ChatGPTの自社製品への組み込みは可能?ChatGPT APIの使い方入門

「自社のサービスにAIを取り入れたい…」「ChatGPTを自社製品に組み込むことができるの?」そう思う方もいるのではないでしょうか。

実はChatGPTのAPIを使用することで、比較的に自社製品・サービスにChatGPTを組み込むことが可能です。

今回PROMPTYでは、ChatGPT APIの特徴や料金・利用手順について詳しく解説します。

ChatGPTを自社製品/サービスに組み込むことはできるの?

ChatGPTは、一般的にWebアプリケーションとしての利用でき、ユーザーが質問文を入力し、その結果を得る形式となっています。この際、質問文は全て利用者が直接入力しなければなりません。

しかし、ChatGPT APIを使用することで、自社のWebアプリケーションなどにChatGPTを組み込むことが可能となります。このAPIを活用すれば、自社のアプリケーションにChatGPTを取り入れたチャットボットなどを開発することができるようになります。

ChatGPT APIとは

ChatGPT APIは2023年3月1日にChatGPTの開発元であるOpenAIから公開されました。

API(Application Programming Interface)は、異なるアプリケーション間の連携を可能にするインターフェースのことで、APIの規則に従って接続することにより、それぞれのシステム間で情報をやり取りすることができます。

ChatGPTはかつてはブラウザからのみの利用でしたが、ChatGPTのAPIが登場したことで、アプリケーションやシステムにChatGPTを連携させ、ChatGPTを搭載したWebサービスの提供が可能となりました。その結果、ChatGPTのAPIを活用した新しいビジネスやサービスの提供が増加しています。これにより、OpenAIの自然言語処理モデルであるChatGPTの機能を活用した多様なサービス展開が期待できます。

公開当初は、モデルはGPT-3.5(gpt-3.5-turbo)までしか利用できませんでしたが、現在(2023年8月)ではGPT-4モデルも利用できるようになっています。

ChatGPT APIでできること

自動応答チャットボットの開発

自動応答システムを開発し、顧客からの問い合わせを自動で解析し、適切な答えを提供することが可能です。例として、カスタマーサポートへの導入により、顧客からの問い合わせを自動で解析し、適切な答えを提供でき、これによりカスタマーサポートの負担が軽減されます。ユーザーにとっても、待ち時間が減少し、顧客満足度の向上に繋がります。

また、社内向けにChatGPTを活用した質問応答システムを導入することにより、利用者からの問い合わせに対して社内のデータベースを利用し、社内での知識共有が促進できます。

メールなどの文章の作成や要約

ChatGPTは、指定されたプロンプトに基づいてテキストを生成できるため、口調や表現方法を指定すると、それに合わせた文章を生成します。これにより、商品の説明やブログ記事など、自動で文章を生成することが可能です。

また、自分で情報を調査した結果を要約し、文章化する作業もChatGPTに任せることもでき、仕事の効率化が図れます。長い文章から要点を抽出し、短い要約を作成することができ、情報収集の効率化も図れます。

プログラミングコードの作成・バグ修正・異なるプログラミング言語への翻訳

ChatGPT APIはコードの生成にも使用できます。具体的な要件やパラメータを指定すれば、Pythonなどのプログラミング言語での実装コードを提供することが可能です。Pythonのソースコードにバグがある場合、その問題点を指摘するコメントを出力可能です。

また、ソース言語とターゲット言語を指定することにより、異なるプログラミング言語への翻訳が可能です。

言語翻訳

ChatGPTは、複数の言語に対応しており、翻訳作業を容易に行うことができます。機械翻訳よりも自然な表現での翻訳も可能なため、グローバルなコミュニケーションが容易となります。

会議の議事録作成

音声をテキストに変換する技術と組み合わせれば、ChatGPT APIを使用して会議の文字起こしや議事録を作成することができます。これにより、会議の要点を見落とすことがないほか、時間を節約することもできます。

仕様書からマニュアルの作成サポート

ChatGPT APIを活用することで、仕様書を入力として、顧客向けのマニュアルを生成することができます。これは、製品開発サイクルを加速し、コミュニケーションの効率化につながります。

ChatGPT APIのセキュリティ

OpenAIのガイドラインによれば、ユーザーから提供された情報は秘密厳守の原則に基づいて管理され、第三者に漏れることがないようを保管されています。更に、OpenAIはユーザーデータをAIモデルの学習に用いないという方針を採用しており、ユーザーの情報が無許可で使用されることはありません。

セキュリティ面の安全性に問題はないようですが、ChatGPT APIを使用する際は、OpenAIのガイドラインを確認し、その安全性を理解してから活用することをおすすめします。

ChatGPTの料金は?

