生成AI機能の導入で「業務短縮」より「他社にはない手厚いサービスの実現」 安心計画株式会社

今回は、住空間シミュレーションシステムによるデザインサービスとWEBやAIを活用した仮想空間の構築などを行っている安心計画株式会社の情報システム本部本部長の岡原様に、

同社のサービス、AIが最適な物件プランを提供する「My Home Robo」に生成AI機能が追加されたこと“について取材しました。

生成AI導入のきっかけや、導入によるメリット、効果について興味深いお話を伺いましたのでぜひご覧ください。

引用:My Home Robo

プロフィール

岡原 光輝さん

マイホームロボ開発責任者。安心計画に入社後「小さな家。計画」などの新規プロジェクトに従事。

2020年3月に「マイホームロボ」プロジェクトを立ち上げ、プロジェクトマネージャーとして複数の会社からの選抜メンバーによる混成チームを牽引している。

与えられた情報をもとに説明できる生成AIの能力に着目して導入

まず初めにMy Home Roboに生成AI機能を導入したきっかけについてお話伺いました。

「去年の秋ごろからAIが施主に物件のプランを提供するサービス”My Home Robo”を立ち上げました。My Home Roboが作成したプランをもとに営業がプランについて説明していましたが、昨今の生成AI、特にChatGPTの普及で、プランをもとに説明をするということがChatGPTでもできるのではと思ったことが導入のきっかけです。」

与えられた情報をもとに、その内容を説明できる生成AIの能力に注目しての導入だったようです。

引用:My Home Robo

導入によって顧客に最適化された営業文を生成できるように

マイホームロボは、施主の方がいくつかのアンケート(リビングを通って子供のプライベートルームいけるようにしたいかなど)に答えた結果、それに合ったプランをハウスメーカービルダーから提供されたデータベースをもとに、AIが提案するシステムです。

「アンケートを取ることで施主の方のペルソナが分かるため、そのペルソナの人が住宅を検討する時に興味を持つような文章をChatGPTに生成してもらっています。」

生成AIに対して、アンケート結果を含めたプロンプトを投げて、施主が興味を持つような文章を作成してもらうことで、最適な営業文章を作成することができているようです。

生成AIは「言われたら確かに」という情報をすぐに言語化してくれる

生成AIによる営業文章のメリットは住宅業界特有の事情からも生まれているようです。

「住宅建築に関する内容は、業界固有の情報の非対称性から、実際に家を建てた人しかわからないことが多いんです。家を建てた経験がある人だけが知ってる情報をブログに書くと、意外とたくさんの人に読まれるんですよ。

GPTはブログを含めたネットの情報を学習しているから、生成した文章を見てみると、家族の顔を見ながら料理をできるのでキッチンでも家族との時間を大切にできます、とかそういうことを上手に言葉にしてくれます。

「言われてみると確かにそうなんだけど、自分ではなかなか言語化しづらい文章をすぐに作成してくれるのはありがたいですよね。」

GPTはネット上にあるブログなどの情報も学習しているため、「言われてみればそうだな」という感覚的には分かっていることを、あらためて文章にすぐに起こしてくれるという点は大きな利点ではないでしょうか。

生成AIで「業務時間を短縮」より「手厚いサービスを実現」

最後に生成AI機能を導入した結果生まれるメリットについて伺いました。

「説明したように現在組んでいるプロンプトって凄くシンプルで、アンケート結果をもとにペルソナを考慮して、営業文を生成してもらうというものです。

凄くシンプルな仕組みなんですけど、顧客から見たら自分の考えや希望が反映されていて、親身になってくれていると感じると思います。

というのも個別化された提案って実は作成することがすごく大変で、最終的に成立するか不明な状況で提案を出す同業者ってほとんどいないんですよ。

でも生成AIを使うことで時間をかけずに効率的に個別化された提案することが可能になります。つまり、他社が提供していないような手厚いサービスを、簡単に提供できる状態になっているんです。」

生成AIは「時間を短縮できる」といった文脈で語られることが多いですが、今まで以上に「手厚いカスタマーサポートを実現できる」といった考え方はまさにその通りだなと感じます。

生成AIで時間を短縮することも大切ですが、短縮した結果どのようにしてアウトプットの質を高めるか、競合と差別化するのかと考えることがより本質的なのではないでしょうか。