報などプライバシーに関わる情報を入力しないよう注意を呼び掛けています。

学生の利用については、生成AIのようなツールの可能性を批判的に捉えつつ、自らの学習に効果的に用いる方法を考えることが求められています。しかし、利用方法を誤ると学びの機会や学問倫理を損なう可能性があるため、授業レポート等の課題作成に当たっては、担当教員からの注意、指示に従うことが重要です。

東北大学

東北大学は2023年4月24日に「ChatGPT等の生成系AI利用に関する留意事項(学生向け)」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する東北大学の見解

近年、人工知能(AI)技術の発展はすさまじく、データの分析や機械の制御などに使用される形式のAIだけでなく、デジタルの画像や動画、音声や音楽、文章やプログラムコードなどのテキストを生成するAI(生成系AI、対話型AI)が登場し、誰でも手軽に利用できる環境ができつつあります。しかし、その一方で、AIの出力をレポート等の解答にそのまま利用することは自身の勉強にならないと指摘しています。

注意事項

授業によってはAIの利用を禁止しており、場合によっては剽窃とみなされる場合がある”と述べています。また、”調べ学習等で使用する場合も、AIの出力には誤りが混ざっていることも少なくなく、AIの出力が正しい内容か、誤った内容なのか、自身でしっかり確認する必要がある。

引用元:東北大学

東北大学は、学生が生成系AIを利用する際の注意点について詳細に説明しています。未発表の論文や秘密にすべき情報を生成系AIに入力してしまうと、それらの情報が意図せず流出・漏えいしてしまう可能性があることを警告しています。最後に、教員の指示に従い、自分自身でもよく考え、上手にAIと付き合ってくださいと注意しています。

大阪大学

大阪大学は2023年4月17日に「生成AI(Generative AI)の利用について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する大阪大学の見解

この声明では、ChatGPTなどの生成系AIの学習利用について、大学としての方針が示されています。生成AIは、適切に使うことで、非常に有用なツールになると述べています。しかし、その一方で、生成AIで作られた文章には誤りが含まれることもあり、その真偽を正しく判断せずに自分の言葉として発信した場合、さまざまなリスクをはらむことがあると指摘しています。

注意事項

生成AIへ投げかけた質問事項やその記載内容が、システムに蓄積・学習される可能性があり、情報の漏洩に繋がる恐れがあります。個人情報や機密情報を提供しないように注意してください。

引用元:大阪大学

大阪大学は、生成系AIの利用に際しての注意事項を明確にしています。具体的には、”と警告しています。さらに、画像生成AIでの著作権侵害への注意を指摘しています。また、生成AIツールで成果物を作成するだけでは学びは深まらないため、さまざまな情報を活用し、自らの考えを創り上げて自らと異なる意見や考えに耳を傾けて、人と人との対話を通して独創的な考え方やアイデアを生み出すところにある、と述べています。

名古屋大学

名古屋大学は2023年5月19日に「全学教育科目における生成系AIの利用に際しての留意事項」を発表しています。

生成AIの利用に対する名古屋大学の見解

この声明では、ChatGPTなどの生成系AIの学習利用について、大学としての方針が今後示されると述べています。現時点では、全学教育科目を受講する学生に対し、AIの利用が自身の学習に与える効果や弊害について考え、学習を深める観点から向き合うことを求めています。また、生成系AIの利用については、担当教員の指示に従うよう強調しています。

注意事項

生成系AIによって出力された情報には誤りが含まれる可能性があり、その利用によって利用者がかえって不利益を被ることが起こり得ます。出力情報の正しさについて、自ら検討することが必要です。

出力情報が正しい場合でも、著作権侵害や剽窃の問題が生じるおそれがあります。したがって、AIの出力情報は、あくまでも自身の文書作成の参考に留めるべきです。出力情報の一部であっても、そのまま利用することはやめてください。

引用元:名古屋大学

また、生成系AIの利用に際しての注意事項を明確に記述しています。

九州大学

九州大学は2023年4月10日に「ChatGPT などの人工知能の講義・実習における活用について(第1報)」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する九州大学の見解

九州大学の教育においては、ChatGPT等の使用は単純に禁止するのではなく、アクティブ・ラーナーを育成する基幹教育の理念や、学部・学府における価値創造人材を育成するという目的を踏まえ、それらの新しい技術を上手く活用して、自ら学び、新しい価値を創造する姿勢を育むことが望ましいと考えています。

注意事項

ChatGPT等が生成した文章をコピー&ペーストしたものをそのままレポート課題として提出すると、不正行為になることもあります(授業や実習等によってルールが異なります)。

引用元:九州大学

その一方で、九州大学は、ChatGPT等の使用にあたっての注意事項を明確にしています。具体的には、授業におけるChatGPT等の使用ルールをシラバスや担当教員に聞くなどしてしっかりと確認するように指摘しています。

学習院大学

学習院大学は2023年4月24日に「生成系AI(人工知能)について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する学習院大学の見解

学習院大学長の荒川一郎氏は、ChatGPT等の生成系AIが公開され、その利用の是非が議論されていることを認識しています。荒川氏は、この技術が今後より高度に発展し、利用のルールが確立されて社会活動のツールとなることは間違いないと述べています。しかし、その一方で、AIが教育の場に大きな影響を持つことを認識し、人の知的活動をサポートする道具が誤用されると、知的活動能力の成長を阻害する可能性があると指摘しています。

注意事項

授業では、例えばレポート作成のために安易に生成系AIを使うことはよしとしません。しかし、AIを積極的に利用することが教育効果を高め、皆さんの知的成長に資することになるならば、講義の中に取り込んでいくことになるでしょう。

