コンタクトセンターの93.2%がAIを「現在活用中」または「活用に向けて準備中」

楽天コミュニケーションズは10月3日、「コンタクトセンターにおけるAI活用に関する意識調査」の結果を発表しました。調査によると、AIの活用状況について、52.7%が「現在活用中」、40.5%が「活用に向けて準備中」のようです。

今回はこの発表を参考にして、コンタクトセンターにおけるAI活用について考えます。

参考:楽天コミュニケーションズ

93.2%AIを「現在活用中」または「活用に向けて準備中」

楽天コミュニケーションズの調査によると、AIの活用状況について、52.7%が「現在活用中」、40.5%が「活用に向けて準備中」だということが分かりました。

AIの活用について約93%が前向きであるということはかなり驚きなのではないでしょうか。ほとんどのコンタクトセンターにおいて今後AIが活用されるということは間違いないと言えるでしょう。

引用:楽天コミュニケーションズ

「AIチャットボットによる応対の自動化・省力化」の活用が最も多い

具体的なAIの活用状況・活用予定については、AIチャットボットによる応対の自動化・省力化が最も多い66.8%でした。

これまでホームページ等に記載がない情報について知りたい顧客に対しては、オペレーターが対応する必要がありました。しかしAIのチャットボットを導入することで、より幅広い質問に対して、AIがネット上の情報なども参考にしつつ回答を柔軟に行うことができるようになります。

また、IVR(自動音声システム)については、これまであらかじめ用意した音声案内をもとに、問い合わせ理由に応じた番号を入力させることで、担当のコミュニケーターへ振り分けることが一般的でした。そこにAIを導入することで、チャットボットが顧客の声を音声で認識して、質問に対する回答を生成し、音声出力を行うことで、即座に顧客の要望に対応することができます。

引用:楽天コミュニケーションズ

顧客に間違った回答をするリスクを避けるには?

今後生成AIを活用するにあたり懸念することについては、「顧客に間違った回答をするリスクの管理」62.6%と最も高いことが分かります。

AIの誤回答のリスクを軽減するためには下記のような方法が有効です。

  1. 事前設定された回答の使用:特定の質問に対してあらかじめ設定された回答を用いることで品質と一貫性を確保する。
  2. 信頼度のしきい値設定:回答の信頼度を評価し、低信頼度のものは非表示にする。
  3. 人間の監視と介入:AIの生成した回答を人間が確認し、不適切な内容を修正・削除する。
  4. ユーザーガイダンスの強化:AIの回答は参考程度であると伝え、必要時に専門家の意見を求めることを促す。
  5. スコープの明確化:AIが対応可能なトピックを明示し、それ以外の質問には「わかりません」と答えるようにする。

これらのことを行うことにより、AIの回答の信頼性を高め、誤解や問題を最小限に抑えることができます。

引用:楽天コミュニケーションズ

AIと人間の効果的な組み合わせを模索することが重要

AI技術の進化により、コンタクトセンターの業務は確実に変化することが予想されます。AIを導入することで、簡単な問い合わせや頻繁に発生するタスクを自動化することができ、業務の効率化が図られるでしょう。

しかし、AIには限界があり、感情の機微を読み取ることや、複雑で特定の背景知識を要する問い合わせに対応する能力は、現時点では人間には及びません。そのため、本当にオペレーターの対応が求められる事案では、専門的かつより質の高いカスタマーサポート(CS)が必要となります。

今後コンタクトセンターにおいては、AIと人間の効果的な組み合わせを模索することが重要となるのではないでしょうか。