ChatGPTのAPIの利用には料金がかかり、その課金形態は一定の月額料金ではなく、使用した分だけの支払いが求められる従量制が採用されています。しかし、ChatGPT APIの使用料金は他のチャットボットサービスの中では安価であり、個人での開発の場合でも利用がしやすくなっています。

使用料金の計算方法

ChGPTのAPIの費用は「トークン数」によって決まり、利用するモデルによっても料金は変動します。

例えば、gpt-3.5-turboモデルを利用する場合、2023年8月現在では

・入力:1,000トークンあたり0.015ドル

・出力:1,000出力トークンあたり0.002ドル

の料金が発生します。

すなわち、ChatGPTのAPIの料金計算方法は、使用するモデルの単価、入力トークン数、出力トークン数から計算することができます。実際にAPIを活用して開発を行う場合、最大トークン数などを指定してプログラムを作成します。

各モデルの使用料金については、こちらのページで確認することができます。

例:GPT-3.5

例:GPT-4

トークン使用量を節約するには?

ChatGPTのAPIのトークンには、英語では、1単語/1トークン、カンマなどの記号も1トークンとしてカウントされます。

しかし、日本語のトークンの計算方法は、漢字やひらがななど文字の種類によって変わります。ひらがなは1文字/1トークン以上、漢字は1文字/2〜3トークンでカウントされるため、英語と比べてトークンの消費が多くなることがあります。

文字ごとの計算方法が異なるため、日本語を利用するユーザーは、予想以上にトークン使用量が増える可能性があることに注意が必要です。

そのため、トークン使用量を節約する方法として、日本語を英語に翻訳してからChatGPTのAPIを利用することがおすすめです。翻訳には手間がかかりますが、自動翻訳ツールを活用して、日本語を英訳してからAPIを使うことで、トークン使用量を抑えることが可能です。

なお、APIの使用量は、OpenAIにログインすることで確認することができます。

ChatGPT APIの利用手順

ChatGPT APIの始め方

OpenAI(https://openai.com/)にアクセスして、Log inまたはSign upをクリックして、ログインします。アカウントを持っていない場合は、アカウントを作成する必要があります。

ChatGPTの始め方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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ログインが完了したら、APIを選択します。

画面上の”Personal”から”View API Keys”をクリック

ここでAPIキーに関する情報を確認することができます。”Create new secret key”からAPIキーを作成できます。

これでChatGPT APIを利用するためのAPIキーの取得は完了です。

Python環境でChatGPT APIを使用する

最後に、実際にPython環境でChatGPT APIを使用した簡単なチャットボットの例を紹介します。

ChatGPT APIを利用する前に、OpenAIのライブラリをインストールする必要があります。

以下のコマンドを入力します。

pip install openai

今回は、ChatGPT APIを使って企業名を入力すると事業内容を説明してくれるチャットボットを作成します。”role”には、チャットボットの役割を自由に入力します。”content”には質問文を入力します。

import openai
import os

openai.api_key = {APIキーを入力}
def generate_company_description(company_name):
    response = openai.ChatCompletion.create(
        model="gpt-3.5-turbo",
        messages=[
            {
                "role": "system",
                "content": "あなたは多くの企業について知識があるアシスタントです。回答は日本語で出力して下さい。"
            },
            {
                "role": "user",
                "content": f"{company_name}の事業内容について教えてください。"
            }
        ],
        max_tokens=200
    )

    return response.choices[0].message['content']

company_name = input("企業名を入力してください: ")
description = generate_company_description(company_name)
print(description)

openai.api.keyには取得したAPIキーを入力します。今回はモデルをgpt-3.5-turboにしています。

企業名に「ソニー」を入力した結果がこちらの通りです。

ソニーは日本の多国籍企業で、様々な事業分野に取り組んでいます。主な事業内容としては、エレクトロニクス、エンターテイメント、金融、イメージセンシング、産業・プロフェッショナル製品などがあります。 

エレクトロニクス分野では、テレビ、カメラ、音響機器、スマートフォン、ゲーム機などの製造と販売を行っています。特に、テレビやカメラでは 
高い品質と革新的な技術を追求しています。

ソニーの事業内容について詳しく説明してくれました。このように、ChatGPT APIを活用することで、簡単にチャットボットを開発することが可能です。

まとめ

今回PROMPTYでは、ChatGPT APIを使って自社製品にChatGPTを組み込む方法を紹介しました。

ChatGPT APIを活用すれば、自身のアプリケーションにチャットボットを組み込むことが可能です。ChatGPT APIは使用量に応じて課金されるため、トークン数やモデルについて理解を深めて料金を抑える工夫も必要です。

今回の例を参考に、皆さまもChatGPT APIを使った開発にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。