引用元:学習院大学

荒川氏は、学生が受けている教育は、単に知識を獲得するだけでなく、それを自身の頭の中で咀嚼し、自身の考えを外に向かって発信するための訓練であると述べています。そして、その過程をAIに任せてしまったら、自分自身の訓練にならないことは明らかだと強調しています。一方で、AIの利用が今後の社会の中でますます重要になっていくことを考えると、学生がAIの何たるかを理解し、その扱い方を修得することは必要だと述べています。

明治大学

明治大学は2023年5月17日に「ChatGPTをはじめとする生成系AIの利用について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する明治大学の見解

明治大学は、生成系AIの利用が大学における教育・研究の在り方に大きな影響を与える可能性があると認識しています。その一方で、学生が生成系AIを利用する場合には、授業内容の特性等も関係することから、担当教員の指示に従うようにしてくださいと述べています。特に、論文作成を含めて研究活動に伴う利用に関しては、研究倫理の観点からも指導教員に必ず確認してくださいと指摘しています。

注意事項

生成系AIが生成する文章は、「発信元が特定可能な、信頼できる情報ではない」と言えます。生成系AIを使用する場合には、生成された内容の正確性を文献等によって確認する手順(ファクトチェック)が必須です。

引用元:明治大学

生成系AIについては、その利便性だけでなく、人間の知性や社会にもたらす潜在的なリスクについても注意を払う必要があると明治大学は指摘しています。

立教大学

立教大学は2023年5月12日に「生成系人工知能をはじめとするAIの利活用について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する立教大学の見解

立教大学ではこれまでリベラルアーツ教育を基軸に、人類が築き上げてきた知の体系とそれらを社会に還元していく力をもつ人を育んできました。本学では、学びと技法の深化を目的として、AIを有効かつ適切に利活用し、社会に貢献できる人々を輩出したいと考えています。

引用元:立教大学

立教大学は、AIの発展とその社会的インパクトを認識し、学びと技法の深化を目的として、AIを有効かつ適切に利活用し、社会に貢献できる人々を輩出したいと考えています。学生には、AIに関して基礎的なリテラシーを獲得し、効果や影響を正負の両面から検討し、積極的かつ創造的に活用を進める能力と姿勢を培うことを期待しています。

注意事項

生成AIの利用にあたっては、技術的な側面だけでなく、倫理的な観点や著作権と知的財産の尊重、プライバシー保護など、多岐にわたる留意点があると指摘しています。また、AIの活用における基礎的知識や留意点、ノウハウをウェブページにまとめて提供しており、AI技術の進化に伴う利活用法や影響の変化に対応するための一助としていると述べています。

中央大学

中央大学は2023年6月5日に「中央大学の教育課程における「生成系AI」利用上の留意事項について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成系AIの定義と利用

中央大学では、生成系AIとはデータに基づく学習を行い、その学習結果に基づく新たな出力を行う機能を備えるコンピュータシステムを指します。教員はその担当する科目の教育について、道具として生成系AIシステムを利用し、教材として生成系AIシステムの出力を利用することが可能です。その際利用を行った場合、当該科目の履修者に対して、利用の事実を告知しなければならないと述べています。

学生による生成系AIシステムの利用

学生はその履修する科目の学修について、道具として生成系AIシステムを用いることが可能です。ただし、生成系AIシステムは利用者が入力した情報を記録及び学習する特性を有するため、秘密情報や個人情報、虚偽の情報などを入力してはならないと注意しています。

生成系AIシステムの利用と成績評価

学生が第7項又は第8項に違反したレポート等を提出した場合、当該科目を担当する教員は、成績評価上、当該レポート等が提出されなかったものとして扱うものとする

引用元:中央大学

学生がレポート等の作成及び提出をする場合において、生成系AIシステムの出力内容を参考資料とすることは可能ですが、その出力内容そのものをレポート等としてはならないと述べています。また、生成系AIシステムの出力内容を参考資料とした場合は、その事実を明示する必要がある、と指摘しています。

法政大学(情報科学部)

法政大学は2023年4月11日に「生成系人工知能をはじめとするAIの利活用について」と題して生成AI使用に関する方針を発表しています。

生成AIの利用に対する法政大学の見解

生成系AIは、情報科学における新たな可能性を切り拓くものであり、学生たちの研究や学習にも大きな影響を与えていると述べています。一方で、生成系AIの高度な能力は、課題や試験などの学業成果に対する不正行為のリスクを高める要因ともなり、法政大学情報科学部・情報科学研究科では、生成系AIの適切な利用を促すための指針を策定しました。

注意事項

単位の評価に直接関係するもの(提出するレポートや課題の全て)での使用は禁止です:生成系AIを利用して課題や試験に関連する成果物を作成することは、原則として禁止されています。違反した場合、停学等の厳しい処分が科せられる可能性があります。

引用元:法政大学情報科学部・情報科学研究科

本指針は、生成系AIを学術的な探求の一環として活用することを奨励しつつ、不正行為を防ぐための基本的なルールを定めています。これにより、学生たちが正しい方法で技術を学び、独自の研究や発見に取り組むことができるよう、安全で倫理的な学習環境が整備されることを目指しています。また、学生は、講義や勉学で生成系AIを利用する際には、教員の指導やアドバイスに従う必要があります。これにより、適切な学習成果が保証されます。

まとめ

大学の生成AIへの対応は多岐にわたり、教育の質向上や研究進展の加速、さらには効率的な運営へとつながっています。

ChatGPTやMidjourneyを始めとした生成AIが持つポテンシャルを十分に引き出すためには、それぞれの大学が特徴を活かした取り組みを続けることが求められます。

そして、それらの経験を共有し、学び合うことで、生成AIの可能性をさらに広げていくことが期待されています。我々もその進展を見守りつつ、最新の情報を提供し続けます。